What a race! これぞSUPER GT ! ~第7戦inオートポリスの熱さ~
1年ぶりのオートポリスは、熱かった…。ピンポイントで振り返ります。
現在、GT500クラスで2台体制をとるチームは、3チーム。過去に1台体制に戻ったりするなど、さまざまな変遷を経て現在に至るニスモとトムス。2台体制の履歴と記憶は長いですね。
まずは、NISMO。23号車 MOTUL AUTECH Zと、昨年からメンテナンスもニスモチームとなったNDDPレーシングの3号車 Niterra MOTUL Z。
そしてトムス。それぞれ違うメインスポンサー様がサポ―トをする36号車 au TOM'S GR Supraと37号車 Deloitte TOM'S GR Supra。
今季、それに加わったのが、ARTA です。8号車 ARTA MUGEN NSX-GTと16号車ARTA MUGEN NSX-GT。これまでのメンテナンスガレージを変え、スーパーフォーミュラトップチームのTEAM無限とコラボ、どちらもARTAとして2台体制で誕生しました。
新規チームではありますが、このチームは今季2台とも勝っていますよね(ニスモの2台もですが)。こちら側から見えたレース中のミスも多々あり、開幕以降どうなることかと思いましたが、ふたを開けてみれば8号車も16号車も優勝。
2台ともにポールポジションを獲得していますから、チーム作りは進んでいるとして、大きな目標はもうタイトルしかないという強さ。すごすぎます。
初めての方の為に書いておくと、GT500クラスは自動車メーカー同士のバトル。それぞれのメーカー内のチームのデータも共有して戦っています。総力戦です。
ですので、戦い方の手の内は大まかにはわかります。ドライバーのスキルも、全てデータでわかっているはず。かつ個人のキャラクターも、ドライバーの所属チームと密接な関係にありますから分析済みですね。
しかし、同メーカー内でもタイヤメーカーの違うチームが存在するので、戦略は分かれてきます。
こうしてみると、ホンダ、日産、トヨタ、今季は3メーカーで2台体制が存在することとなりましたね。でもって、3メーカー6台中、5台が優勝を遂げています。今回のオートポリスでは、36号車がすさまじい闘志で勝ちをチームにもたらし、2勝目を挙げました。
2台体制は、それぞれ倍の労力、資金力も要しますが、レースをする上では、さまざまなことを共有できて、データも豊富ですし、有利だと思います。
んじゃうちも2台体制!なんて簡単に行く話ではないんですけどね。サポート体制も倍、準備しないといけません。
しかし、優秀な頭脳が「倍」いると考えるとシンプルに有利。これはずるいと言っているのではないですからね。有利なのだからそれなりの結果を残さないと、とも思います。これプレッシャーですね。
チーム力を俯瞰で見ると…あくまで俯瞰です、中を見て来たわけではないので…。ニスモチームはもうご存じかと思いますが、プロフェッショナルチームの雄。昔からその立ち位置(そんな立ち位置?ですけど)、ブランディング力によるイメージなど、かっこ良さが変わらないですよね。ファンが多いのも頷けます。多分、このSUPER GTの歴史から考えると、日産ファンの数は一番多いのでは、とも思います。
昨年は、23号車の不調が気になりました。その分奮起した3号車は最終戦までタイトル争いに大きく絡みましたが、残念ながら取り逃す結果に。本当にタイトルの可能性は高いと考えていたので、私は意外な結果だと思いました。
そして今季もそのままの体制で、オートポリスまでランキングトップ。変わらず速いし強い訳ですよ。その為、燃料リストリクターのハンデを1台だけ背負うカタチで第7戦を迎えました。
もちろん、3号車のみなさまにとってはハンデとなる訳で、ちゃんと効いていたようです。でもね、速いんですよ、ホントこの3号車。ガチバトルをしていましたが、最終的に予選9位から3位表彰台獲得ですよ?すごくない?
途中、もしかして優勝しちゃうのかなとも思いまして、どのピットに走ることになるんだろうと考えていました。3位もお見事でしたがチェッカー寸前は、2位の16号車の真後ろにいましたね。恐ろしや~でした。
クルマづくりが素晴らしいということなのでしょう。もちろん、ドライバーさんも速いね。予選、日産Z勢はQ1全滅だったので驚きましたが、この3号車はタイトル争いに絡むクルマだけあって、決勝でしっかり結果を残しました。
ランキングはトップではなくなったものの、日産勢としては、エースナンバー以外(昨年は12号車がタイトル)にも再びタイトルのチャンスが訪れています。これは逃したくないでしょうね。楽しみだわ。
ARTA、今回は16号車がポールポジション!今季2回目! ドライバーも速いし、やっぱり新規とはいえ名門チームですよ、進化が早いです。
今回は、誰が勝つとか全くイメージもなく出張した私は、もう何がなんだかでした。気温が上がらないレースウィークを過ごしましたが、レ―スペース、タイヤなど、どのチームも苦しむ中、ポールポジションと決勝2位獲得、やるなあ~。トップを明け渡した大津弘樹選手はとても悔しそうでしたが立派なリザルトですよ。
「ARTAの2台、どちらともエースです」と鈴木亜久里監督がおっしゃっていたことが、早くも今季からカタチになっています。そこがとにかく素晴らしいんですよ。
一方、オレンジのマシンの8号車は、今回マシントラブルによりリタイアとなってしまいました。序盤に接触もあり、2台で元気に走り切ることが出来ず残念です。前回優勝をした勢いのまま行く可能性もあったので。
よく考えてみると、それも今年のこの2台の特徴かもしれません。なんとも2台共に出入りの激しいシーズン。しかし、最終戦はホンダのホームコースですので絶対怖い存在。楽しみにしています!
トヨタの2台体制。2台とも強いという時期もありましたが、なかなか37号車が来ないと思っていたところ、今回はQ1をトップタイムでゴールし、笑顔。そして決勝7位でフィニッシュしました。欲を言えばもう少し上位で、という気持ちはありますが…。ランキングは15位と今季は体制も変わり大苦戦の中、頑張りました。
最終戦は、どの2台体制のチームもタイトル争いに絡んでいますので、チームメイトを少しでもサポートできるように頑張らないといけません。一緒に勝ちに行く勢いで行かないとサポートにならないからね。で、お気づきですよね。この2台体制の3チームがランキングトップ3。予選から上位を狙って来ます。
もちろん他のチームは、空気など読まなくて良し、勝ちに行きますよみんな。来季に繋げるものを残したいですからね。
SUGOがストップアンドゴーの抜き難いサーキットなのは、もう皆さんご存じですよね。予選が大事!ここでタイトルを掴むのは、どのチーム? 今年の最終戦も熱くなりますよ!
100号車 山本尚貴選手の今季欠場のアナウンスは、とてもつらかったです。ご本人のSNSのコメントにも切なくなりました。私まで涙出ましたよ。チームのみなさん、チームメイトの牧野任祐選手の無念の気持ちは、計り知れないことと思います。
しかし、レースウィークはやって来ます。第7戦から木村偉織選手が代役として参戦することになりました。
彼は今季、スポットのエントリーは2回目ですが、実戦でGT500クラスを走るのは初めてです。昨年は、GT300クラスで走っていましたので問題ないと思いますが、急遽GT500デビューとなりました。
金曜日、その姿をピット前で発見。ドライバー交代の練習の準備をしていました。笑顔は少なめ。不安だったと思いますが、そこは私の心境でそう見えただけで、プロですから胆は据わっていたのかもしれません。
決勝は、9位で立派なリザルトでした。プレッシャーが半端ない状況で戦ったと思いますので、木村選手も相当大変だったと思います。彼は彼で将来に繋がるチャンスかもしれません。いつ何時も頑張っていれば、チャンスは訪れますからね。まずは無事に終えたこと、良かったですよね。次も頑張ってね!
山本選手は、とにかく怪我を治すことが最優先ですが、将来の不安についてもSNSのコメントに書かれていて、これは辛いだろうなあと思いました。自分をますます追い込んでしまうだろうと…。
今年はチームメイトの牧野選手も、夏にスーパーフォーミュラで大きなアクシデントに見舞われてしまってね。その時も心配でしたが、お二人が来年、無事にエントリーして開幕戦でお目にかかれたらいいなと今から切に願っております。まずはお大事になさってくださいませ。チームのみなさまも頑張ってください!
52号車が、2位に20ポイント差をつけました。最終戦の予選でポールポジションを獲った瞬間にタイトルが決まる可能性も。本当に強いチーム、クルマになりました。ほぼ確実に手中にという今回の勝利。まずは優勝おめでとうございました。
さあSUPER GT 2023シーズンも最終戦のみとなりました。今季は本当に早かった。走り回ったシーズンが終わると思うとさみしいですが、楽しみでもあります。ぜひ現地にお越しください!待ってます!
写真:GTアソシエーション、折原弘之、大谷幸子 / テキスト:大谷幸子
レポーター(お)ねえさん・大谷幸子
随時、クルマに関する様々なイベント・テーマでレポートしていきます!
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