【お台場旧車天国2018 愛車紹介】車検取得のために元オーナーを探した苦節7年、レアな“当時モノ”カラーの2代目サンバー

最近では家電を購入する際にもインターネット通販を利用するひとが増えているが、少し前には量販店全盛の時代があり、さらにさかのぼると個人商店による街の電器屋さんが家電購入の窓口となっていた。当時、そのような街の電器屋さんの看板としての役割を果たしていたのが、ひと目でどこの家電メーカーかがわかるよう宣伝広告を兼ねたカラーリングが施された営業車だ。

『ナショナル電設資材』という名前が入ったこの2代目サンバー(K55)を現在所有しているのは、電材屋さんとはまったく関係のない職業に就く40代のオーナー。趣味でガレージに自己所有するサンバーは、車検なしの部品取り用も合わせて10台以上もあるというほどのマニアだが、手に入れた数々のサンバーのなかでも、とくに乗るまでに苦労したのがこの1台だったという。

「最初はネットオークションを通じてこのクルマを購入しました。不動車になって手放されてから、だれも修理できず走れないままオーナーがめぐりめぐったようで、車検に必要な書類も一切ない状態で出品されていました。でも、このサンバーは当時の電器屋さんでよく知られている水色・白・赤の『ナショナルカラー』ではなく、これまで見たことがない珍しいカラーだったので、どうしても欲しいと思ったんです」とオーナー。

「新規車検登録に必要な書類が揃っていない状態だったのですが、どうしても車検をとって乗りたかったので、このクルマの書類を手に入れようと必死になりました。まずは出品者に話を聞くとリサイクルショップから手に入れたものだとわかり、そこでも話を聞くと一度、無線屋に渡っていたらしいと言われました。そこで目星を付けた地域の無線屋さんを聞いて回ったところ、ようやく最初のオーナーの電材屋さんを見つけることができました」
そしてオーナーにサンバーを手に入れた経緯と、再び車検をとって乗りたい意思を伝えると快く協力してもらうことができ、必要書類を用意。パーツも揃えて修理も完了したことで晴れて車検を取得できたのだという。同様にそのままのカラーリングで乗ることについても承諾をもらったが、屋号だけはオーナーが当時の名前のまま営業を続けていたため『松下電材』と書き変えている。
こうして、晴れてナンバーを取得することができたときには、最初にネットオークションで車体を購入してから7年間もの歳月が経過していた。

直列2気筒の360ccエンジンを積み、RRのレイアウトは初代と同じ。こちらはエンジンのある最後部の高さのままフラットに荷台が設計された高床タイプとなっている。サンバーといえば、積載量を増すためエンジン位置の荷台高さは変えずにホイールベース部分の荷台をひざの高さまで下げた『バスタブ』形状の低床タイプもポピュラーだが、おそらく電材屋での用途にはフラットな高床タイプのほうが使い勝手が良かったのだろう。

トラック仕様だが荷物がむき出しにならないように、オーダーメイドのホロも装着されている。荷台を見せていただくと、サンバーに乗って息子と一緒に楽しむというキャンプ道具一式が積まれていた。そもそも、オーナーがサンバーを好きになったのは、子供が生まれていっしょにトミカを集めだしたときに買った、スバルリミテッドのサンバーをとても気に入ったのがキッカケだったという。

イベント会場にもいっしょに訪れていた11才と9才になる男の子は、どちらもお父さんの影響でクルマ好き。この日の会場で一番気に入ったクルマは「初代のクチビルサンバー!」とのことだが、父の2代目サンバーももちろん大好き。休日の楽しみのひとつはサンバーだけが10台以上もある父のガレージで過ごすこと。このサンバーに装着されているホイールカバーを磨くのを手伝うなど、すでにクルマ好きへのエリートコースを邁進しているようだ。

(テキスト:長谷川実路 / 写真:堤 晋一)

[ガズー編集部]

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