見た目ヨシ! 乗り味ヨシ! 仲間との出会いも運んでくれたGRヤリス

  • GAZOO愛車取材会の会場、富山県射水市の海王丸パークで取材したトヨタ・GRヤリス

    トヨタ・GRヤリス

特定のモデルやジャンルの愛好家が集まる『オーナーズクラブ』への参加は、カーライフの楽しみ方のひとつでもある。同じ趣向の仲間と語りあったり、カスタマイズやメンテナンスなどの情報交換をしたり、さらには一緒にツーリングに出かけたりと、単独では味わえない楽しみがどんどん広がっていくものである。
そんなオーナーズクラブを設立し、これまで以上にカーライフを満喫しているのが、2021年式のトヨタGRヤリス RZハイパフォーマンス(GXPA16)に乗るNonchiさんだ。

GRヤリスはトヨタがWRCを目指して開発した4WDスポーツ。コンパクトボディに1.6リッターターボを搭載したホットハッチは、筋肉質なスタイリングと272psというハイパワーエンジンが最大の魅力。もちろん6速MTを基本とするため、操作感を求めるユーザーも納得のパッケージだ。
日本国内ではGRブランド専売車種第二弾として2020年9月に発売されると、スポーツカーを待ち望んでいた市場から瞬く間に高い評価を得て、先行予約モデルとなる『ファーストエディション』が受注終了までの半年間で6000台のオーダーを記録している。

WRCでの活躍はもちろんのこと、現役レーシングドライバーたちも開発段階から携わるなど、久しぶりのリアルスポーツモデルとして発売前からスポーツカー好きの琴線に触れまくるさまざまなストーリーが話題を呼んできたGRヤリス。そんな情報を熱心に追いかけ、予約開始当日を待ち侘びて申し込んだというオーナーも多かったのではないだろうか。

しかしNonchiさんの場合はちょっと違っていて、発売のタイミングではまったく興味を持っていなかったのだとか。
「正直なところ、GRヤリスは『なんか新しいヤリスが出るらしい』くらいしか情報を見ていなかったんですよ。その時に乗っていたのがファミリーカーとしてのデミオだったので、コンパクトカーに走りは期待できないっていう先入観を持っていたのは確かです。そういった理由で2021年の発売時には特に興味を持っていなかったのですが、翌2022年のお正月明けになんとなくWEBでGRヤリスを見てみたら、先入観がぶっ飛ぶくらいの衝撃でしたね。ワイドなボディの3ドアハッチに272psというスペック。この機会を逃したら、こんなクルマにはもう乗ることなんてできないって思ったんですよ」

興味を持ってすぐに最寄りのディーラーに足を運んだというNonchiさん。そこには展示車が置かれていて、実際にその目で確かめるとすぐにでも乗りたくなってしまうほど魅力に溢れていたという。しかも、その展示車は偶然にも購入可能だったため、そのまま契約を済ませたというから、GRヤリスに対する過熱ぶりが窺える。即決即契約が功を奏して納車までの期間は僅か1カ月程度だったという奇跡の購入劇であった。
「納車までの時間があまりなかったので、カスタマイズのパーツは一気に調べてオーダーしました。1月に契約して2月に納車だったんですが、この時期の富山は雪が多いので雪が溶けるまでの2ヶ月間はノーマルで乗っていました。慣らし運転で高速に乗ったりもしたんですが、エンジンは回さなくてもその良さが伝わってきますし、足まわりもしっかりしていて、コーナーを回る時もすごく安定感があり、いろいろなパーツを買ったんですが『ノーマルでも十分』と思えましたね。でもやっぱり昔からの考え方で『スポーツカーは硬い足まわりじゃなきゃ! 』ってことで、サスペンションは春になってから交換しちゃいました」

GRヤリスに乗りはじめて次に起こしたアクションが、オーナーズクラブの設立だった。
北陸地方のGRヤリスオーナーを集い『リスの会』を立ち上げたのだ。取材会を行なったタイミングでは富山を中心に県内外合わせて30台以上のGRヤリスオーナーが登録され、月に1回程度のミーティングやツーリング、イベント開催などを行なっているのだという。こうした仲間がどんどん増えていくのは、やはり同じクルマが好きな愛好家ならではの楽しみでもあるという。

NonchiさんがGRヤリスを知った際に、最も気になったのはそのエンジンだったという。1.6リッターの直列3気筒ターボは、モータースポーツ向けに専用設計されているため、スタンダードなヤリスとはまったくの別物。特に272psというスペックは、興味を持たずにはいられなかったというわけだ。
「実際に乗ってみたら、コレが1.6リッターか!? っていうほどパワフルで、以前に乗っていたスカイラインGTS-tやレビンなんかで走っていた頃を思い出しちゃいました。ちなみに現在は剥き出しタイプのエアクリーナーを装着しているんですが、まわりのオーナーさんたちと話していると、今どきのクルマではこういうパーツチョイスに賛否があるんですよね。でも吸気音やバックタービン音が楽しめるこの仕様は、走る楽しさを五感で存分に味わえる、自分にとっての最善策なんです」

GRヤリスのスペシャルさを感じられるのはエンジンだけではない。280km/hまで数字が刻まれ、その性能を証明しているかのようなスピードメーターもそのひとつだ。もちろん一般道でこの性能を活かすシーンがないというのは致し方ない。そのため、Nonchiさんが考える今後の楽しみ方は、サーキットへと持ち込んでGRヤリスの持つパフォーマンスをフルで体感してみようということだという。
「スポーツカーに乗っていた時はサーキットにも行っていたのですが、徐々にそんな時間を作ることもしなくなっちゃって。でもGRヤリスに乗りはじめたら、クラブの仲間でもサーキットに行く人が増えているんですよ。だから自分のGRヤリスもこれからサーキットデビューさせてみようかなって計画しているんです」

GRヤリスが純粋なスポーツカーと言えるのは、WRCのホモロゲーション取得を目指して開発されたマシンだというのも理由のひとつである。それを示すオーナメントもまた、GRヤリスオーナーの満足度を高めてくれるアイテムだ。

いっぽうで、ノーマルシートは街乗りでのコンフォート性能は高いものの、スポーツカーとしての雰囲気を高めるために運転席にはバケットシートをセットしている。
運転するのはNonchiさんのみのため、自分にとって最適なシートポジションをレールにマーキングしておくのも、ドライビングカーとしてその性能を味わい尽くしたい思いが現れているポイントだ。

「基本的には週末のドライブやイベントで乗ることが多いですね。GRヤリスは運転するのが楽しいので、クラブでのツーリングだけでなく、イベントなどで愛知県くらいまでなら気にせず走れちゃいます。もちろん家族で乗ることもありますが、3ドアでも意外と両立できちゃうものなんですよ」

  • GAZOO愛車取材会の会場、富山県射水市の海王丸パークで取材したトヨタ・GRヤリス

    トヨタ・GRヤリス

ちなみに現在のスタイリングはファミリーカーとしても活用できる理想的な形。足まわりやホイール、リヤウイングといったパーツをプラスしつつ、基本的にはモノトーンでまとめ、ブレーキやシートなどにアクセントカラーの赤を加えることで、よりスポーツカーらしいフォルムを作り上げている。

純正のカーボンルーフに合わせてボンネットはDIYでカーボンシートを貼ってアレンジ。今後ガソリン車が乗りにくくなってしまう時代が訪れるかもしれないため、このGRヤリスは大切に乗り続けていこうと考えているそうで、カーボンシートが日差しなどで劣化することも想定して予防的に1年ごとの張り替えを予定しているという。ちなみに現在は2枚目のカーボンシートが貼られているのだとか。

ホイールはオーダーから3ヵ月以上待って、手元に届いたSSR・GTX04。流行りのコンケーブを生かしたスポークデザインは、さらに理想のスタイリングを明確にしてくれた重要なアイテムだという。
タイヤのホワイトレターは手塗りすると変色や色褪せが起こってしまうため、貼り付けタイプを使用することで、理想のデザインをメンテナンスフリーでキープしているそうだ。

東京オートサロンで見かけたというガレージベリーのウイングは、納車から1年が経過した2023年4月に装着したアイテム。取り付け位置の強度を高めながらしっかりとウイングの効果を果たしてくれるように取り付けられている。下面に貼られた『#FINANCIAL MISTAKE』のメッセージは、予想以上にGRヤリスにどハマりしてしまったNonchiさんの心の叫びなのだ。

乗りはじめるまでは想像もしていなかったほどGRヤリスにハマっているNonchiさん。
ただ、ひとりで盛り上がっていったというワケではなく、同じGRヤリスに乗る仲間と交流することで、その欲求もどんどん膨れ上がっていったのだという。
おなじクルマに乗っていながらも、それぞれに細かく違う趣味趣向の人が集まれば、そこから新たな刺激も受ける。そういった意味でもオーナーズクラブのメンバーは、見識を広げクルマ趣味を存分に満喫するためには欠かすことができない仲間なのである。
そして、そんな仲間と繋げてくれたGRヤリスは、Nonchiさんにとって幸せを運ぶ1台であったことは間違いない。

取材協力:海王丸パーク(富山県射水市海王町8)
(文: 渡辺大輔 / 撮影: 平野 陽)
[GAZOO編集部]

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