走行距離31万kmオーバーのシビックタイプRユーロ。ディーラーの万全なアフターケアでまだまだ現役!
クルマを長く大事に維持していくためには、その後のメンテナンスがとても大事だ。そのため、ご自身にとってメンテナンスを安心して任せられるお店があるというのは、本当に心強い。
新車購入してから14年間ホンダ・シビックタイプRユーロ(FN2)に乗る兵庫県在住のあたるさん(59才)は、ホンダディーラーで初めて新車を購入した時からホンダ車一筋。
「ずっと乗っていられるのはディーラーさんのおかげです」とその後もディーラーにメンテナンスサービスをお願いし、現在の愛車であるホンダ・シビックタイプRユーロは走行距離が現在31万kmオーバーにまで達している。
あたるさんが愛車の購入とアフターケアをホンダディーラーに全て一任することにしたのには、とある出来事がきっかけだったという。
「僕は最初のクルマこそ中古のBMWに乗りましたが、その後はすべて新車でCR-X、プレリュード、インテグラタイプRのモデル違いを2台、そしてこのシビックタイプRユーロとホンダ車に乗ってきている為にホンダ党だとよく言われるんですけど、自分的には特にホンダが……というわけではないんです。
きっかけは最初のCR-Xを購入した時のディーラーさんの対応でした。その頃はスポーツタイプでは1600ccクラスのクルマが1番元気が良く、色々見ようと各メーカーさんを回っていたんですが、1番対応がよかったディーラーが当時のホンダベルノさんでした。
その頃まだ僕は若くて、他のディーラーさんに行った時に親と一緒にいたら『お茶どうぞ』『席どうぞ』と言ってもらえるのに、1人で行った時には『カタログが欲しい』と言ってもただ渡されるだけの塩対応だったんです。でも、ホンダベルノさんに行った時には真摯に話を聞いてくれて、お茶も出してくれるしテーブルにもついてくれた。それもあって最初のクルマはCR-Xを購入しました」
つまりあたるさんがホンダをリスペクトしているのは、「たまたまディーラーの対応が良かった」からなのだ。しかしそれをきっかけにその後の新車購入とメンテンスをすべてお任せして信頼関係を強固にしていった結果、現在の愛車であるシビックが31万kmという走行距離にも関わらず元気に走っていることにも繋がっている。
「僕は人との繋がりが1番大事だと思っています。信頼できないところからクルマは買えないし、クルマを買って『じゃあさようなら』っていうもんではないじゃないですか。維持していくためにはメンテナンスが1番大事ですから。じゃあ誰がメンテナンスしてくれるのっていうところですよね。
僕の行きつけの店舗には以前NSXマイスターと言われる凄腕のメカさんがいたので、今はもう退職されたとは聞きましたがそのDNAは次のメカさんも継いでいるので、安心してクルマを任せられたんです。それに僕はいろいろとわがままを言うんですけど、必ず親身に対応してくれるのでディーラーさんでできるところは点検やメンテナンスは全部お任せしている状態です」
さらに、2台目のインテグラに乗っている時にその信頼をさらに高める出来事もあったのだとか。
「2台目のインテグラは盗難にあったことがあるんですが、当時1番長く付き合いをしていた営業さんが見つかった時に積車で引き取りに来てくれて、その後もただ元通りにするのではなくブレーキダストのひどかったフロントのパッドを無限のパッドに換えてくれ、さらにそれに合わせて後ろもゴールドに塗ってくれたんです。これが本当のサービスかなと思ってね。こういうディーラーさんをやっぱり離れるわけにいかないなと思ったんです」
こうしてすっかりホンダ車一筋となったあたるさんが今の愛車を買おうと決めたのは、2009年にこのシビックタイプRユーロが日本で発売すると知った時だったという。
「僕は2ドアや3ドアハッチのクルマが好みだったので、イギリス生産のこのクルマが2010台限定でようやく日本で発売されると聞いて欲しいなと。しかもそのなかでもこのシルバーボディは150台しか日本に入ってこないって話だったので、わがままを言って1台確保してもらいました。その時に手放したインテグラも20万km乗っていました」
購入後は「全体的なデザインが卵みたいでけっこうかわいいし、見てて飽きないんですよね、このクルマ」とすっかりこのシビックを気に入ったあたるさん。それからは少しずつ自分好みのカスタムを施していった。
「1番最初はカーボンボンネットを入れて、次にコンピュータや吸排気系を変えました。コンピュータはシフトチェンジをした時にノーマルだともたつきを感じる時があったので…。ビッグスロットルやマフラーやエキマニ、リアスポイラーはホンダツインカムさんのものです。
ボンネット以外ではリアフェンダー、それに統一感を出すためにリアガーニッシュを赤に変えたことと、ホイールの変更でしょうか。レイズのホイールはお友達が手放すというので格安で譲っていただいたんです。汚れが目立たない黒っぽい色にしたかったしかっこいいので気に入っています。他にもこのクルマは弱いと言われているフロントローターとブレーキパッドも社外品に変えています」
「1番のお気に入りはあるフロントリップですね。これはUK無限から取り寄せたので、多分日本で装着しているのは30台くらいしかいないんじゃないでしょうか」
また内装には、このクルマでサーキットを走ろうと思った時に購入したという3連メーターとレカロシートと4点シートベルトが追加されている。
「当時鈴鹿サーキットを走ろうと思ったのはこのクルマと同じクルマがS耐を走っていたのがきっかけです。それにたまたま鈴鹿サーキットでオフ会をやった時に、そのドライバーさんとオーナーさんが遊びにきてくれて、そのドライバーさんのお誘いで鈴鹿にS耐を見に行くようになったらどハマりしまして。おかげさまで今は年間パスで全戦行くようになりました(笑)」
年間パスを購入するほどハマっているスーパー耐久の魅力はどんなところにあるのだろうか。
「1番はエントラントと我々ファンの距離感の近さです。しっかりしたルールのもとで行われているレースで見応えがあるのに、ドライバーさんには親近感が持てる。そういうところが大好きですね。あとは僕の場合みたいに自分が乗っているクルマと同系のクルマが走っている場合があること。そういう市販車への近さも親しみやすさにつながっていると思いますね」
またチームTシャツをモチーフにした応援グッズを自発的に作っていることからも、あたるさんのS耐への愛情がヒシヒシと伝わってくる。
ちなみに彼が取材日に着ていたパーカーは、『Team Noah』のもの。思い入れの強いチームで個人的にスポンサーもしているのだという。
「以前チームノアさんが24時間レースを走られる時にクラウドファンディングをやられていたんですね。その時にちょっとお金を出しまして。それから『富士にも応援に行きますよ』と言って生家で買ってきた“清水次郎長の勝ち札”を『シートの後ろにでも貼ってください』といって渡したら、その時のレースで優勝されたんですよ。
その時にラストドライバーの塚田さんが戻ってきて僕を見つけてすごい握手してくれたんですよね。さらにその写真を1年間プロフィールで使ってくれたんですよ。それからもう非常に仲良くさせていただいているので、S耐にきた時はいつもお世話になっていますね」
人との繋がりをとても大事にするあたるさんの人柄がよく表れているエピソードでもあり、そういった面を大切にするスーパー耐久に彼が魅了されるのも当然の流れだったといえるだろう。
そんなあたるさん、現在サーキットは走らずに、街乗りやレース観戦の移動やイベントなどでメインに乗っているそうだ。さらに無限のコンプリートモデル、ホンダ・S660MUGEN RAというレア車も街乗り用として所有。こちらも既に走行距離は10万kmとのことで、シビックほどではないにしろ頻繁に乗っていることが窺える。
そして、取材時は31万7000kmというかなりの走行距離ながらも綺麗に見えるシビックだが、あたるさん曰くそれなりにダメージも蓄積されているらしい。
「大きな故障はないんですけどね、実は納車の20日後に事故しているんです。自転車の子供の飛び出しにぶつかって、さらに車間距離を詰めていた後ろの原付もこのクルマにぶつかって…。保険をかけていたので僕が実費を支払っていないんですけど、カード払いの1回目が引き落とされる前に77万円の修理代がかかりました(苦笑)。
あとはたまたまディーラーに行く予定だった時にオルタネーターが壊れてしまったみたいで、バッテリーだけで走行してかろうじてお店に辿り着けたという出来事はありました。そんな感じで逐一直しながら気付けばこの距離数になっていましたね」
そうはにかみながら応えてくれた。
「これでいろんなところに行きましたし、このクルマは僕にとっては大切な相棒です。ただ、もういじれるところはある程度やってしまったので、これからは現状維持に力を入れていきたいですね。部品も無くなってきちゃういますが、手放さないで大事に乗り続けるつもりです。まあ、他にも欲しいクルマが出てくる可能性はあるので絶対とは言い切れませんが(笑)」
愛車購入後のアフターケアにおいて、ディーラーと関係を深めていくことに敷居を感じる人は意外と多いのかもしれない。しかし、もしもあたるさんのように少しずつ強い信頼関係を築くことができれば、カーライフにおいてとても心強い味方になることは間違いないし、愛車を長く大事に所有もし続けやすいだろう。
あたるさんの取材を通し、改めて、アフターケアを安心して任せられるお店の大切さを教えられたように感じた。
(文:西本尚恵/撮影:稲田浩章)
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