“走れるSUV”という新常識。自分だけの個性にこだわったRAV4 PHV

  • GAZOO愛車取材会の会場である福井大学 文京キャンパスで取材したトヨタ・RAV4 PHV(AXAP54型)

    トヨタ・RAV4 PHV(AXAP54型)


現在はトヨタRAV4 PHV(AXAP54型)のステアリングを握る『Toku』さん。そんな氏が18歳の時、初めてのマイカーとしたのは初代フォレスターであった。スバルの本格SUVとして登場したばかりのそのクルマを選んだ理由は、雪深い北陸・石川県での暮らしにおいて、頼れる走破性が欲しかったからだという。

「本当はレガシィのワゴンを狙っていたのですが、当時はめちゃくちゃ人気があって、中古でも結構高かったんですよ。どうしようか悩んでいる時に、たまたまリリースされたのがフォレスターで、価格も手頃だったので決めたんです」

オーナーになってその選択は間違いじゃなかったことを確信。
「雪道にも強くて、グイグイ走るので安心感がありましたね」と振り返る。ローダウンやホイール交換など、早くも“クルマをイジる楽しさ”に目覚めたのもこの頃だったという。

そして3年後、念願だったレガシィ(BG5型)に乗り換えると、本格的なチューニングの世界にのめり込んでいくことになる。タービンやブレーキの強化などで走りのレベルを引き上げ、サーキットやゼロヨンにも参戦。約13年にわたり相棒として走りを楽しんできたそうだ。

そして、ライフスタイルの変化とともに、次に選んだのは20系前期型アルファードである。ちょうどミニバンブーム真っ只中だったこともあり『カッコ良いミニバンに乗りたい』と、乗り換えを決意。ヘッドライト加工から外装のカスタムにまで手を加え、イベントやオフ会にも積極的に参加していたという。

続いて選んだのはプリウスα。エコカー需要が高まる中、自身もハイブリッドの魅力に惹かれて購入。当時はウィンタースポーツを楽しんでいたので、荷物が沢山載るワゴンタイプをチョイスしたのだ。デザイン面ではそこまで惹かれなかったためカスタムは最小限だったが、燃費性能には大いに満足していたという。

こうしてそれぞれのクルマについて語る様子や口調からは、その時々のライフスタイルに合わせつつ“自分らしさ”を表現できる愛車選びとカスタムを楽しんできたことがひしひしと伝わってくる。

そして5台目となったのが、現愛車であるRAV4 PHV。そのスタイリッシュで力強いデザイン、さらにSUVとしては異例のパワフルな走りに衝撃を受けたのが、乗り換えのきっかけだった。比較検討したのは、同じトヨタのカローラクロス。価格やサイズ感では魅力的な選択肢だったが、最終的に心を掴んだのは、RAV4 PHVが搭載するシステム最高出力306psの圧倒的なパワーユニットと、先進的なプラグインハイブリッドシステムだった。

「比較試乗して驚いたのは、アクセルを踏み込んだ瞬間の滑らかで力強い加速感です」
まるで電気が地面を蹴って進むようなレスポンスの良さが際立っていたといい、静かでスムーズな走行フィールは、ガソリン車では味わえない感覚。PHV車の良さを全身で体感し『これだ』と確信を持てた瞬間だった。

選んだグレードは、最上級ではなく中間のGZ。理由は明快で「いらない装備にコストをかけるより、浮いた分で自分好みにカスタムしたいと思ったから」
この選択が、結果的にRAV4 PHVというクルマを、自分だけの一台に仕立てるというスタートとなった。
「最初はホイールを変えて、足まわりを強化するくらいでいいかなと思ってました」という。

転機となったのは、RAV4オフ会への参加だった。全国から個性的に仕上げたRAV4が集まっており刺激を受けた。だが気づいたのは、参加車のほとんどがPHEVではないモデルだったこと。ならば『自分がPHVでカスタムを突き詰めていこう』と心に決め、そこからは、次々とカスタマイズを実行していった。

「人がやらないことを、やってやろうと思いました。リフトアップしてアウトドアテイストに仕立てたり、ローダウンしてゴージャスなホイールを履いているRAV4などは結構いますね。なので、このRAV4 PHVではスポーツ系のホイールを選ぶなど、走りを意識したSUVを目指そうと思いました。PHVベースでここまでイジっているクルマは珍しいと思います。おかげさまでオフ会でも声を掛けていただくこともあるんですよ」

まずは足まわり。当初はリフトアップを検討していたというが、高速道路での車線変更時に不安定になることを懸念して、ローダウン仕様へと路線変更することに。やがて車高調整式サスペンションを装着するも「しっかりとした乗り味が好み」というオーナーにとっては、満足できるフィーリングにはならなかったそうだ。

そこで、減衰力の調整幅が広い別タンク式のエアサスペンションを選び、自分好みの乗り心地へと仕上げた。車高はコントローラーで自在に調整可能で、雪の日は車高を上げ、イベントではローダウンするなど、TPOに応じた使い分けができるのが魅力だそうだ。

「PHVは車重があるので、純正ブレーキだと心許ないと感じましたね。そこでフロントに4ポットキャリパーを導入。さらに設定がなかったリヤブレーキも海外メーカーに製作してもらえないか相談しました。このクルマで実測・検証を繰り返して、そこで作ってもらったものを装着しています。今では商品化されているんですよ」
PHVという特殊性にも負けず、走りを支える足元はしっかり鍛え上げているのだ。

エクステリアはまさに唯一無二。モデリスタ製フロントエアロに、スカイラインGT-R用の通称“ニスモダクト”を加工装着。ボンネットにもダクトを追加した。
サイドステップも2分割構造のワンオフ品で、ローウェン製のリヤアンダーディフュザーやGMC製のGTウイングも追加するなど、変更点は枚挙にいとまがない。

「どうやってカスタマイズしようか考えている時が楽しいですね。ちなみに給油口の塗装にはグラインダータトゥーという技法を施して、光が当たると模様が浮き出るようにしています」と、カスタマイズの世界にどっぷりハマっているご様子である。

それだけにインテリアメイクにも抜かりはない。
「純正の革シートも悪くはないのですが、ちょっとだけ滑りやすいと感じたので、ホールド性の高いレカロ製バケットシートに交換しました。長距離ドライブでも疲れにくいので助かっています」

対して、エンジンパワーは十分だと感じていて、スロットルコントローラーを追加してレスポンスを向上させたくらい。マフラーは静粛性とパフォーマンスを両立するガナドール製を採用したそうだ。

まさにTokuさんのこだわりを凝縮したRAV4 PHVだが、オフ会のみならず通勤をはじめとする日常生活にも愛用。冬はスタッドレスに履き替えて、雪道でも活躍中という。

「現在の走行距離は26,000km。メンテナンスはほぼディーラーにお任せしています。エアサスは公認取得が必要なカスタムですが、お世話になっているディーラーさんは、ちゃんと車検を通している車両なので良いですよって、いろいろと調べてくださり面倒みていただけるので助かっています」

さらに、プロのガラスコーティングを施し、高圧洗浄機や純水機を活用したセルフ洗車で美しさをキープ。そんな愛車を丁寧に扱う姿勢が、この一台への強い愛着を物語る。

ちなみにRAV4 PHVは利便性も絶大で、ガソリン残量がゼロになっても電力で走行可能。高速道路でも100km/hでの巡航ができ、街乗りでは電気だけで完結することもしばしばあるそう。燃費も平均で22km/リッターと高水準を維持し、走りと環境性能の両立を実現していることに満足しているという。

ミーティングにも積極的に参加し、同じRAV4ユーザーとの交流も楽しんでいるTokuさん。
カスタムの方向性が多様なRAV4だけに、ローダウン×走り系というスタイルは会場でも目を引く存在。時には雑誌の取材を受けることもあり、PHEVという稀少性も相まって高い注目を集めているそうだ。

「誰かと同じはつまらない。だからこそ自分だけのRAV4を作りたい」
そんな思いが詰まった一台。単なる移動手段にとどまらず、情熱とこだわり、そして日常を彩るライフスタイルの一部として、RAV4 PHVは今日も走り続けている。

(文: 石川大輔 / 撮影: 平野 陽)

※許可を得て取材を行っています
取材場所: 福井大学 文京キャンパス(福井県福井市文京3-9-1)

[GAZOO編集部]