【SEMA2018特集】世界中のカスタムトレンドが集まる『SEMA Show』会場をレポート!!
全米最大のカスタムカーショーである『SEMAショー』が、10月30日から11月2日の4日間、ラスベガスのコンベンションセンターで開催された。SEMAショーとは『SEMA(スペシャルティ・エキップメント・マーケット・アソシエーション)』に加盟する企業を中心とした部品メーカーが、商品やサービスの展示を行うトレードショー。今年は2400社が参加し、1500台ものデモカーが出展された。
SEMAはアメリカ発祥のカスタム文化であるホットロッドを礎に発展してきたため、広い会場にはフルカスタムされたアメリカ車がズラリ。会場で主役を務めるのは、フォード・モデルAなど1920年代に活躍したヴィンテージカーにはじまり、マッスルカーとも呼ばれるマスタングやカマロなどをベースとしたカスタムカーたちだ。また、人の背丈よりも高い位置にリフトアップされたピックアップトラックもすさまじい存在感を放っている。
- 1932年式ウィリスが1900年代のスタンダード・オイル社の給油タンクをトレールするユニークなカスタムカー。
- フェラーリF430のV8エンジンを搭載し、ツインターボ化した1968年式フォード・マスタング。フロアはカーボン製。
- フルカーボン製ワイドボディを素晴らしいフィッティングとペイントでまとめた1970年式シボレー・カマロ。V8エンジンにはドライブバイワイヤのITB(独立スロットル)を備える。
- スノーモービルを積載した状態で雪上も走行することができるピックアップトラック。
その一方、ドリフトやラリーのドライバーとして有名なケン・ブロックが発表したフォードF150、通称『フーニトラック』は、今年のSEMAショーで最も話題になった1台といえるだろう。彼の独自制作による動画シリーズ『ジムカーナ10』のために完成されたフーニトラックは、ツインターボの3.9L V6エコブーストを搭載し、なんと914馬力を発揮!
ここ数年、トラックの車高を上げるのが大流行していたSEMAに、トレンドセッターでもあるケン・ブロックが逆に車高を落としたドリフト仕様のトラックを持ち込んだことは、エポックメイキングな出来事だった。
- ケン・ブロックのプロジェクト「フーニガン」から生まれたフーニトラックは、1977年式フォードF150がベース。
フォードパフォーマンスが提供した3.9LのV6エコブーストをツインターボ化。インテークマニホールドは3Dプリンターで製作されている。エキゾーストはフロントフェンダー横からのサイド出し。
4WDのパワートレインを載せる作業やシャシーワークは、アメリカンマッスルのプロショップである「デトロイトスピード」が担当した。ホイールは前後20インチのfifteen52 Turbomacを装着。ワイドフェンダーに収まるタイヤは315/35R20のトーヨー・プロクセスST III。スパルタンな室内にはドリフトマシンであることを証明するハンドブレーキレバーとシーケンシフターが装備されている。
そしてもちろん、日本人にとってなじみの深い日本車や欧州車も、多くのブースで見ることができた。車種として特に目立ったのは初代フェアレディZ。アメリカではダットサン240Zなどの車名で販売され、カスタムのベースとしても非常に高い人気を誇っている。欧州車で目を引いたのはBMW 3シリーズやポルシェ911、フェラーリ328など、70年代後半から90年代初頭くらいまでに活躍した「ちょい古」なモデルたち。なつかしさと新鮮さを兼ね備えたクルマに美麗なカスタムを施すのがトレンドのようだ。
- パイクスピーク・ヒルクライムやタイムアタック用に製作されたフルカーボンボディのダットサン240Z。LS型アメリカンV8エンジンを搭載。
- BMWのE60型 M5からV10エンジン、トランスミッション、内装を移植したダットサン240Z。ワイドボディとエアサスペンションも装備。
- DTMにインスパイアされた1988年式BMW M3。レイトモデルのM3に搭載されるS55型直6ターボエンジンをE30ボディにスワップ。
- カーボン製ワイドボディ、JRZとアキュエアを組み合わせたエアサスペンションシステム、ロティフォームのホイールでワイドスタンスをキメたフェラーリ328。
現行車や正式発表前の新型車に目を向けると、トヨタの新型スープラ、ホンダのシビックタイプRも大きな話題となった。トヨタブースにはジュネーブショーで発表されたGT3マシンやNASCAR仕様が展示されたほか、歴代のスープラもズラリと陳列され、すぐそこまで来ているスープラ復活を印象付けた。シビックタイプRはホンダブースをはじめ、日米の名立たるパーツメーカーから地元ショップに至るまで、数々のデモカーが出展された。
- 新型スープラのプロトタイプのほか、A40~A80型の歴代スープラも展示されたトヨタブース。アメリカのカスタム業界が新型スープラに送る熱視線はかなり熱い!
- ホンダブースをはじめとする室内の展示場だけでなく、屋外スペースにも数多くのデモカーが並んだシビックタイプR。各社とも開発パーツのラインナップが充実し、これからアメリカでもカスタムが本格化するのは間違いない。
エンジンスワップやファブリケーションの妙技を間近で見られるのもSEMAショーの楽しみのひとつ。ファブリケーションとは、溶接、切断、研磨などの技術を使って、ボディやシャシー、エンジンルームなどを目的に合わせて作ることの総称だ。完成されたクルマを見ることで、ファブリケーションを行ったビルダーのセンスや技術力を確かめることができる。中にはベースのクルマが何なのかすぐには判別できないほど作り込まれた車両も!
- ビブラントブースに展示されたポンティアック・ファイヤーバードも話題をさらった一台。エンジンをセットバックして生まれた空間に、カスタムメイドのエキマニやドライサンプでファブリケーション・アートを表現!?
- プレシジョンターボブースには、中東バーレーンにあるイカヌーレーシングが製作したレクサスRC Fのドラッグレーサーが登場。同社は市販車ベースのドラッグレースにおいて、世界最速記録をいくつも樹立してきたことで知られている。
- AEMインテークは有名ビルダーのビシモトが製作したシビックシャトル(アメリカではシビックワゴン)を出展。K24型エンジンにカスタムメイドのプロペラシャフトとCR-V純正ベースのデフを組み合わせた4WDに仕上げられている。
屋外通路の展示スペースに、特になんの説明もなく置かれたヴィンテージトラック・ベースのカスタムカー。超長いフレームのど真ん中にスーパーチャージャーを搭載したエンジンとミッションがマウントされ、そのずーっと後方にボディがあるというスーパーロングノーズを実現。車体後部にはウイリーバーとドラッグシュートが装備されている。こういった正体不明感がハンパない一台に遭遇するのもSEMAの醍醐味だ。
SEMAは車両の展示だけでなく、工作機械のデモンストレーション、各社のニュープロダクトの展示なども見どころのひとつ。世界140カ国から参加者が集まるだけに、ブースを飾るキャンギャルもグローバルで華やかな印象だ。屋外スペースでは同乗走行も可能な走行イベントが開催されていたり、50周年を迎えたミニカーブランドの『ホットウィール』が特設ステージを設けていたりと、本当に盛りだくさん。すべて見て回るには4日間あっても足りないほどだ。
- レーザーカッターで鉄板を切断するデモンストレーション。カーペットに火の粉が散ってもお構いなしの大らかさは、さすがアメリカ!
- 高圧洗浄機のブースでは来場者の靴をスチームしてあげるサービスも。SEMAの会場ではものすごい距離を歩いて靴もくたびれてしまうから、これはうれしい。
ニュープロダクトショーケースのコーナーには、各社が持ち寄った新商品が陳列されている。
- SEMAの会場を華やかに彩るキャンギャルたち。
フォードやコンチネンタルタイヤなどは屋外スペースで走行イベントも実施。
- 今年で50周年を迎えた「ホットウィール」の世界観を1/1スケールで再現。
- 室内の展示スペースに本物の天然芝を敷き詰め、ホットロッドでピクニックに来ましたという雰囲気を演出。ちょっとしたアイデアで展示方法に趣向を凝らすのもSEMAならでは。
(テキスト:小林秀雄 / 写真:平野 陽)
[ガズー編集部]
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