【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】人生初のクルマとして選んだ、生産台数60台のコンフォートGT-Zスーパーチャージャー

「走りを忘れかけた大人たちへ贈る、80'sスポーティセダン」をキャッチフレーズに、トヨタテクノクラフトが2003年に期間限定で受注製作したコンプリートカー『コンフォートGT-Zスーパーチャージャー』。
オーソドックスな4ドアセダンのコンフォート教習車仕様をベースに、エンジンや足まわりなどにカスタマイズを施したもので、先行試作車1台を含めてトータルで60台が生産されたという。
そんな稀少車を7年前に人生最初のクルマとして選んだのがジョンさん(25歳)。「免許を取る前はずっとST202セリカに乗ろうと決めていたのですが、いざ免許を取ってみたら当時流行っていたVIPセダンカスタムへの憧れのほうが強くなって、最終的にコンフォートを選びました。今では信じられない話ですが、当時は不人気車だったのでタダ同然の価格で手に入れられましたよ」とのこと。

ベースとなっている『コンフォート』は、先行して発売されていた日産・クルーの対抗馬として開発された小型タクシー専用車で、1993年にデビューしてから2018年まで長期に渡り販売されていたロングセラーモデル。
ベースとなっているのはX80系のマークⅡセダンで、サスペンション形式はフロントがストラット式、リヤがリンク式リジッド。エンジンはタクシー仕様が2L/LPGエンジンの3Y-PEで、教習車仕様が1.8L/ガソリンエンジンの4S-FEと2.4L/ディーゼルエンジンの2L-TEを搭載。2001年のマイナーチェンジで、ガソリンエンジンが2Lハイメカツインカム(直列4気筒DOHC)の3S-FEへと変更されている。
駆動方式はFR方式で、トランスミッションはタクシー仕様、教習車仕様とも5MTと4ATが設定されていた。同じくタクシー専用車のクラウンコンフォートと混同されがちだが、クラウンコンフォートのほうは中型タクシー規格に合わせてホイールベースを拡大したモデルだ。

コンフォートGT-Zスーパーチャージャーは、3S-FEエンジンにオグラクラッチ製のルーツ式スーパーチャージャーTX07を装着して最高出力160ps、最大トルク22.5kg-mへとパワーアップを実現。スポーツマフラーのほか減衰力4段調整式のスポーツサスペンションとスタビライザー、ストラットバー、専用スポーツパッド&シューを標準装備している。
外装もフロントエアロバンパーやリヤスポイラー、ブラックタイプのフロントグリルなど専用パーツにより80年代の走り屋マシンテイストを演出。そのほかメーカーオプションとしてLSD(機械式・トルセンが選択可)や強化クラッチ、大森メーター製の3連メーターなどが用意されていた。

「専用の社外パーツなどはほとんどないですが、流用できるものを探しながらカスタマイズしています」というジョンさんのコンフォート。インテリアは運転席がオプション設定のTRDスポーツシートで、助手席と後席はクラウンセダンのモケット張りタイプに変更してグレードアップ。ステアリングはスポーティなディープコーンタイプの3本スポークを選択。TRDのシフトノブはオプション品で3連メーターの下にはカーナビを追加している。

「走行距離は14万8000kmですが、通常メンテレベルでトラブルはありません。でも、一度不注意で右前を大破してしまった際に、専用エアロバンパーなどの外装類の調達ができなくて苦労しました」というわけで、カーボンボンネットやクラウン用のサイドマーカー付きフロントフェンダー、車高調整式サスペンションは、事故補修の副産物(!?)として装着されたパーツなんだとか。
専用バンパーは、新品はもちろん中古品すら手に入らなかったので、割れたものを苦労して修復したという。
そのほか外装ではテールランプもクラウン用に変更しているが「そのままでは車検に通らないので、電気系作業の得意な友人にバックランプを追加してもらいました」という苦心作だ。
RSワタナベの専用15インチ8スポークホイールに装着されるタイヤは本来フロント205、リヤ215サイズだが、こちらも「選択肢がほとんどないので、仕方なく前後205としています」とのこと。

家業の中古車店で販売や整備を行っているジョンさんは、その仕事を生かして好きなクルマを集めることを趣味としている。現在所有しているのは、コンフォートのほかにST202セリカとAE101カローラFX、アルテッツァ、ファンカーゴ、アクシオなどバラエティに富んでいるが「やはりコンフォートGT-Zスーパーチャージャーは愛着もあるので、まったく手放すつもりはありません。これからも長く乗り続けていきたいです」と力強く語ってくれた。

(テキスト:川崎英俊 / 写真:平野 陽)

[ガズー編集部]

「TGRF2018 @富士スピードウェイ」の記事

  • 【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】13年乗り続けてきた愛車のスープラが迎えた転機、パワーアップをきっかけにタイムアタックの道へ一直線
    【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】13年乗り続けてきた愛車のスープラが迎えた転機、パワーアップをきっかけにタイムアタックの道へ一直線
  • 【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】運命的な出会いを感じて6年前に購入した“一生ものの宝” 最終型いすゞ・117クーペ
    【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】運命的な出会いを感じて6年前に購入した“一生ものの宝” 最終型いすゞ・117クーペ
  • 【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】休日だけで年間走行距離1万km超え、実家の韓国もこの愛車で帰省するほどの86愛
    【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】休日だけで年間走行距離1万km超え、実家の韓国もこの愛車で帰省するほどの86愛
  • 【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】人生初のクルマとして選んだ、生産台数60台のコンフォートGT-Zスーパーチャージャー
    【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】人生初のクルマとして選んだ、生産台数60台のコンフォートGT-Zスーパーチャージャー
  • 【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】免許取得から39年間乗り続ける元祖スプリンタートレノTE27
    【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】免許取得から39年間乗り続ける元祖スプリンタートレノTE27
  • 【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】世界中で100セット限定のスーパーチャージャーを装着、『もしもTTEバージョンのアルテッツァが発売されていたら』仕様
    【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】世界中で100セット限定のスーパーチャージャーを装着、『もしもTTEバージョンのアルテッツァが発売されていたら』仕様
  • 【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】奥様がメンテ&カスタムを担当!!乗り続けて30年の北米向け左ハンドルモデルMR2
    【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】奥様がメンテ&カスタムを担当!!乗り続けて30年の北米向け左ハンドルモデルMR2
  • 【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】5人乗りセダン&マニュアルトランスミッションへのこだわりで選んだ“トランスミッション換装”マークX 350S G’s(GRX133)
    【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】5人乗りセダン&マニュアルトランスミッションへのこだわりで選んだ“トランスミッション換装”マークX 350S G’s(GRX133)
  • 【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】JTCC(全日本ツーリングカー選手権)マシンのレプリカモデルとして製作された超レア車TRD2000を『SHOW防車』をコンセプトにフルカスタムマシンへ
    【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】JTCC(全日本ツーリングカー選手権)マシンのレプリカモデルとして製作された超レア車TRD2000を『SHOW防車』をコンセプトにフルカスタムマシンへ
  • 【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】元ラリーストがサーキット初体験の相棒に選んだレクサス・RC F
    【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】元ラリーストがサーキット初体験の相棒に選んだレクサス・RC F

あわせて読みたい「トヨタ・コンフォート」の記事

  • 人生初の愛車は元教習車、21歳のオーナーが所有するトヨタ・コンフォート デラックス(SXS13Y型)
    人生初の愛車は元教習車、21歳のオーナーが所有するトヨタ・コンフォート デラックス(SXS13Y型)
  • 史上初! 川崎大師で痛車・痛バイクの交通安全祈願イベント
    史上初! 川崎大師で痛車・痛バイクの交通安全祈願イベント
  • 次世代タクシー「JPN TAXI」の評判は? タクシー会社に聞いてみた
    次世代タクシー「JPN TAXI」の評判は? タクシー会社に聞いてみた
  • 北海道のタクシーに4輪駆動車が少ないのはなぜ?
    北海道のタクシーに4輪駆動車が少ないのはなぜ?

あわせて読みたい「クルマイベント・オフ会」の記事

愛車広場トップ