【連載全17話】第11話 オールズモビル・トロネード・・・パワフル&ゴージャス! V8エンジン搭載車

排気量のダウンサイジングが進むなか、徐々に数が減りつつあるV8エンジン搭載車。今回は、かつて輝きを放った国内外のV8モデルをピックアップし、週替わりで紹介します。

オールズモビル・トロネード

1936年から1937年にかけて少量生産されたコード810/812以来、アメリカ車としてはおよそ30年ぶりとなる前輪駆動車がトロネード。ゼネラルモーターズ(GM)の今はなきディビィジョンであるオールズモビルから、1966年に登場した。トロネードはフルサイズの高級パーソナルカーであるため、スペース効率の向上といったFF採用の必然性は見当たらないように思えるが、将来に備えての技術導入のほか、フロアを広く低くできるのは高級車にとってもメリットがあるといわれていた。

ペリメーターフレームに載る2ドアハードトップクーペボディーは、ホイールベース3020mm、全長×全幅×全高=5360×1990×1340mmという堂々たるサイズ。その大きさを生かしたロングノーズ、ショートデッキの伸びやかなプロポーションで、スタイリッシュかつ新たな方向性も感じさせるデザインだった。フロントに縦置きされた7リッターの90度V型8気筒OHVエンジンは、SAEグロスで385HPを発生。エンジンの背後に置かれた3段AT、そしてエンジンの下方に位置するファイナルドライブを介して前輪を駆動し、パフォーマンスは最高速度217km/h、0-60mph(97km/h)加速9秒以下と公表された。

2ドアクーペといえども、FFの採用により実現したフラットフロアをアピールするためATセレクターはコラムにあり、標準のフロントシートは座面がベンチでバックレストのみが分割された6人乗り。セパレートシートおよびセンターコンソールはオプションだった。

多分に冒険的なモデルではあったが、初年度のセールスは4万台以上を記録。これに自信を得たGMは当初の計画どおり、翌1967年にはキャデラックの最高級パーソナルクーペであるエルドラドをトロネードとプラットフォームを共有する前輪駆動車へと転換したのだった。

[GAZOO編集部]

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