乗り心地を改善するために、デモカーを日常使い。日本一乗りやすいハイラックスを目指して!
カスタムや整備など、お客さんの様々な要望に応えるショップを目指していると話してくれた「篠原さん」。そんな篠原さんのショップのデモカーは、ハイラックスZ GR SPORT。
決して乗り心地が良いとはいえないこのクルマを、日常使いしやすくするというのがコンセプトだという。そのために、篠原さん自身が毎日普段使いしているのだそうです。
今回は、篠原 さん×ハイラックス のお話をお届けします。
――デモカーとして、ハイラックスZ GRスポーツを選んだワケは?
大人になったらピックアップトラックに乗るぞ!という憧れが、小さい頃からあったんです。で、大人というか……おじさんになった今(笑)、それを叶えたという感じですね。
――ちなみに、乗りたいと思うキッカケがあったのですか?
僕は、子供の頃に旧国道1号線沿いに住んでいたから、荷物を積んだトラックを沢山見てきたんです。
昔のトラックって、今みたいに綺麗なもんじゃなくてね〜。キャビンなんか付いていなくて、フレームだけとりあえず付けた(笑)みたいなトラックが、青森とかそういう文字の書かれた木箱を積んで走っていたんです。
そして、それを運転しているオッチャンが、渋くてカッコいいと憧れていました。
ハチマキを巻いて、サングラスをかけて、ゴゴゴゴーっという大きな音を立てながら我が物顔で道路を走って行くんですけど、いつか自分もやってみてぇ〜!って思っていたんです。
そういえば、夜中にこっそり家を抜け出して、トラックが走るのを見に行ったこともあったなぁ(笑)。
――トラック野郎とか、そういうイメージですか?
そんな感じ!だけど、それよりももう少し泥臭くて飾り気もなくて、ザ・働くクルマって感じかな。
――なるほど。そういう渋いのに憧れていたんですね
トラックを見ているうちに、商用モデルのクルマなら何でも好きになったんですよ。パトカーとか機動隊が持ってるクルマとか、ダンプとか救急車とかね。
あとは、親父もクラウンのピックアップに乗っていたから、親しみのあるクルマというのもあったかもしれないですね。まぁ、そんなわけで、ハイラックスを選んだわけです。
――そんな篠原さんが目指しているコンセプトは何ですか?
外観デザインとかそういうことよりも、普段使いしやすい!というのがコンセプトです。
ハイラックスはリーフスプリングなので、後ろに乗っている人の乗り心地がピョンピョン跳ねちゃうんですけど、リーフを柔らかいバネにして乗り心地を改良しています。
本来の良さである、荷物が積めるクルマという点では逸脱しているかもしれませんけどね。
――でも、そこにこだわりたかった理由は何ですか?
これは、あくまでも僕のショップに来るお客さんの話なんですけどね。ハイラックスやランクルを愛車に迎えたオーナーさんが、CMを見てカッコいいなと思って愛車にしたら、案外乗りにくくて……とか。
気に入っているのに、普段使いしづらくて困っているという人が意外と多かったんですよ。オフロードをもっと走りたいからと、もともと高い戦闘力をさらに高めるという人よりは、快適に乗りたいみたいなね。
使い方を聞くと、街乗り中心で、たまにキャンプみたいな人が多いから、じゃあ家族でカッコいいクルマに乗れるようにしてあげたい!と思うようになったんです。
――確かに……。私もランクル76に乗ってますけど、圧倒的に街乗りの方が多いです。
そうそう。ここは舗装された道の広がる日本だもん。ほとんどの人がそうですよ。
――ちなみに、普段使いしやすいということ以外に、こだわった部分はありますか?
お財布に優しいカスタムをすること、ですね。すごく細かくいうと、毎月のお小遣いを少しずつ貯めていけば、なんとかカスタム出来るんじゃないか!? という金額にしています。
――なんだろう……。妙にリアリティがありますね…(笑)。
実際に僕もそうですから……(笑)。
正直な話をすると、お金をかけた方がカスタムの自由度は上がると思うんですよ。だけど、それだと頑張って働いているお父さんに、あまり優しくないじゃないじゃないですか。
あっ、誤解しないで欲しいのは、むやみやたらにコストを抑えるということではなくて、安全性を確保した上でコストを抑えられそうなところは抑えるということですよ。
――例えば、どんなところですか?
オーディオ類ですね。スピーカーやアンプなどをちょっと良いのに変えると、車内にいるのが楽しくなりますから。
――あ、それ分かります。自分の好きな曲をかけているだけで、テンションが上がるんですよね!
まさに、僕はそれが大事だと思っているんですよ。会社に行って働いて、家に帰って父親として旦那として過ごす、その合間合間に車内で自分だけの時間を過ごして欲しいんです。誰のためじゃなく、自分のためだけの時間をね。
ちなみに、これは男性だけじゃなくて、女性にも言えることですよ。車内で自分のための時間を過ごせますように、という思いでカスタムしているんです。
クルマに乗って一息つける、自分だけの時間が少しでも心地良いものになる、そんなオーナーさんに寄り添う愛車を提案するために、デモカーに乗って日々改良しているという篠原さん。
といいつつも……、お客さんのためだけではなく、篠原さん自身のためでもあるのでは?と思ったのは、ここだけの話(笑)。
(文:矢田部明子)
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