初の愛車への熱い想い。2009年式ダイハツ・コペン アルティメットエディションII(L880K型)と走り続ける女性オーナーのカーライフ

「クルマ好きな女性」は、まだまだ少数派かもしれない。しかし、少数派だからこそ惹かれていった理由をより深く知りたくはならないだろうか?

今回の主人公は、ダイハツ・コペン(L880K型)の初代モデルを所有する女性オーナー。以前登場した、ロータス・エリーゼRのオーナーその人だ。オーナーにとって、初めての愛車であるこのコペンは、エリーゼRを手に入れてからも変わらず大切に乗り続けている。前回のインタビューで、彼女はこう話していた。

「どちらかを手放すなら、2台とも手放す」

断固とした決意で2台を所有し続けるスタイルは、クルマ好きとしてより一層潔い。そんな気概が、彼女をより輝かせているように感じた。

今回はオーナーに、クルマ好きのきっかけとなったコペンとのストーリーを伺っていくことにしよう。

ダイハツ・コペン(L880K型、以下コペン)は、オープンスポーツの軽自動車だ。オーナーの愛車は初代モデルで、2002年から2012年まで生産された。軽自動車では初とされる電動ルーフ「アクティブトップ」を選択できて、気軽にオープンドライブを楽しめる。ちなみに、この「コペン」という車名は「コンパクトカー(Compact)のオープン(OPEN)」を意味する造語だとされている。

なんといっても、まるで小動物を思わせる外観は、ずっと眺めていたくなる可愛さだ。丸みを帯びたフォルムに、丸目のライトが愛くるしい。女性はもちろんのこと、幅広い世代を魅了し、今も中古車市場で高い人気を誇る。

オーナーが所有する個体は、2009年式のATモデルだ。新車で購入してから10年が経過した。現在の走行距離は約4万キロ。グレードは「アルティメットエディションII」と呼ばれる特別仕様で、スポーツサスペンションやバケットシートなどを装備、さらに上質感のある外装と内装が追加されたグレードだ。

コペンのボディサイズは全長×全幅×全高:3395×1475×1245mm。駆動方式はFF。排気量659ccの直列4気筒DOHCツインスクロールターボJB-DET型エンジンは、最高出力64馬力を発生し、キビキビとした走りを楽しめる。

まずはオーナーに、愛車に出逢ったきっかけを伺った。

「コペンの存在を知ったのは、ディーラーに貼ってあったポスターでした。当時はクルマにも興味がなく、当初の印象としては“可愛いし、親のクルマとして家にあったら”と思ったくらいでした」

いざ免許取得となったとき、欲しいクルマの候補にコペンは入っていたのだろうか?

「コペンも漠然と入っていましたが、さまざまなクルマを調べていました。性能は二の次で、とにかく見た目が気に入ったクルマをピックアップしていたんです(笑)。マツダ・ロードスター、BMW・Z3、ヴィーマック・RD200、アウディ・TT 、PT・クルーザーなど可愛らしい見た目が好きで、候補に挙げていました」

漠然とした候補とはいえ「ヴィーマック」とはマニアックだ。当時はクルマに興味がなかったとはいうものの、オーナーの好奇心旺盛な人柄が垣間見えるようなチョイスだ。

実際にコペンを手に入れた経緯は?

「最初は、通勤に使うクルマが欲しかったんです。自宅から職場までが遠距離だったので、軽自動車を条件に良いクルマはないかとダイハツで探すことになりました。当時、私の父親がダイハツの軽自動車に乗っていたので、あたりまえのようにダイハツのディーラーへ行き、気がつけばトントン拍子でコペンの購入が決まっていました」

「アルティメットエディションII」を選択した理由は?

「可愛い見た目と、好みの装飾が選べる点でした。メッキパーツがあまり好みではないので、光沢を抑えたメッシュグリルを選べる点、足回りや補強パーツのスポーツ装備がすでに備わっている点などです」

こうして、初の愛車としてコペンを手に入れたオーナー。クルマ好きへと目覚めていった過程を詳しく伺った。

「通勤や近所へ買い物程度のつもりが、運転が楽しくなってきて、気がつくと山奥の林道にいました(笑)。走ることが目的になってから、チューニング系の雑誌やメンテナンスの本を読むようになり、クルマが趣味であると自覚するようになっていました」

オーナーをクルマ好きに「覚醒」させたコペン。オーナーはこのクルマにどんな魅力を感じたのだろうか。

「山道の狭くタイトなカーブを、難なく曲がっていく性能に驚きました。もし、ワンボックス系やハイトワゴン系の軽自動車に乗っていたなら、スポーティな乗り味を知ることはなかったと思いますね。コペンのおかげで操る楽しさ、コーナリングの快感・ターボの加速感・足回りの動きを感じながらクルマと一体になれる心地よさを感じられるようになれたかなと思います。それからデザインが大好きです。個人的に、日本車ではダントツの可愛さだと思っています。こういうと、家族にはあきれた風に聞き流されるのですが、よく“小さいスポーツカーの赤ちゃん”と形容しています」

コペンに乗ったことで、今までなかった感覚へのセンサーが磨かれていったのかもしれない。逆に、コペンのマイナスな点、例えば乗り心地の悪さや走行音の大きさなど、快適さを削ぐような点に気づくことはあったのだろうか。

「同乗者に言われるまで気づかなかったですね(笑)。乗り心地の悪さや、オープンカーによくあるカタカタという『きしみ音』などは、“そういうもの”だと思っていましたから」

クルマの魅力に目覚めてから今まで、コペンに少しずつ手を入れながら「自分仕様」に育ててきたというオーナー。ここで、どのようなモディファイが加えられているかを伺っていこう。

「純正のシルエットは崩したくないので、内装や排気系などを中心に手を入れていますね。K&N製のエアクリーナーとSACLAM製のマフラーに交換したショップがきっかけとなり、そこで体に合ったRECARO製のシートに出会いました。そして、このシートに合う色で、ドアパネルを含めて内装を統一しています。ブレーキホースとリアブレーキシューはプロジェクト・ミュー製を、フロントブレーキパッドはZONE製を選んでいます」

あくまで主張することなく、愛車に馴染んだ自然なモディファイに、オーナーらしさがあらわれている気がする。ここまで愛車を大切にしているからこそ、あえて意地悪な質問を投げかけてみた。コペンとロータス・エリーゼRの他に欲しいクルマが出てくることはあるのだろうか。

「乗ってみたいクルマはありますが、あくまで試乗レベルであってそれ以上はないですね。今の愛車を売ってでも欲しいクルマは存在しません。よく“現行のコペンが欲しくならないのか”と訊ねられることもありますが、私はこの初代モデルが好きなんです」

最後に、今後愛車とどう接していきたいかを伺った。

「このコペンで買い物に行きますし、ドライブも楽しんでいます。それは今後も変わらないと思います。そして、コペンとロータス・エリーゼRのどちらかを手放すような状況になれば、2台とも手放します。例え増車はあっても減ることはないですね。2台とも車台番号も覚えているくらい、愛着を持っているつもりです。末長く付き合っていけたらいいですよね」

インタビュー中、自らのカーライフを語る口調は一見クールなのだが、質問の一つひとつでクルマ好きの本質がズバリと語られ、そこにオーナーの熱い想いを感じることができた。

「この2台があれば、物欲は起こらない」

というオーナー。最愛のコペン、ロータス・エリーゼRと駆けるカーライフに、これからも幸多からんことを。そして、女性のクルマ好きがより増えるようにと、願わずにはいられない。

(編集: vehiclenaviMAGAZINE編集部 / 撮影: 古宮こうき)

[ガズー編集部]

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