【RX-7 40th Anniversary 愛車紹介】廃車寸前の状態からDIYで見事復活!!ロータリー搭載のマツダ最上級サルーン、ルーチェレガート
「旧車が好き、なかでもセダンスタイルが好きなので、本当は箱スカが欲しかったのですが、10年くらい前にめぐり逢ったのがこのクルマでした。なんともダサいスタイルに、ロータリーエンジンを搭載しているというギャップが気に入っています」いう山本耕治さんの愛車は、マツダのルーチェレガート。果たして日本に何台残っているのやら? という、なんともレアなクルマである。
もともとは知り合いがコスモAP用の部品取り車として所有していたものだが、解体してしまうと聞いて“もったいない病”が発症!? それまで乗っていたトヨタのGX71マークⅡと物々交換で譲り受け、DIYでコツコツと修理や整備をおこないながら維持してきたそうだ。
一般的にこの手のクルマのオーナーさんは普段乗り用に別のクルマを所有していることが多いが、山本さんの場合はこのルーチェ1台で通勤やお子さんの送迎などもこなしているというからさらに驚いた。
マツダ・ルーチェは1966年から1995年までの約30年に渡って生産された高級車シリーズで、車名の“LUCE”はイタリア語で“光”を意味する。初代モデルはイタリアのベルトーネ社がデザインした流麗なデザインが特徴の4ドアセダンで、当時人気を2分していたトヨタ・カローラと日産・サニーよりも大きなサイズの6人乗りと豪華な装備でハイソカーの先駆けとなった。
山本さんのルーチェレガートは1977年にデビューしたシリーズ3代目の最高級モデルとして設定されたもの。
日本車離れした縦型2灯ヘッドライトのフロントデザインが特徴で、ボディデザインは4ドアハードトップと4ドアセダン、のちにバンも追加された。
エンジンは山本さんのクルマに積まれている13Bロータリーのほかに、12Aロータリーと2000cc、1800cc(セダンのみ)が設定されていた。この型の輸出向けのモデルは、ロータリーエンジン搭載車がマツダ・RX-4、レシプロエンジン搭載車がマツダ・929の車名で販売されていた。
オリジナルにこだわることなく、好みのスタイルに仕上げられている山本さんのルーチェレガート。特徴的なボディスタイルにも負けずに存在感をしっかりと主張しているアルミホイールは、ワークエクセルの14インチ。PCD120という特殊なサイズに対応したレアものだ。
程よいローダウンスタイルを実現させるために、フロントにはマツダ・サバンナSA22C RX-7用の車高調を流用して装着。リヤは流用できるものがないので、スプリングをカットして対応しているという。クラシカルな雰囲気のグレー系塗装もDIYで「これまでに3回くらい全塗装しています。こだわりをもって選んだ、と言いたいところですが、実際はたまたまこの色の塗料が安かったんです(笑)」とのこと。
実用車ということもあり年式相応の劣化は否めないものの、豪華なモケット張りのシートは当時からの純正で、ステアリングはコンソール類に合わせてウッドタイプの3本スポークに変更。タコメーターは壊れてしまったので、仕方なく社外品を使うことになったが、メーターパネルを加工して違和感のない仕上がりとしている。
約40年も前のクルマということもあり、近年はとくにドアノブなど樹脂製パーツの劣化が深刻。当然純正パーツもとっくの昔に廃版となっているので、ネットオークションをフル活用で対応しているそうだ。
オーディオ類は当時モノの据え置き型リヤスピーカーを装備。信号待ちなどで後ろについたら思わず「懐かしい〜!」とつぶやいてしまうオジさんも少なくないのでは!?
発売当時は「レシプロの2.6~2.8Lクラスに匹敵」というキャッチコピーで高性能を誇った13Bロータリーエンジンであったが、手に入れた当時は純正のキャブレターが取り外されていたため、ウエーバー製のキャブレターに変更。トラブルのリスクを軽減させるためにエアコンを撤去し、ラジエターファンも電動化。エンジンからベルト駆動しているのはオルタネーター(発電機)のみとしてエンジンにかかる負荷を減らしている。
高級セダンにマッチしたオーバルテールのマフラーも、DIYでワンオフ製作したものだ。いうまでもなく山本さんの希望は、これからも長くルーチェレガートに乗り続けること。「そのために欠かせないのがパーツの確保ですね。いざという時にすぐに対応できるように、エンジンとミッションはそれぞれ2機ずつストックしています」と山本さんは語ってくれた。
この日は、旧車ミーティングがキッカケで知り合ったという、これまたレアな3代目コスモと並んで展示していたこともあり、来場者からの注目度はバツグン!!
コンテストクオリティを維持するコスモも素敵だが、この独特な風貌のクルマが家族の一員として街中を走り回り、休日にオーナーの手によって整備されている姿を想像するだけで、自然と心が和んでくる気がした。
[ガズー編集部]
「RX-7 40th Anniversary at FUJI SPEEDWAY」の記事
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