【連載全14話】第1話 DKWゾンダークラッセ・・・2サイクルエンジンのクルマ特集

現在のクルマのパワーユニットは実にさまざま。一方で絶滅危惧種となっている2サイクルエンジンのクルマを今回はピックアップ。日本やドイツで親しまれた小排気量車を中心に、週替わりで紹介します。

DKWゾンダークラッセ

現在のアウディのルーツのひとつであるドイツのDKW。1918年に2ストロークの自転車用補助エンジンを開発し、1920年代には二輪車(オートバイ)、そして四輪車市場へと進出した。四輪車に関しては、当初から一貫して2ストロークエンジンによる前輪駆動の小型車を製造していたが、初の戦後型が1950年にリリースしたマイスタークラッセ(F89)。フォルクスワーゲン・タイプ1(ビートル)にも通じる流線形のボディーに684cc水冷2ストローク直列2気筒エンジンを積んで前輪を駆動した。

その発展型として1953年に加えられたのがゾンダークラッセ(F91)。3=6とも呼ばれるモデルで、2ドア/4ドアサルーン、2ドアクーペ/カブリオレ、または3ドアワゴンというボディーは基本的にマイスタークラッセと同じだが、エンジンは最高出力34PSを発生する水冷2ストローク3気筒896ccに換装。またの車名である3=6とは、「2ストローク直列3気筒エンジンのバランスのよさとスムーズネスは、4ストローク直列6気筒エンジンに匹敵する」というDKWの主張に由来していた。

たしかに回転のスムーズさやパワーにおいては同クラスの4ストロークエンジンより有利で、排ガス(白煙)や燃費面でのデメリットはあったものの一定の人気と評価を確立。FFを含めたその基本構造はスウェーデンのサーブやわが国のスズキ、また東ドイツのトラバントやヴァルトブルクなどに大きな影響を与えた。

[GAZOO編集部]

【連載全14話】2サイクルエンジンのクルマ

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