乗る人を選ぶ110サニー。そのイカスクルマで、サーキットを走るということ
「源さん」が免許を取った昭和48年頃は、沢山の人がサニーに乗っていたそうです。セダンは家族が乗るファミリーカーとして、現在 源さんが乗っているクーペは若い人が乗っていたとのこと。
日本を代表する大衆車として、老若男女に親しまれてきたクルマだと話してくれました。
今回は、源さん×サニー のお話をお届けします。
――サニーに乗ろうと思ったのは何故ですか?
若い頃に憧れていたクルマだったんですよ。特に2灯式丸目ライトで特徴的なフロントフェイスやフェンダーミラーからリアフェンダーにかけてのストレート基調の伸びやかなデザインがとてもカッコいいと思っていたんです。
ラインアップにセダンもあって、もちろんそれも魅力的だったんですけど、ファストバックの2ドアクーペの美しいフォルムが大好きで、今でも見るたびにハッとさせられます。
――人気の車種ですし、手に入りにくかったのでは?
今は旧車ブームだから、そうなのかもね〜? 僕は40歳の時に手に入れたんだけど、今ほど価値のあるクルマという感じではなかったですね。
現に、友達の家に遊びに行ったらポンと置いてあって、「ちょーだい」って言ったら、二つ返事で「えーよー」って言われるくらいでしたから。
ん〜、鉄屑になるくらいなら持っていって〜!みたいな感覚と言ったら分かりやすいかなぁ?
流石にタダでは申し訳ないから、お菓子を一箱持って行きましたけどね(笑)。
――あはは(笑)!お菓子一箱!
笑ってるけど、本当に当時はそんな感じだったんですよ(笑)?
――想像がつかないです!ところで、憧れのクルマが愛車になってみてどうですか?
僕のところに来て28年になりますが、とても面白いクルマですよ。1番の魅力は、〝乗り手を選ぶ″ところですね。
家族では僕しかエンジンをかけることが出来ないんです。息子は乗りたいときに「エンジンだけかけてくれない?」って頼んでくるくらいですから。
――え、もしかして指紋認証とか!?
あはは(笑)!この時代に指紋認証なんてありませんよ(笑)!
――いや、昭和のクルマって、案外最新のシステムが付いてるんだ!って思っちゃいました……。
そんなわけありませんよ(笑)。なぜかというと、エンジンをかけるのにコツがいるんです。今のクルマは、エンジンスタートボタンを押すと、誰でもかけることが出来るでしょ?
でも、この時代は一手間いるんです。手順はと言うとね……。
まずは、イグニッションスイッチをオンにして燃料をキャブに送ります。
そうすると「ぽんぽんぽん」という音がするので、その後にアクセルペダルを踏みます。これをすることによって、インテークマニホールドにガソリンが送られるんです。
そして最後に、セルを「きゅるきゅるきゅる」と回すとエンジンがかかるというわけです。
難しいのは、気温や空気の薄さなどで微妙に条件が変わってくるので夏と冬でアクセルを踏む回数が変わってくるということです。
夏は3回、冬は5回くらいかな〜。
で、かかった!と思うと、直ぐにエンストしちゃったりするんですよね。息子にも言っていますが、エンジンとの気持ちが合わないと、始動してくれないんです。
全てコンピューター制御のクルマも便利で素晴らしいけど、こういう人間味のあるクルマも素晴らしいなと感じるんです。
――熟練の技がいりますね……。その様子でいくと、走るのも大変そうです……
パワステが付いていないから、動き出しが重いかな。大変なのは車庫に入れる時で、少しずつジリジリ動かしながら入れてます。でも、それ以外は普通のクルマと一緒で、サーキットを走らせると速いんですよ〜。
――サーキットを走っているんですね!?
はい。その反応をよくされるんですけど、むしろサニーはサーキット用のクルマで、年間で1000kmくらい走っています。
広島の安芸高田市にTSタカタサーキットというミニサーキットがあるんですけど、そこでタイムアタックしていますよ。
古いのに現行ロードスターより速く走るものだから、みんなに驚かれますね〜(笑)。若い子は見たことがないクルマだから、興味津々という顔をしてくれるんです。
日産のエンブレムを外して、広島銘菓の“もみじ饅頭゛のマークを付けていると、どこのメーカーが販売していたクルマか分からないみたいで、「これって、どこのクルマですか?」って聞かれたりします。
「イギリスのクルマだよー」って言ったら、本当に信じた子もいました(笑)。
――源さん(笑)! それにしても、現行ロードスターより速いんですね。
そうそう。今どきのクルマは安全装置などが付いて車体が重くなっているから、TSタカタサーキットのような小さくてコーナリングの多いコースでは、軽いサニーの方が適しているんです。
車重は700kgで、加速はそれほどではないんですけど、コーナーでのフットワークが軽いんですよ。こんな楽しいクルマはなかなかなくて、本当にお気に入りです。
最高速は160km /h出るかというところなんですけど、小さいエンジンなりによく動いてくれるからアクセルを踏むとすぐ加速、ブレーキを踏んだらすぐ止まるって感じで想像以上に面白いですよ。
僕にとって好きなクルマでサーキットを走るのは、すごく幸せな時間で最高なんです。
自分とクルマは、切っても切りは離せない関係だという源さん。クルマは自分の生活に彩りを与えてくれる、大切な存在だそうです。
(文:矢田部明子)
日産の愛車記事
-
-
廃車寸前だった「つなぎ」の愛車は、いつしか「相棒」へ。1991年式日産ローレル メダリスト ツインカム24Vターボ(C33型)
2024.12.20 愛車広場
-
-
-
新車購入から四半世紀、15万kmの走行でジックリ育ててきた我が相棒
2024.12.14 愛車広場
-
-
-
510ブルーバードに憧れて。旧車の洗礼を受けても譲れないもの。
2024.12.11 愛車広場
-
-
-
マイナー車好きオーナーのコレクションに加わった2代目バイオレット
2024.12.08 愛車広場
-
-
-
愛車として迎え入れて50年。日産・シルビアへの“ときめき”はこれからもずっと
2024.12.07 愛車広場
-
-
-
父と子が紡ぐ物語。30年をともにする1989年式日産スカイライン GTS-t P’sスペシャル(HCR32型)
2024.12.06 愛車広場
-
日産に関する記事
-
-
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
2024.12.22 ニュース
-
-
-
日産『キックス』旧型を「キックス プレイ」として併売へ
2024.12.21 ニュース
-
-
-
日産『ノートオーラ』、新グレード「AUTECH SPORTS SPEC」登場…パフォーマンスダンパーをヤマハと共同開発
2024.12.20 ニュース
-
-
-
日産、ビームスとコラボした特別な6車種発表…シートカバーに裏返しデニムを再現
2024.12.19 ニュース
-
-
-
【試乗記】日産キャラバン グランドプレミアムGX MYROOM(FR/7AT)
2024.12.13 クルマ情報
-
-
-
『Z』2025年モデルや高性能『オーラ』など初公開へ! 日産が「東京オートサロン2025」出展情報を発表
2024.12.12 ニュース
-
-
-
「琴」イメージした内装デザイン、インフィニティの最上級SUV『QX80』に採用
2024.12.10 ニュース
-
-
-
日産、マレーシアに「e-POWER」初導入…第一弾『キックス』発表
2024.12.09 ニュース
-
-
-
日産、新型『ムラーノ』を年産8万台計画…米スマーナ工場で生産開始
2024.12.06 ニュース
-
関連記事
-
-
愛情を注ぎすぎた過去の経験を糧に ホンダ・ヴェゼルとスローペースで歩んでいく
2024.12.22 愛車広場
-
-
-
中学生のころに憧れたスバル・アルシオーネSVXを日常使い、人生が豊かに
2024.12.21 愛車広場
-
-
-
「自分だけが知っている良さ」が嬉しい マツダスピードアクセラ
2024.12.19 愛車広場
-
-
-
「僕の好きがすべて詰まってる」いすゞ・ピアッツァは僕の人生の原動力となる相棒
2024.12.18 愛車広場
-
-
-
トヨタ カローラGTは18年間いつも傍に居てくれた「スーツを着たアスリート」
2024.12.16 愛車広場
-
-
-
ジムニー×沖縄=新たな発見の連続!スズキ・ジムニーは自分好みに遊べる
2024.12.15 愛車広場
-
-
-
ジムニーを極めたいと行き着いた「サムライ」。憧れだったクルマに乗って広がったライフワーク
2024.12.14 愛車広場
-
-
-
唯一無二の相棒。ホンダ・S660が新たな楽しみを連れてくる“特別な日常”
2024.12.12 愛車広場
-
-
-
510ブルーバードに憧れて。旧車の洗礼を受けても譲れないもの。
2024.12.11 愛車広場
-
最新ニュース
-
-
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
2024.12.22
-
-
-
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
2024.12.22
-
-
-
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
2024.12.22
-
-
-
スバル「ゲレンデタクシー」5年ぶり開催へ、クロストレックHVが苗場を駆ける
2024.12.22
-
-
-
「カスタマイズは人生に彩りを与える」、東京オートサロン2025のブリッツは『MFゴースト』推し
2024.12.22
-
-
-
ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
2024.12.22
-
-
-
スズキ『スイフト』新型のツートンカラーが「オートカラーアウォード2024」特別賞に
2024.12.21
-
最新ニュース
-
-
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
2024.12.22
-
-
-
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
2024.12.22
-
-
-
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
2024.12.22
-
-
-
スバル「ゲレンデタクシー」5年ぶり開催へ、クロストレックHVが苗場を駆ける
2024.12.22
-
-
-
「カスタマイズは人生に彩りを与える」、東京オートサロン2025のブリッツは『MFゴースト』推し
2024.12.22
-
-
-
ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
2024.12.22
-