【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】奥様がメンテ&カスタムを担当!!乗り続けて30年の北米向け左ハンドルモデルMR2
クルマのカスタマイズには、純正風や走り屋風、レプリカ系や痛車、最近流行のスタンス系(足回りのかっこ良さを求めるカスタマイズ)などなど、さまざまなジャンルがある。『USDM』(「United States Domestic Market(アメリカ国内市場)」の略)と呼ばれるカスタマイズもそのひとつで、日本車をベースにアメリカ向けの輸出仕様のスタイルを目指すというのが特徴だ。
「もともとはST162型のセリカでUSDMカスタムを楽しんでいたのですが、約30年前に大手の大型中古車店で発見したのがこのAW11型MR2でした。よく見てみるとなんと左ハンドルのアメリカ仕様で『これぞ本物のUSDM仕様だ』ということで、社会人になって最初のボーナスをつぎ込んで乗り換えました。購入価格は250万円でしたから、国内モデルとそれほど差がなかったんですよ」と説明してくれたのは、オーナーの岩本さん。
取材陣もウッカリ見過ごしそうになったが、岩本さんのAW11はなんと左ハンドルの逆輸入車だったのだ。
国産量産では初となるミッドシップレイアウトを採用したコンパクトスポーツモデルのトヨタ・MR2。その初代モデルが1984年にデビューしたAW11型だ。豊田英二社長(当時)の肝いりで開発したと言われるモデルで、プロトタイプとなる試作車のSV-3が1983年の東京モーターショーで発表。リヤスポイラーの形状やTバールーフからムーンルーフへの変更などがおこなわれ、車両価格を抑えるためにエンジン&ミッションおよび足まわりはFFモデルのE80系カローラのものを流用して量産化された。
国内モデルのエンジンバリエーションは下位グレードのSに1.5Lの3AーLU(搭載車の型式はAW10となる)、上位グレードのGとGリミテッドには1.6L4気筒DOHCの4AーG(自然吸気)を搭載。1986年には大規模なマイナーチェンジが施され、内外装のほかG、Gリミテッドにスーパーチャージャー付きの4AーGZ搭載モデルが設定された。
岩本さんのAW11は1985年の前期モデルだが、北米向けには後期モデルにもスーパーチャージャー付きは設定されず、エンジンは自然吸気の4AーGタイプのみとなっていたようだ。特徴的なブルーメタリックのボディカラーも、オールペンしたものではなく純正色とのこと。
購入から30年が経過し、乗り出した当時は3000マイル(約4800km)だった走行距離は現在12万マイル(約19万3000km)に達している。MR2の魅力はやはりその走りで、とくにワインディングでの気持ちよさは格別。軽く流しているだけでも楽しくなってしまうという。
これまででいちばん大きなトラブルはエンジンブローで、その際にエンジンの載せ替えをおこなっているとのこと。また好みに合わせてアフターパーツへの交換もおこなっていて、マフラーはフジツボ製に変更、サスペンションはTRDのノーマル形状スポーツサスによって走りのパフォーマンスアップと程よい車高ダウンを実現している。シルバーの5本スポークホイールは、スターフォルムの15インチ。ホイールからのぞくブレーキディスクは、純正を加工したドリルドタイプだ。
インテリアもしっかりと手が入れられていて、シートは運転席、助手席ともリクライニングタイプのレカロを選択。座面と背中部分のクッションは、ボディカラーとのコーディネートでブルー系の表皮で張り替えられている。モモ製のスポーツステアリングも、同様にスポーク部分がブルー系に塗装されていた。
驚いてしまうのは前述のエンジン載せ換えも含め、クルマのメンテナンスやカスタマイズのすべてを奥様が担当しているということ。しかも整備士などの仕事をしているわけではなく、作業は独学で覚えたというから驚きだ。
「妻とはAW11が縁で知り合い、妻も自分のAW11を所有しています。電気系以外の整備やカスタムはすべてやってもらっています。手伝いたい気持ちはあるのですが『かえって面倒なことになるので手を出すな』って言われちゃうんですよね(笑)」なんだそうだ。
維持していくうえでの苦労は、やはり輸出仕様ならではのパーツ調達。「吸気系とブレーキ、クラッチが日本仕様と異なるんです。パーツ類は基本的にアメリカから個人輸入していますが、今のところだいたいのものは手に入れられます。そのほかでは、195/50R15というサイズのタイヤの選択肢があまりないのが苦労といえるかもしれませんね」と教えてくれた岩本さんは、そうした苦労すら楽しんでいる様子だ。
じつは岩本さん、このMR2のほかにもAE86の輸出モデルであるカローラスポーツも所有しているという根っからの左ハンドルフリーク。「現状維持を心がけながら、あと20年は乗り続けたいです」というのが目下の目標だそうだ。
(テキスト:川崎英俊 / 写真:平野 陽)
[ガズー編集部]
「TGRF2018 @富士スピードウェイ」の記事
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