「オートバイよりたくさん荷物を積める」S660は最高のバディ!

  • GAZOO愛車取材会の会場である福井大学 文京キャンパスで取材したホンダ・S660 α(JW5型)

    ホンダ・S660 α(JW5型)


子供の頃に『マッハGoGoGo』をみて「スポーツカーってカッコ良い! 大人になったらオープンカーに乗りたい!」と思ったという大阪府在住の『かっちゃん』さん(以下:かっちゃん)。
かつてはホンダ・ビート(PP1型)を所有し、現在は鮮やかなプレミアムビーチブルー・パールのホンダ・S660 α(JW5)を愛車としてオープンカーライフを満喫しているという。

お話を伺ってみると、オートバイでのツーリングやロードバイクの競技にハマっていた時期もあるということで、軽くてコンパクト、手足のようにキビキビと操る楽しさがあり、開放感抜群な軽自動車のオープンスポーツカーを“積載力のある自転車やオートバイ”といった感覚で楽しんでいるそうだ。

「高校生の頃はカワサキ・エリミネーターやビッグスクーター、RZ350などに乗っていて、ツーリングするのが好きでした。当時は関西空港の近くに住んでいたんですが、ユースホステルを利用しながら友人と一緒に松山や京都などいろんなところにツーリングにでかけるのが楽しかったですね」

高校を卒業して普通免許を取得するとオートバイを卒業し、最初に手に入れた愛車は510型ブルーバード。続いて初代インテグラを乗り継いだあと、憧れだったオープンカーとしてパジェロJトップを購入したという。

そんなカーライフに転機が訪れたのは、結婚を機にファミリーカーを兼ねてビッグホーンに乗っていたタイミングだった。
小型オープンスポーツカーのホンダ・ビートが発売となり、子供の頃に憧れた気持ちを思い出したかっちゃんは、ビッグホーンと同時所有するかたちで中古車のビートを手に入れたという。
そして、実際に手に入れてみると、期待を裏切らないその乗り味や、運転することの楽しさを味わわせてくれるその素性の良さに、すぐに虜になったという。
「とにかく車体が軽くて速いし、運転するのも楽しくて良かったんです。燃費も良いし、中古だから幌はボロボロでしたけどオープンで走ると気持ち良かった~。まあ、パジェロやビッグホーンと比べたら低回転域はトルクが少なくて、ちょっと油断するとエンストしまうので、後ろからホーンを鳴らされたこともありましたけどね(笑)」

しかしその後、転勤が決まったことを機に、ファミリーカーのビックホーンとビートという2台体制から1台体制にしなければならず、断腸の思いでこの2台を手放し、代わりに『スポーツカーでファミリーカーとしても使えるから』と、インプレッサWRXに乗り換えたという。

40代となり、新たな趣味としてロードバイク(自転車)を始めたかっちゃんは、愛車もオデッセイ、アルファード、メルセデスのCクラスワゴンなど、ロードバイクをそのまま載せることができる車種をセレクト。

「スポーツカーも乗りたかったんですけど、自転車をやっている間はそっちを優先しましたね」と当時の想いを語ってくれた。ちなみにこのロードバイクはハマりすぎて、なんと世界大会にまで出場していたというのだから凄すぎる。かっちゃんはハマったらとことん楽しむアクティブな方なのだ。

ちなみに、この日着ていたTシャツに書かれていた『PARIS BREST PARIS(パリ・ブレスト・パリ)』は、彼が出場した世界大会の名称であり、フランスのパリからブレストまで往復1200kmを走破するという、1891年から続く歴史あるサイクリングイベント。そして、かっちゃんが代表を務める会社名にもしてしまったほど、思い入れが強い名前だ。

「2015年にパリ・ブレスト・パリに参加して、おかげさまで自転車競技に関しては達成感を得ることができました。それもあって3年ほど前に他の趣味を何かしたいなと思った時に、若い頃に乗って楽しかったビートにもう一度乗りたいと思ったんです。けれど、流石に程度の良い個体は見つからなかった。そこで、同じホンダのミッドシップ&リヤ駆動のオープンカーであるS660を探すことにしたんです。ただ、探し始めた2022年はちょうどS660が販売終了したタイミング。マニュアルミッション車は高騰していて、未走行に近い個体は新車価格の2倍もすると言われていた時期で、とても手が出ませんでした」

「そんな時に、なぜか日産の中古車ショップで見つけたのが、このCVT仕様で走行距離2000kmのS660だったんです。色も僕の大好きなブルーで一目惚れだったので、CVTではあったけど即効で買おうと決めましたね。人気のマニュアル車じゃなかったこともあって、金額も新車価格くらいで手に入れることができました」

こうして2023年3月に入手したのが、現在の愛車である2016年式ホンダ・S660。
2015年に発売を開始したホンダS660は、ターボエンジンをミッドシップレイアウトで搭載した2シーターのオープンスポーツカー。その曲がりやすさとコントロール性能の高さから、パワーはそこそこでも操る楽しさは抜群! と、その魅力にハマったユーザーも多く、かっちゃんも購入後にその魅力を満喫することとなる。

「僕はまず、走りに対する楽しさを絶対的に重視しているんですけど、このクルマの運転は思った通りにメチャ面白いんです。スポーツモードにしたら結構速いし、コーナリングもスムーズで峠道を走るだけで楽しい。CVTでも楽しさはあるし、ビートに乗っていた時の記憶が蘇りましたね!」

ちなみに、軽快な走りのスポーツカーならS660以外にも候補があると思うが、なぜS660だったのか伺ってみたところ、彼が愛車に求めていたもうひとつの大事な役割が浮かび上がってきた。

「86なども欲しいなとは思ったんですけど、やっぱり昔乗っていたオートバイのように“バディ感”のある小さいクルマで旅行したいという想いがあったんです。そうなるとS660かなって。よく『旅をするならもっと積載力のある大きなクルマの方が良いんじゃないの?』と言われるんですが、オートバイでのツーリングと比べればS660はじゅうぶん沢山の荷物を載せられますからね」

(写真提供:ご本人さま)

「学生の頃、北海道を訪れて電車の周遊券を買って各地を回っていたことがあったんです。それで愛着はあったんですが、それからはなかなか行く機会がありませんでした。でもS660に乗るならば北海道に行きたいなと思っていたので、昨年、一昨年と2年連続でこの子と旅をしてきました」

また、かっちゃんは北海道以外にも仕事を兼ねて熊本の阿蘇にも行ったことがあるそうで、今では基本的に仕事がない日は相棒であるこのS660をオープンにして、ドライブに行くのがなによりの楽しみだという。
ちなみに、現在はS660以外にもお仕事や普段乗り、冬の趣味であるスキー場への足としてBMW3シリーズを所有して使い分けているという。

そんなかっちゃんのS660は、購入時のまま純正を保っている。そこでカスタムに興味がないのか伺うと…。
「実はビートに乗っていた時に、太いタイヤ履かせて全然面白くないクルマになってしまったり、色々いじってバランスを崩しちゃったりしたので、S660はノーマルのままで良いかなと思いまして。美人はそのままがいいんですよ!」と、ニコニコ顔で返してくれた。

そしてノーマルを美しい姿で保っているからこそ目を引いたのが、リヤに貼られた2枚のステッカーだ。これは2枚ともかっちゃんの会社のロゴステッカーなのだという。

「『PARIS BREST PARIS』のロゴステッカーは、うちの会社がプロ野球のオリックス・バッファローズのイベントスポンサー(夏の陣パートナーズ)をすることになった際に、会社のロゴを作らないといけなくなって、せっかく作ったならと、このクルマにも貼ってみました(笑)。オリックスの試合は2回に1回は観に行っていますね。このクルマで行くことも多いですよ!」

また、この日はお気に入りグッズとしてつい先日300円ショップで購入したという懐かしさのあるカタカナの『ホンダ』ロゴが入ったグッズも持参してくれた。

「SNSで3コインズとホンダがコラボしていることを知って、早速行ってきたんです。もともと女性が多いお店なのに、このコーナーの一角だけおじさんたちが沢山いたのがなんだか面白かったですね(笑)。僕もキャップ帽やキーホルダー以外にTシャツなど色々買ったんですよ」と、楽しそうに話してくれた。
かっちゃんのカーライフは、ドライブを楽しむこと以外にも確実に広がりをみせているようだ。
そしてそんな彼が今望むのは、かつてオートバイに乗って友達とツーリングを楽しんでいた頃のように、一緒に遊べるS660の仲間だったりする。

「CVTであることに多少の引け目を感じているところはありますが、まだS660仲間がいないので機会があればオフ会みたいなところに行ってオーナーさんたちと情報交換したいなと思っています。そしてぜひ同じS660オーナーの方とツーリングに行ってみたい。S660オーナーの方、ぜひツーリングに誘ってください(笑)」

そんなかっちゃんにS660の今後について伺うと、目を細めて嬉しそうに話してくれた。
「S660はバディとして最高のクルマです。これからも“美人の純正のまま”長く乗ってツーリングを楽しみたいと思っています」

今でも十分にS660ライフを楽しんでいるかっちゃんだが、これから先、S660仲間ができれば、彼のカーライフはさらに充実したものになっていくに違いない。

(文: 西本尚恵 / 撮影: 清水良太郎)

※許可を得て取材を行っています
取材場所: 福井大学 文京キャンパス(福井県福井市文京3-9-1)

[GAZOO編集部]