旧車との出会いは一期一会。僕がいすゞ ヒルマンミンクスの魅力に取り憑かれた理由
バイクが好きだという「利重さん」は、古いドゥカティに乗ったことをキッカケに、最新の機能が搭載されたバイクではなく一昔前のデザインのバイクに興味を持つようになったのだそうです。
そんな時に、クラシックカーイベントの手伝いをお願いされ会場に行ってみると、瞬く間に旧車の魅力に取り憑かれてしまったとのこと。
今回は、利重さん × いすゞヒルマンミンクス のお話をお届けします。
――旧車好きとのことですが、今まで乗ってきた旧車はどんな車種ですか?
Ferrari 308 GTSi、シトロエン 2CV、アルファロメオ 155 V6、そして今年1961年式いすゞヒルマンミンクスを迎え入れました。子育てがひと段落したので、自分の好きなクルマに乗らせてくれと頼み込んで手に入れたクルマ達です(笑)。
今は旧車ブームで手が出せないような車両価格になっているクルマも、僕が購入したときはそんなことはなかったんです。だから、タイミングが良かったというかなんというか。色々な旧車に乗ることが出来ました。
今では好きが転じて、とうとう事務局長として旧車イベントを主催するようになってしまいました。
――なるほど。ちなみに、ヒルマンミンクス以外は輸入車に乗ってらっしゃったんですね。
そうですね。というのも、ヨーロッパ車のデザインがすごく好きなんですよ。その中でも、イタリア車の造形の美しさは僕の中では特別なものでして。
Ferrari 308 GTSiもそうですが、フロントサイドの膨らみからリアに流れるボディラインの抑揚や、ニョキっと出てくる丸目2灯のレトロで可愛らしいリトラクタブルヘッドライトなど、日本車ではなかなか見られない出で立ちが好きなんです。
眺める度に、かっこいいなぁ……とため息が出てしまうとでもいいますか。子供の頃に憧れていたスパーカーがこんな感じだったから、幼い頃の憧れが大人になった今でも心の中に残っているのかもしれません。
――そんなにもヨーロッパ車が好きなのに、日本車であるヒルマンミンクスを購入したのもデザインに惹かれたからですか?
そうですね。ヒルマンミンクスって、イギリスにあるルーツ社からノックダウン生産をして、いすゞが販売していたクルマなんですよ。
簡単に言ってしまえば“ルーツ社”のクルマを“いすゞ”が販売していたという感じですね。だから、日本車といえどもヨーロッパ車っぽいデザインで、すごく可愛いなと思ったんです。
例えば、リアガラスが金魚鉢のように丸っこくなっている所だったり、コロンとしたフォルムを際立たせるようなツートンカラーやボディと同色の白が使ってあるホワイトリボンタイヤなど、どこかヨーロッパの風を感じたんです。
ただ、僕のヒルマンミンクスは1961年式で、初代じゃないから、少しだけ“いすゞっぽさ”が入ってきているんです。テールフィンなんかは、当時流行っていたアメ車っぽさがあるんですよ。
だから、そういう風にオリジナルに手を加えていったのかなぁなんて想像するのも楽しかったり♪早く乗りたいんですけど、なかなか修理が進んでなくて。
――購入時の状態は悪かったのですか?
購入というか……。何年も片思いしていたヒルマンミンクスを譲って頂いたという感じだから、状態はとくに気にしていなかったんです。
――と、言いますと?
僕はお客様の所に行って浄化槽の管理をする仕事をしているんですけど、そのお客様の家の納屋の中から顔を出していたのがヒルマンミンクスだったんです。
「あれ??いすゞ車だけど、どこかヨーロッパ車っぽいデザインだなぁ」から始まって、「もっと近くで見てみたいなぁ」と思いは募る一方でした。
何年も気になってはいたんですけど、仕事上でしか関わりのないお客様に言うのもな……と我慢していたんです。そう思いながら過ごしていた時に、Facebookで友達申請がきたんです。
で、この機会を逃すまいとヒルマンミンクスについて話を伺うと、タイヤもパンクしているしエンジンもかからないけど、ちゃんと治してくれるなら譲るよと。
それなら是非とも僕に譲って下さい!と申し出て、愛車として迎え入れることになりました。
――おおお!ついに両思いに!
長い片思いだったなぁ……。
ただ、知れば知るほど面白いクルマでね。引取りにいったその日におおっ!と笑っちゃったのは、車重が900kgしかないから手で押して移動出来ちゃうことです。えっ!?こんなに軽いんだって(笑)。
あとは、4気筒なんだけどキャブレターが1つしかないのも古いイギリス車だな~とワクワクしちゃうといいますか。
たったそれだけのことなんだけど、キャブレターを拭きながら、今のクルマは全部の気筒に1つずつ付いているのにと感慨深い気持ちになりました。
あとはね、個人的には好きなんだけど、どうしたものかなという所もありまして。
――どこですか?
シートベルトが無いんですよ……。
――なるほど……。当時の交通法規ではOKだったということですね。
そうなんです。1960年代って、シートベルトの着用義務がなかったんですよ。ただ、生産当時の交通法規が適用されるので、もともとシートベルトが未装着だった車両については、シートベルトの着用義務が免除されるんですけどね。
シートベルトをしていなくても警察に捕まるってことはないんですけど……、走っていたら警察に停められそうだなぁ~と。その度に説明するのか~ってなってます(笑)。
まぁ、それも楽しもうと思いますけど(笑)。
旧車は部品の調達や故障する度に修理するなど、手がかかるのが面白いと話してくれた利重さん。
早くハンドルを握りたいというヒルマンミンクスも自分で磨いたり整備したりといったことを楽しんでいるようですが、乗るまでにはまだもう少し時間がかかりそうとのことです。
動かないところから手塩にかけて復活させたら、ひと際思い入れの深い愛車になりそうですね。
【Instagram】
利重さん
【利重さんが主催するクラシックカーの祭典】
La Festa della Automobile Classica
(矢田部明子)
[GAZOO編集部]
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