【連載全14話】第9話スズキ・フロンテ800・・・2サイクルエンジンのクルマ特集

現在のクルマのパワーユニットは実にさまざま。一方で絶滅危惧種となっている2サイクルエンジンのクルマを今回はピックアップ。日本やドイツで親しまれた小排気量車を中心に、週替わりで紹介します。

スズキ・フロンテ800

1963年秋の東京モーターショーでプロトタイプが披露されてから2年以上を経た、1965年の暮れに市販開始された、スズキ初の小型乗用車。日本車で初めてサイドウィンドウに曲面ガラスを採用した2ドアセダンボディーのスタイリングには、ミケロッティの関与がうわさされたものの、スズキの社内デザインである。

この連載でも何度か紹介したように、2ストロークエンジンを搭載する小型車の元祖的存在だったのが、ドイツのDKW。サーブや旧東ドイツのトラバントなどが手本としており、このフロンテ800もそうしたDKWフォロワーの一台。最高出力41PS/4000rpm、最大トルク8.1kgf・m/3500rpm(いずれもグロス値)を発生する、縦置きの785cc水冷2ストローク3気筒エンジンで前輪を駆動するというレイアウトは、DKWに倣ったものだった。ちなみにスズキは日本で初めてFF車を量産したメーカーで、小型乗用車にFFを導入したのもこのフロンテ800が初だったのだ。

ようやく発売されたものの、翌1966年には新世代の大衆車となるダットサン・サニーとトヨタ・カローラがデビュー。サイズ的にそれらより小ぶりながら、凝った設計とそれに伴う割高な価格、販売体制の弱さなどのために、フロンテ800のセールスはまったく振るわなかった。好調な軽自動車製造の片手間に1969年春までほそぼそとつくり続けられたが、約3年半の生産台数はわずか2717台と伝えられている。

[GAZOO編集部]

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