30万km、勤続28年のマークIIバン。数々の危機を一緒に乗り越えてきた、1番古株の社用車

  • マークⅡバン(5代目)

購入や乗り替えなど、社用車の一切を任されているという「ひろきさん」。社長さんから「走行距離は20万km以上はいってほしい」と言われ、どのクルマもそれくらいは乗って、新しくしているのだそうです。

そんななか、1台だけ30万7000km走っているクルマがあると話してくれました。それは、5代目のマークⅡでバンとしては最終型となるマークIIバン。

今回は、ひろきさん×マークIIバン のお話をお届けします。

――マークIIバンって、会社に勤めて何年になるのですか?

  • マークⅡバン(5代目)の右サイド

あはは!勤めてって(笑)!でもそうですねぇ〜、僕が入社8年目の時に購入したから、勤続28年になるかと思います。新入社員の子が22歳だから、社員としてはかなりベテランの方ですね♪

――28年も使っていると、故障が多くなってくるのでは?

いえ、これが結構しぶとい奴なんですよ。15年くらい前にそろそろ限界かな?と思ったこともあったんですが、とくに故障もないから乗り替える理由も見当たらないんです。

大雪の日に、屋上に積もっていた雪が屋根に落ちて潰れたこともあったんですけど、修理して綺麗になって戻ってきたし、とにかく運の良い奴なんです。

――そもそも、このクルマを購入しようと思ったキッカケは何だったのですか?

“丁度良い”クルマだったんです。

――と、いいますと?

  • マークⅡバン(5代目)の左リヤビュー

僕の勤めている会社は金属部品を作っているから、重い荷物を運ぶことが多いんです。だから、マークIIバンのように後輪駆動のクルマが良かったんです。

何故なら、後輪駆動だと駆動軸に重い荷物が載るから、どんな道も難なく走れるんですよ。逆に、プロボックスのような前輪駆動のクルマだと、後ろが重すぎて前のタイヤが空転しちゃう。坂道を登る時なんかは最悪で、なかなか登れない〜!っていう感覚になりますよ。

先ほど乗り替えの話をしたんですけど、こういうタイプの後輪駆動のバンは、マークIIバン以降登場していない気がするので、それでずっと乗っているというのもありますね。

ウチのは平成8年式なんだけど、翌年にはマークIIからバンの設定が無くなっちゃったんですよ。

  • マークⅡバン(5代目)のエンジンルーム

――なるほど。でも、購入した当時だと、後輪駆動のバンが複数車種合った中で、何故マークIIバンを選んだのですか?

マークIIバンは“ライトバン”と呼ばれる部類になるんですけど、確かに昔は、スターレット、クラウン、コロナ、カローラなど、色々な車種にバン設定がありました。

そんな中でこれを選んだ理由は、1番頑丈そうだったからです。カリーナとかコロナだとかは、車格が一回り小さいんですよね。

あとは、マークIIバンはリアサスがスプリングだったのに対して他のは板バネなので、いかにも“仕事のクルマ”という感じがして、ちょっと気になったというのもあります。

  • マークⅡバン(5代目)のラゲッジルーム
  • マークⅡバン(5代目)の足回り

――1番乗用車っぽく乗れるバンだったということですか?

そうです。なんなら、普通のマークIIと乗り心地は変わらないですからね。こんなこと言ったら会社に怒られちゃうかもしれないけど、自分の好きなように乗らせてもらっているんです。
もちろん社用車ですが、半分趣味みたいな感覚があるのかもしれません。

――何故趣味のようなクルマなのですか?

実は、地味にグレードアップをしているんです。予算の関係上、購入したのは型遅れの フェンダーミラー、ビニールシート、パワーウインドウ無しの低グレードDXでした。

フェンダーミラーですよ!? 平成8年当時って、フェンダーミラーの付いたクルマなんて皆無だったのに……。

これはあまりにも今時じゃないということで、解体屋に行ってマークIIワゴンのドアミラーをもらってきて付け替えたりしました。

ところが、これが結構大変な作業でね。要は、バンとワゴンのドアミラーの付く窓の大きさが違うから、ドアごと入れ替えなくちゃいけなかったんですよ。だから、ドアも解体屋からもらってきて、やっとこさドアミラーを装着するという……。

ほかには、タコメーターをワゴン用のものに付け換えたり、アルミホイールに交換たりとか。

シートもマークIIワゴン用にしているんですけど、これはシートがボロボロになったからからで、会社に話をしてやったりしています。

  • マークⅡバン(5代目)のサイドミラー
  • マークⅡバン(5代目)のメーター
  • マークⅡバン(5代目)のシート
  • マークⅡバン(5代目)のヘッドライト

――でも、そんなに手をかけているなら愛着も湧きますよね。

もちろん自分でいじったからというのもありますが、それだけじゃないですよ。

部品が出来上がるのが遅くなってしまって出荷のトラックに間に合わず、東京から名古屋まで寝ずにコイツで走ったこともあったし、得意先に行くために冬に洗車したら凍ってしまったこともありました。
そういう思い出の沢山詰まったクルマだから、愛着が湧くんです。

今のこのクルマの稼働率ってほぼなくて、たまに得意先に乗っていくくらいなんです。それでも社用車として会社にいる(ほっとかれている?)のは、なんだかんだ愛されているからなんです。きっとね。

  • マークⅡバン(5代目)のリヤ

社用車だったマークIIバンは、ひろきさんたちにとっていつの間にか同僚になっていたそう。上手くいった時も、そうでない時も、一緒に戦ってきた仲間だと話してくれました。

勤続28年。マークIIバンの定年退職は、まだまだ先になるでしょう。
頑張れ!マークIIバン!

(文:矢田部明子)

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