【連載全17話】第4話 フィアット8V・・・パワフル&ゴージャス! V8エンジン搭載車

排気量のダウンサイジングが進むなか、徐々に数が減りつつあるV8エンジン搭載車。今回は、かつて輝きを放った国内外のV8モデルをピックアップし、週替わりで紹介します。

フィアット8V

草創期こそ大型高級車やレーシングカーで名をはせたものの、もっぱら量産小型車のメーカーとして知られるフィアットが手がけた、唯一のスーパースポーツにしてV8エンジンを搭載したモデル。それが1952年のジュネーブモーターショーでデビューした、その名も8Vである。全体的な設計は1930年代から1970年代初頭までフィアットの技術部門を率いたダンテ・ジアコーサが担当したが、シャシー設計には、フィアットのメカニカルコンポーネンツを使ったスポーツカーをつくっていた、小メーカーのシアタが関与したともいわれている。

社内デザインのほか、外部のカロッツェリアによるデザインも複数存在する2ドアクーペボディーは、セミモノコック構造で四輪独立懸架を備える。もともと高級サルーン用として開発されたが、サルーンの計画が中止されたためスポーツカーに転用されたというエンジンは、70度という珍しいバンク角を持つオールアルミ製のV型8気筒OHV。排気量は市販車用V8としては最小の部類となる2リッターで、ウェバーのツインチョークキャブレターを2基備え、初期型では最高出力105PS/5600rpmを発生。4段MTを介しての最高速度は190km/hといわれた。後にエンジンのカムシャフトを替えて115PS/6000rpm、さらに圧縮比を高めて127PS/6600rpmまでパワーアップした。

フェラーリやマセラティにも対抗できる存在だった8Vは、1954年までに114台がつくられたといわれている。うち34台は社内デザインのボディーを載せ、残りはギア、ザガート、ヴィニャーレなどのカロッツェリアがさまざまなボディーを架装した。なかでも“スーパーソニック”と称するギア製のモデルは有名である。またV8エンジンは前述したシアタにも供給され、同社オリジナルモデルの208S/208CSが50台以上つくられた。

[GAZOO編集部]

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