「人生最後の1台」であり「最高の選択」。 mm1仕様のマツダ・ロードスターが教えてくれた喜び
若かりし頃はレースに打ち込む日々を送っていた「カバmm1」さん。60代を迎えた現在は、愛車マツダ・ロードスター(NB8C型/ mm1仕様)とともに、家族や仲間との絆を深めながらカーライフを楽しんでいます。愛車との付き合いは10年を迎えました。
愛車の仕様の原点となっているのは「monoCRAFT mm1」と呼ばれる、NB型(2代目)ロードスターをベースに製作されたコンプリートカーです。2004年に30台限定で販売され、のちにmm1の外装を再現できるキットが市販化されました。カバmm1さんの愛車は、このキットでモディファイされた1台です。
今回は、カバmm1さんが愛車として迎え入れたmm1仕様のロードスターがもたらしたカーライフを紹介します。
――クルマを好きになったきっかけを教えてください
通学中、セリカやGTOを見かけるたびに友人たちと「かっこいいな!」と盛り上がっていました。中学時代はオートバイが好きで、クルマ好きになったのは高校生になってからです。N360やフロンテクーペなどのコンパクトなスポーツモデルに惹かれていました。
――これまでどんな愛車と過ごしてこられましたか?
最初に購入したのはカリーナ1600GTでした。次に、トレノに乗り換えてサーキット走行にのめり込みました。当時、サーキットの参考タイムは1分8秒。私は初走行で1分10秒を記録したんです。それをきっかけにショップに誘われて、サニー1200GXで「ウエストジャパンツーリングカーレース」に参戦することになりました。ここからモータースポーツに没頭することになります。
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初の愛車 カリーナ1600GT
――当時の愛車も、走りを意識したモデルが多かったのでしょうか?
初代ジェミニ、ソアラ2800GT、シビック1.6 Si、CR-X SiR、NA型(初代)ロードスターに乗り継ぎました。コーナリング性能に長けたライトウェイトスポーツを好みましたね。ソアラ2800GTは、歴代愛車で唯一の6気筒モデルでした。その中でも初代ロードスターとの出会いが、カーライフの転機だったんですよ。
CR-Xに乗っていた頃のことです。友人のところへ遊びに行った際に、彼が新車で手に入れたNA型ロードスターを見せられて「乗ってみて」と。最初は正直、CR-Xの160馬力を誇るVTECエンジンの魅力には及ばないだろうと思っていました。
しかし、実際に乗ってみて衝撃を受けました。
例えば、ハンドルを切った瞬間に車体がスムーズに応答する感覚、エンジンの味付け、シフトチェンジのたびに伝わる「クルマとの対話」といった“体感的”フィーリング。「車と心地よく対話する」ことに気づかせてくれたんですよ。
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ロードスターを手に入れた頃
――具体的にどんな魅力を感じられましたか?
新しい「楽しさの基準」を教えてもらったような気がしました。
平井開発主査が掲げた"人馬一体"は、本当にドライバーと車が一体化した感覚を生むものでした。レースではタイムがすべてだったので、それ以外の価値をあまり考えたことがなかったのかもしれません。
ロードスターを手に入れてからは、クルマとの向き合い方が大きく変わり「楽しいと思えること」を最優先にするようになりました。
――NA型(初代)ロードスターとの出会いが運命的だったんですね。それから育児に専念するため、クルマの趣味をしばらくお休みされていたそうですが?
娘が誕生してからもしばらくロードスターに乗りましたが、育児が落ち着くまでスポーツカーをお休みすることにしました。子育てが落ち着いてきた2015年に、今の愛車を手に入れることになります。
――最初からこの「mm1仕様」のロードスターを探されていたのですか?
当初はNA型(初代)ロードスターをベースにM2がカスタムした「M2 1001」というコンプリートカーを探していたんです。
ネットオークションを探しているなかで、偶然このmm1仕様に出会いました。
選んだ決め手は、かわいい顔です(笑)。そしてNB型(2代目)ロードスターであること。以前から6MTにも乗ってみたいと思っていましたので。しかし、このデザインのNA型ロードスターであっても手に入れていたと思います。
――納車日の思い出を教えてください
前オーナーさんのお宅は、県外でかなり遠方だったので、娘を連れて新幹線で受け取りに行きました。前オーナーさんとは初対面でしたが、大変良い方でした。娘とも打ち解けて楽しい納車日となりました。
帰りはオープンにして自走で帰ったのですが、娘が「(前オーナーさんは)良い人だったなあ」と何度も言っていたことが印象に残っています。
その後も社会性を育む目的も兼ねて、娘をミーティングやオフ会にも連れて行くようになりました。おかげさまで、人見知りせず社交的に育ちました。イベントでも皆さんにかわいがってもらい、本当に良い経験をさせてもらえたと感じています。
――愛車、そして娘さんと一緒にイベントに参加したなかで、とくに楽しかった思い出やエピソードを教えてください
娘と一緒に初めて参加した「オアシスミーティング」へ向かう道中の出来事です。
たくさんのロードスターが、自然と列をなして走る状況になりました。休憩で立ち寄ったサービスエリアでは、オーナー同士がすぐに打ち解けていました。会場に到着する頃には、昔からの友人のような雰囲気なんです。
驚いた娘が「移動しながら仲良くなれるなんてすごい!」と感動していた様子がとても印象的でした。「ロードスターが好き」という共通点が、こんなにも人と人をつなげるんですね。
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娘さんもロードスターオーナーに!
――愛車を通じて広がったご縁が、親子の新しい世界も広げたようですね。ご縁といえばイベントで偶然、前々オーナーさんに会ったとか?
そうなんです! 30周年ミーティングに参加したときに突然声をかけられて「自分が乗っていたんです。ひと目でわかりました」と話されていました。感動しました。
――そんな出来事があるんですね!そんな愛車の気に入っている点を教えてください
「チャーミングな顔」と「189psの4スロ吸気音」のギャップですね。こんなにかわいいのに、力強い走りとサウンド。この4スロは前オーナーさんが手を入れてくださっていた部分で、この個体ならではの魅力です。
実は、最初の愛車だったカリーナGTにもソレックス製のキャブを装着していて、その吸気音に似ているんですよ。とくに加速時の吸気音が気に入っています。
――愛車の個性はサウンドにも詰まっているんですね。メンテナンスで気遣っているポイントは?
劣化しやすいゴムやプラスチックなどの消耗品はこまめにチェック。幌のスペアも1セットストックしています。洗車にはオートグリムの用品をトータルで愛用しています。扱いやすくて好きなんです。洗車の時間も楽しいですね!
――これから愛車と、どんなことを楽しみたいですか?
クルマ自体はほぼ“完成形”だと思っていますので、これ以上モディファイする予定はありません。
これまで13万5000kmを走りましたが、娘と遠出をしたときも、一度もトラブルを起こさずに走ってくれたことが本当に心強かったです。
「壊れないでくれてありがとう」という気持ちでいっぱいですね。これからは予防整備をしっかりと行っていくつもりです。
娘は独立して、県外で新しい生活を始めています。一緒にロードスターでさまざまな場所を訪れた思い出は宝物です。あのときの時間が、いつまでも娘の心に残っていてくれるといいなと思っています。
私自身「楽しく仕事をして遊ぶ」がモットーですので、これからもこのmm1仕様のロードスターを「人生最後の1台」として、魅力を味わい尽くしたいと思っています!
若き日に燃やしたモータースポーツへの情熱、ロードスターとの衝撃的な出会い。そして、育児を経てめぐり逢った「mm1仕様」のロードスター。カバmm1さんのカーライフは、人生の大切な瞬間に寄り添いながら未来へとつながっていきます。
お話を伺うなかで、カバmm1さんがこれからも笑顔あふれるカーライフを楽しんでいく姿が目に浮かぶようでした。「人生最後の1台」にして「最高の選択」。これからも愛車とともに、素敵な思い出をたくさん刻んでくださいね!
【X】
カバMM1号さん
@Roadster_mm1
(文:野鶴美和 写真:カバmm1さん提供)
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