【連載全14話】第14話スズキ・セルボ・・・2サイクルエンジンのクルマ特集

現在のクルマのパワーユニットは実にさまざま。一方で絶滅危惧種となっている2サイクルエンジンのクルマを今回はピックアップ。日本やドイツで親しまれた小排気量車を中心に、週替わりで紹介します。

スズキ・セルボ

ジウジアーロが手がけたシティーコミューターのデザインをスズキが2ドアクーペにアレンジ、その車体のリアに水冷2ストローク3気筒エンジンを積み高性能なマイクロスポーツとして好評を博したのがフロンテクーペ(1971年)だった。同モデルは1976年に実施された360ccから550ccへの軽規格改訂を受けて生産終了となるが、翌1977年に新規格適合モデルとして復活したのがセルボである。

新規格に合わせてボディーは全長・全幅・全高ともに拡大され、新たにリアウィンドウは開閉可能となった。水冷2ストローク3気筒エンジンも356ccから539ccにスケールアップされたが、シングルキャブ仕様のみで最高出力は28PS。フロンテクーペ時代のハイチューン版の37PS(最終型は35PS)に比べると大幅な低下だが、石油危機を経て排ガス規制も始まった時代ゆえの必然だった。いっぽうで最大トルクは4.2kgf・mから5.3kgf・mへとアップし、発生回転数が低くなり、扱いやすさは向上した。

当然ながらモデルとしてのキャラクターも実際の走りもおとなしくなったが、当時の軽市場では唯一のスペシャルティーカーとして新たに女性ユーザー層を開拓するなど、まずまずの人気を得た。1979年にFFに転換した新世代の軽である新型フロンテ/初代アルトが登場した後も継続生産されていたが、1982年にそのフロンテ/アルトをベースとする2代目(4ストロークエンジン車)にフルモデルチェンジ。初代セルボはスズキのみならず、日本車としても2ストロークエンジンを積んだ最後の乗用車となった。

なお、その後も軽商用車であるスズキのキャリイには1985年まで、やはり商用登録のみだったジムニーSJ30系には1987年まで2ストロークエンジン搭載車が存在し、SJ30系は国産最後の2ストロークエンジン搭載四輪車となった。

[GAZOO編集部]

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