都会と自然をつなぐ最高のツール。それがクラウン クロスオーバーだった
お若い方はご存じないかもしれないが、1970年代半ば頃、「グラスの底に顔があってもいいじゃないか」というフレーズが流行した。ロバートブラウンというウイスキーのテレビCM内で、芸術家の岡本太郎が放った言葉である。
この言葉に影響を受けたからかどうかは不明だが(おそらく違うだろう)、「釣り人の車がセダンであってもいいじゃないか」と考えたのが、今回紹介する関戸 有さんだ。
物心ついた頃から車が好きで、長じてからは50万円で購入したスバル レガシィ ツーリングワゴンの中古車を皮切りに、さまざまな国産車および輸入車を乗り継いだ。そしてコロナ禍をきっかけに釣りを始めた頃は、認定中古車として購入したフォルクスワーゲン パサート ヴァリアントというステーションワゴンに乗っていた。
だがある日の釣り船に乗り込む際、天啓を受けた。
「見知らぬ老紳士と同船したのですが、その方が乗ってきたのがレクサス LSだったんです。そして駐車場で車とタックル(釣具)の様子をちらりと拝見させていただくと、それなりにかさばるはずのタックルは、セダンのトランクルーム内に普通に収まっていました。それを見て『そうか……。そういわれてみれば、セダンで釣りに行ってもいいんだよな』と、あらためて気づいたんです」
釣り人が使っている車のうち、今もっとも多いのは「SUV」だろうか。そして次点として「ステーションワゴン」「ミニバン」「軽バン」が順不同で、その人の釣りスタイルに応じて並んでいるのが現状であるように思う。
だが足場が荒れている渓流などへ行くのでさえなければ、釣り車は必ずしも「荷物がたくさん積めるヨンク」である必要はない――と気づいてからの関戸さんは早かった。2回目の車検時期が近づいていたパサート ヴァリアントを売却し、それを「セダン」とカテゴライズするかどうかはさておき、まあセダンの一種であるトヨタ クラウン クロスオーバーを購入した。
なぜならば、昔からセダンこそが大好きだったからだ。
「さまざまな意見や見方はあるでしょうが、乗用車としての基本性能と完成度がもっとも高いのはセダンであると、僕は思っています。公道を走らせる際の運動性能も、静粛性を含む快適性も、なんだかんだでセダンがもっとも高次元であり、好バランスであるということです。とはいえ『でも釣りには不向きだろうな』という先入観から、自然と検討対象から外していたわけですが、釣り船でご一緒したレクサス LSにお乗りの方に、気づかされたんです。自分が一番好きなタイプの車を選んでも、大好きな釣りを続けることはできるのだ――ということに」
そして数あるセダンのなかでも、関戸さんにとってはクラウン クロスオーバーこそがベストなセダンであるように思えた。
「まぁこの車が“セダン”かどうかは意見が分かれるところかもしれませんが、僕としては『少し背が高いセダン』であると思っています。で、クラウン クロスオーバーは間違いなく『いい車(高級な車)』ですが、レクサスや一部の輸入車のような『めちゃめちゃ良すぎる車』では決してない。まずはそこが、自分のライフスタイルというか価値観に合っていると思いました。そしてトヨタの新しい車ですから、若い頃にいろいろ乗っていた中古の輸入車と違って(笑)、車検のたびにかかる莫大な整備費用に悩まされることも、たぶんない。
そして合目的性というか何というか、『意味も使い道もないのに、とりあえず流行っているからSUVに乗る』みたいな行動が、僕はどうしても好きになれないんです。もちろんキャンプやウインタースポーツなどにいそしむ人が4WDのSUVを選ぶことには、何の異議もありません。でも、ただ格好だけでそれらを選ぶ人のことは、正直いかがなものかと思っています。もちろんこれは僕の個人的な感じ方に過ぎませんが、少なくとも自分は、『自分なりの用途に即している車』に、常に乗っていたいんです」
関戸さんがいう「自分なりの用途」とは何か。もちろんそれは、端的にいうなら「日常のさまざまな用事を済ますことと、メインの趣味である釣りに出かけること」になるのだろう。だがより本質的に見るのであれば、「都会と自然をつなぐこと」こそが、関戸 有さんが車に求めている“用途”なのかもしれない。
「僕は東京にごく近い首都圏の生まれで、今もそこに住んでいます。でも正直、都会はあまり好きじゃない。仕事さえなければ今すぐにでも都会を離れ、自然の中で暮らしたいと考えています。だからこそ釣りに傾倒している――という部分もあるのでしょう。でも実際はそう簡単に移住できるわけでもありませんし、都会で暮らし、都会で働く生活ならではの恩恵も、確実に受けている自覚はあります。だからこそ、僕は僕の身体と心を時おり、自然の中へ持っていく必要があるんです。
そしてそう考えたときのベストな乗り物は、クラウン クロスオーバーでした。この車なら都会でもサマになると同時に、なにせ上質なセダンですから、ある意味一瞬で、快適に、自分の身体と心を自然がある場所へと連れて行ってくれます。そしてクロスオーバーですから、自然には付き物である多少の段差や荒れた道も、特に問題なく走ることができる。そんな車は世の中にそう多くはないですし、少なくとも僕は、この車を選んで本当に良かったと思っています」
今後、関戸 有さんが念願の「地方移住」を果たすのか、それとも今のまま、クラウン クロスオーバーで都会と自然とを行き来する生活を送るのかは、筆者にはわからない。おそらくは本人も、現時点ではわかっていないだろう。
だがもしも勝手な想像をするのであれば、クラウン クロスオーバーという最高レベルの「どこでもドア」を手に入れたことで、関戸さんの地方への移住熱は、以前と比べれば微妙に下がっているのではないだろうか。
もちろん、そのあたりはご本人に確認してみないとわからない話ではあるが。
(文=伊達軍曹/撮影=阿部昌也/編集=vehiclenaviMAGAZINE編集部)
トヨタ クラウンの愛車記事
-

-
一目惚れしたクラウンを手に入れ、高級感、スポーティさ、推し活のすべてを満たす相棒に
2025.11.12 愛車広場
-

-
憧れのトヨタ クラウンが見せてくれる景色。自分で手を入れて愛着も増した最高の相棒
2025.10.02 愛車広場
-

-
祖父が乗っていて憧れたトヨタ クラウン。家族同然の愛車と巡る思い出づくり
2025.06.22 愛車広場
-

-
26歳オーナーが「100万枚のフィルムに残したい」と願う、ゼロクラウンとの日々
2025.04.29 愛車広場
-

-
トヨタ クラウンエステート ペーパークラフト登場!
2025.04.23 愛車広場
-

-
積年の片思いが叶った! 僕にピッタリなスポーティーFRセダン「コンフォートGT-Z」
2025.04.10 愛車広場
愛車紹介 新着記事
-
セラはオーナーの人生そのものであり「戦友」。1992年式トヨタ セラ(EXY10型)は幻の「アムラックス セラ」
-
歴代オーナーの意思を受け継ぎ、ラストオーナーを自認する愛車。1987年式 日産 ローレル V20ターボメダリスト(C32型)
-
“幸せの黄色いスポーツカー”2003年式マツダ RX-8 タイプSは、キャンプも行ける理想の愛車
-
23年連れ添う人生初の愛車が纏う、唯一無二の「質感」。1996年式ホンダ プレリュード Si VTEC スポーツステージ バージョンRII(BB4型)
-
1980年式ダイハツ ハイゼット360(S38型)は17年越しで再会した「運命の愛車」かもしれない
-
文字どおり「しっくりくる愛車」と出逢えた幸運に感謝! 1999年式日産 セドリックバン デラックス(VY30型)
-
3年掛けてついにめぐり会った理想の愛車。1990年式日産 フェアレディZ 2by2 300ZX ツインターボ Tバールーフ(Z32型)
-
憧れて20年。1992年式日産 スカイライン GTE タイプX(HR32型)の魅力を世に広めたい25歳のオーナー







