【連載全12話】第3話 ボルボ1800ES…スタイリッシュな3ドアのシューティングブレーク/スポーツワゴン
流麗なスタイルでありながら、趣味を楽しむための実用性も兼ね備えるシューティングブレークとスポーツワゴン。今回は、なかでも個性派として知られる3ドアモデルをピックアップし、週替わりで紹介します。
ボルボ1800ES
1960年に誕生したボルボ初のスポーツカーであるP1800(後に1800S、1800Eに改称)。イタリアのカロッツェリア・フルアの手になる、その2+2クーペボディーの後半部を大きなガラスハッチを持つワゴンに仕立て直したモデルが、1971年に登場した1800ESである。デビューから10年を経て旧態化が隠せなくなっていた、ウエストラインが高くキャビン部分が小さいクーペのデザインを、スポーティーな雰囲気にうまく転化させていた。
車名が示すとおりP1800のエンジンは1.8リッターだったが、1800ES(およびクーペ版の1800E)ではインジェクションを備えて最高出力120PSを発生する2リッター直4 OHVを搭載。変速機は4段MTで、3段ATがオプション。安全性を重視するボルボだけに、ブレーキは4輪ディスクにアップグレードされていた。
市場ではまだ珍しかったスポーツワゴンの先駆けとしてまずまずの人気を得て、1800Eの延命という意味では成功した。だが基本設計が1950年代にさかのぼるモデルであるだけに、主要な輸出先だった北米の安全基準への対応が困難になったこともあって、1973年に生産終了した。ボルボ史においては新たなカテゴリーを開拓した重要な存在のようで、後の480やC30などにそのスタイリングモチーフが引用されている。
[ガズー編集部]







