【連載全14話】第9話 マトラ・シムカ・バゲーラ・・・軽さが走りに生きている! FRPボディーの名車特集

金属でできた製品というイメージが強い自動車ですが、なかには軽量化の観点から樹脂製のボディーを持つものも存在します。今回は、そのうちFRP(繊維強化プラスチック)をまとうモデルをピックアップ。週替わりで紹介します。

マトラ・シムカ・バゲーラ

ミサイル製造に始まる航空宇宙機器メーカーだったマトラ。1964年に世界初の市販ミドシップスポーツであるジェットを開発したルネ・ボネを傘下におさめて自動車部門が発足。モータースポーツにも積極的に参加してF1やルマンを制覇するなどの功績を残したが、その方面への支出がたたって財政が悪化、1969年にクライスラー・フランスと提携して社名をマトラ・シムカに改めた。

1973年、そのマトラ・シムカのブランドを初めて冠したモデルがバゲーラである。スチール製のモノコックにFRP製パネルをかぶせたボディーを持つ、それまでのマトラ車と同様のミドシップスポーツだが、ユニークなのはシートレイアウト。運転席の右側にパッセンジャーシートが2つ並んだ、横一列の3シーターだったのだ。そのため4m弱の全長に対して全幅は1735mmと、当時としては幅広のプロポーションを持っていた。

シートの背後に横置きされたパワートレインは、シムカ1100用を軽くチューンした1.3リッター直4 OHV(最高出力84PS)と4段MT。前年に登場したフィアットX1/9に続くエンジン横置きFF車のパワートレインを流用したミドシップスポーツとなるが、そもそもベースとなったシムカ1100はフィアット設計のモデルだった。1975年に1.4リッターの90PSユニットを積んだS仕様を加え、翌1976年にはフェイスリフトを実施。1980年に、同じく横3人掛けの後継モデルであるムレーナに交代するまでに約4万8000台がつくられた。

[GAZOO編集部]

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