【RX-7 40th Anniversary 愛車紹介】参戦歴30年のラリーストが選んだ日本で唯一の!? FD3Sラリー仕様
『RX-7 40th Anniversary at FUJI SPEEDWAY』のパドックでひときわ異彩を放っていたのが、フロントに装着されたライトポッドとやや高めの車高設定が目を引くこのFD3S。
さっそくオーナーさんにコンタクトを取って話を伺ってみると、なんと現役でラリー参戦中の競技車両なうえに、2017年長野県シリーズのBクラスチャンピオンを獲得し、このイベント直前の9月にも東日本ラリーシリーズ第8戦のBC3クラスで優勝を果たしているというトップランカー!!
オーナーは現在55歳の佐川孝さん。ラリー参戦歴は長く、18歳の時にKP61スターレットで競技生活をスタートし、その後はSA22CサバンナRX-7やBFMRファミリア4WDターボ、E39AギャランVR-4、GC8インプレッサとマシンを乗り継ぎながらステップアップを果たしていったという。
そしてしばらくのブランクを経て、2005年からラリー参戦を再開することに。「若い頃とちがって今度は趣味としてのラリーということで、大好きなAE86でマシンを作りあげました。しかしシーズンを重ねるうちにボディのあちこちにダメージが蓄積してきて、このままではヤバイ!ということでAE86は街乗り用として温存することにしました。そして、2011年からこのFD3Sにマシンをスイッチして参戦しています。FD3Sで参戦している人は他にはいないんじゃないですかね」と佐川さんは説明してくれた。
マツダを代表するスポーツカーRX-7シリーズの最終モデルとなったFD3S型は、1991年に販売店系列の名を冠して『アンフィニRX-7』としてデビューし、2002年の販売中止まで11年間に亘って販売されたロングセラーモデルであった。
新開発のボディは“ピュアスポーツカー”として軽量・高剛性を追求したもので、サスペンションには4輪ダブルウィッシュボーン形式を採用。
エンジンはシーケンシャルツインターボシステムを組み合わせた13Bロータリーで、初期型は255ps、最終型では280psにまでパワーが高められている。
佐川さんのラリー仕様は、中期モデルと呼ばれるIV型のタイプRB。メカニカル面ではECUの変更やブースト圧の向上により、MT仕様車の最高出力が265psまで工場。エクステリアではテールランプが丸型3連タイプに変更となっている。またアンフィニ店の廃止により、車名が『マツダ・RX-7』に変更された。
FD3Sをベースにラリーカーを製作するのは、決して楽な作業ではなかったと佐川さんは振り返る。もっとも大変だったのは専用パーツがないこと。というのも、サーキット走行やストリートカスタム用のパーツは豊富なFD3Sだが、ラリー用のパーツはほとんど存在しないのだ。
そのため、ライトポッドは英国から輸入したモノを自作したステーで装着。ダート走行時に下まわりの破損を防ぐアンダーガードや泥除けも、車両に合わせてワンオフ製作しているという。
また純正よりも小径のダート走行用15インチタイヤを履くために、何種類ものホイールを試したほか、ブレーキキャリパーと干渉してしまうサスペンションアームなどにも加工が加えられている。
競技規則に合わせてエンジンはノーマルのままだが、熱対策のためインテークパイプに放熱塗装を施し、ボンネットもエアアウトレット付きに交換済みだ。
室内は走りに集中するために機能的にセットアップ。ステアリングはセンターマーク付きのディープコーンタイプで、メーターフードには視認性の高いブースト計と油温計を追加。サイドブレーキのリリースノブ部は、スピンターンを行うために専用パーツを装着している。
ナビシート(助手席)の前には、走行距離と時間を正確に把握するためのラリーコンピュータを装備。ナビゲーターとのコミュニケーション用インカムもラリーでの必需品だ。
リヤゲート内のトランクスペースにはスペアタイヤのほかにトラブル対応に備えた工具やオイル、スペアパーツなどを積み込んでいるが、車内スペースの限られるFD3Sではスペアタイヤが1本しか積めないのがツラいところ。
こんなガチレースカーではあるものの、決して競技専用と割り切っているわけではなく、彼女をナビシートに乗せてドライブを楽しむこともあるそう。「AE86もFD3Sのどちらも“カッコいいFRスポーツ”というのがベースマシン選びのポイントなんです。そして、それを飾っておくんじゃなくて走らせてこその愛車だと思っています」と佐川さん。
車齢20年以上が経過して補修用の純正パーツも年々入手が困難になってきているが、これからもできる限り長くこのFD3Sでラリーを続けていきたいというのが、目下の願いだという。
[ガズー編集部]
「RX-7 40th Anniversary at FUJI SPEEDWAY」の記事
【愛車紹介】マツダ車
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