希少SUVミューを愛するオーナーが語る、いすゞ車の魅力とは【取材地:鹿児島】
「いすゞのクルマ作りって、昔から万人受けじゃなくて『好きな人がわかってくれればいい』という姿勢が感じられて、そういうところが自分に合っているな〜と勝手に共感していました。そういう独自性に魅力を感じるんです」
こう熱心に話してくれたのは、インパクトのある独特なフォルムが目を惹くいすゞのSUV、ミュー(UES25EW)をこよなく愛する鹿児島県霧島市在住の宮越威さん(52才)。18才で免許を取得してからいすゞのクルマを乗り継ぎ、現在はこのミューと共に過ごす非日常的な時間をとても大切にしているオーナーさんだ。
彼が魅了されているいすゞの独自性をとは具体的にどのような点なのだろうか。宮越さんに愛車ミューへの想いを伺うことで、コアなファンを虜にするその魅力が鮮明になった。
そもそもいすゞ自動車と聞くと、現在はトラックやバスなどの大型ディーゼルの商用車を作るメーカーというイメージのひとも少なくないかもしれない。しかし、名車として多くのファンを魅了し続けている117クーペをはじめジェミニやピアッツァなど独自色の強い乗用車を生み出し、ワンボックスカーやこのミューなどのSUV車も自社開発・販売する乗用車部門が存在していたのだ。
そんないすゞ車に宮越さんがどっぷりとハマることになった要因は、子供時代に遡る。
「もともとスーパーカー世代で小さな頃からクルマが大好きだった上に、父がいすゞ関係の仕事に従事していて、生まれたときから117クーペの姉妹車でもあるフローリアンに乗っていたんです。つまり僕はいすゞのクルマで育ったようなものなんです。なので18才で免許を取って初めて新車で買ったクルマもジェミニでした。まだ学生だったので親にお金を借りましたが…。そのあとはジウジアーロがデザインしてとてもカッコよかった初代のピアッツァに、その後は四駆が流行ったこともありビッグホーンに24才から32才まで乗っていましたね。その頃はインターネットで繋がったいすゞの四駆乗り仲間とよく遊んでいて、当時の四駆専門雑誌にも載せてもらったりしたのは良き思い出です」
その後、転職で当時住んでいた大阪から地元の鹿児島に転職した宮越さんは、ボコボコになったビッグホーンを手放し他社のデミオやジムニーに乗ったものの、また懐かしさからビッグホーンの海外版であるホンダのホライズンを購入。
そして、8年前の2013年にはホライズンからの乗り換えという形でこのミューを手に入れたという。
「もともとミューはずっといいないなと思っていたんですけど、買うつもりはなくて。でもインターネットで見ていて衝動買いしてしまいました。魅力的なミューが出ていたから、そっちに乗り換えたという感じですね。50万円弱なので安かったですよ!」
1989年に発売された初代ミューは、3ナンバーのSUV なのに2シーターで5速MT設定のみ、さらに後ろがオープンという独創性あふれる設定で注目を浴び、2代目モデルも1998年から2002年まで国内で販売された。
2001年登録のこのクルマは2代目のマイナーチェンジ後モデルで、中でもオープントップで6VD1型ガソリンエンジンを搭載したこの型式(UES25EW)は、宮越さんによると総生産で130台ほどというレアモデルなのだとか。
「ミューの魅力ですか? 一番はオンリーワンなところですね。今では絶対に同じクルマとすれ違いませんし『なんていうクルマですか?』と声をかけられるのもすごくうれしいです。それに屋根も後ろも空いて開放感抜群なのもすごく気に入っています。まあ、火山灰が降るところでオープンなのはおかしいんじゃないかと言われますけど(苦笑)。正直、ボディは大きいのに2ドアの幌仕様で荷物もあんまり乗らなくて、使い勝手は良くないし乗り心地もいまいち。それに燃費も悪いしエンジンはうるさいし(笑)。でも、8年間乗っているけれどもこれがまったく飽きないんですよ! とても趣味性の高いクルマなんだと思います」
オーナー自身がイマイチと話すマイナス要素がありながらも、圧倒的なインパクトと非日常感をもたらす存在感で宮越さんを夢中にさせているミュー。そんなこのクルマのこだわりをうかがった。
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「純正から変わっている部分といえば、前のオーナーが手がけたものですけど車高調を交換してタイヤをインチアップしているのと、バンパーが装着されている点ですね。タイヤはこれよりもっと太いサイズがついていたのですが、燃費が悪いし走りづらいのでこれでも細くしたんです。海外のBFグッドリッチというオフロードユーザーに人気のタイヤなんですけど、なかなか予備タイヤのカバーが合うのがなくて。たまたま見つけたFJクルーザーのカバーがピッタリだったので愛用してます」
「予備タイヤの隣のスヌーピーステッカーは奥さんの好みに合わせて貼りました(笑)。あとは “無事帰る”の意味も込めてカッティングシートで自作したカエル。それとサイドに貼ったISUZUのステッカーはネットオークションで見つけたトラック用で、いすゞ愛の自己主張です(笑)」
さらに今回は撮影ということで、より非日常感を高めてくれるお気に入りアイテムの4灯ルーフライトも装着してドレスアップ♪
そして内装はほぼノーマルのままとのこと。ただ「古ぼけてきたので座席は変えたいなと思っていますし、外装も全塗装でキレイにしたいですね。20年後も乗っていたいので、そのためにできることはしていきたいと思ってます」と、この愛車を維持していくための努力を惜しまない決意だ。
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宮越さんが気に入っているポイントはまだまだあるようで、美しい1枚の写真を見せてくれた。
「四駆なのにくびれたフォルムなところが気に入ってます。こんな感じで真上からみるとよくわかると思いませんか? これは僕がドローンで撮影したものなんです」
実は宮越さんは前職でカメラ関係の仕事をされていたそうで、この写真の仕上がりにも納得。ちなみに現在は大手住宅メーカーの営業マン。アウトドアな雰囲気のミューと取材時のスーツ姿とのミスマッチ具合がたまらなくいい味を出していた。
「ほかにもSUVならではの目線の高さと取り回しのよさも好きです。あとSUVとしては小積載かもしれませんが、妻と普段のドライブに行くくらいならこのラゲッジスペースでも十分。牽引ロープはオフロードをやっていた時期があったので、今でも習慣で積んでいます。それに幌を開けてオープンにしたときの解放感のある雰囲気も好きです。さすがに普段は締めた状態で乗っていますけどね」
こうして宮越さんを夢中にさせているミューだが、珍しいクルマだけに、維持する上での苦労がないのか気になるところ。
「苦労はないです。というのも自宅から歩いて2分の距離にある三好自動車さんにお願いすると、ほとんど解決するので助かっています」と、信頼できる整備士さんが身近にいるから、安心して乗ることもできるというわけだ。
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普段の仕事では社用車に乗っているため、ミューには週に1回乗るか乗らないかという頻度ということだけれど、近くの『えびの高原』や海沿いのドライブをはじめ、冬はスノードライブを楽しみに行ったりもするという宮越さん。
「今は日々仕事に追われているので、このクルマでドライブする非日常の時間がとても大事で、一番のストレス発散になっています」
さらに、年に1回いすゞ好きが集まるイベントがあるそうで「僕がついていけないくらいみんながいすゞに詳しいので、本当に楽しいです!」と、参加できる日を心待ちにしているのだとか。個性の強いものほどハマれば夢中になり、のめり込む。ミューはまさに宮越さんにとってそんな存在であり、さらにオリジナリティに富んだクルマのオンパレードである歴代のいすゞ車たちは、どれも魅力的な特性を持つモデルばかりなのだ。
「もしセカンドカーという選択肢があるなら、ヤナセでも販売されていたピアッツァ・ネロが欲しいです。半目にならない角目4灯とスタイリングが好きで!!」
宮越さんのいすゞ愛は、これからも深まっていくばかりだ。
(文: 西本尚恵 写真: 西野キヨシ)
[GAZOO編集部]
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