「愛車と呼吸を合わせて」。ホンダ S2000と自分らしく走る日々
以前、マツダ・RX-7 タイプR バサーストRのオーナーとして登場いただいたyossyさん。
――クルマ好きのきっかけは「頭文字D」でしたよね?
5歳の頃から「頭文字D」の影響で、国産スポーツカーのミニカーを集めるのが好きでした。スーパーでお菓子の付録についていた、1/32スケールの青いS2000を見つけたとき、迷わず買い物カゴに入れたのを覚えています。その頃はまだ「かっこいいオープンカー」くらいの印象だったと思います。
――じゃあ、運転免許を取得してから本格的に乗ろうと?
運転免許は、大学に入ってから取得したんです。周りにもクルマを持っている人が多くて、在学中に自分のクルマを持つのも夢じゃないなと思い始めて……。とはいえ、勉強や卒論で忙しくてタイミングを逃していたんですけど。
S2000は、少しずつ好きになっていった感じですね。「ホットバージョン」や「ベストモータリング」もよく観ていて、特にホットバージョンの「峠最強伝説」が大好きで、アニメの世界がリアルな峠バトルとして展開されていたのが衝撃的で、一気にハマりました。ちなみに、いちばん好きだったのは「パワーハウス・アミューズ」のデモカーです。
――今の愛車のS2000とはどのように出会ったのですか?
大学4年になる頃、父の職場の方から「S2000の次のオーナーを探している」という話が舞い込んできたんです。その方は新車からずっとワンオーナーで乗られていましたが、もう即答でしたね!
――S2000に対面したときの思い出を教えてください
地元が九州でして、春休みに帰省したときが初対面でした。玄関に荷物を置くなり、そのままS2000のところへ直行!運転席に座って、ボンネット開けてとか、なんか整備士ごっこみたいにいろいろなところを開けたり見たりしていました(笑)。エンジンの掛け方がわからずに戸惑ったのも、今となってはいい思い出です。
大学のある東北へは、フェリーを2本乗り継いでS2000と一緒に戻ったんです。そのときは初心者マークを付ける期限がギリギリ1週間残っていたので、貼れるのが妙にうれしかったですね(笑)。神戸や敦賀、男鹿半島の景色もきれいで、本当に忘れられない旅になっています。
――素敵ですねえ! S2000は普段、どんなふうに乗っているんですか?
通勤は電車なので、完全にドライブ専用ですね。買い物も運動がてら歩いて済ませているので「走るためだけの時間」を確保しています。天気のいい休日や、在宅ワーク後にちょっと外の空気を吸いたくなったときに乗ることもあります。時間がある日は、朝から晩まで走っていることもありますね。
――運転中はどんなことを考えているんですか?
S2000と走る時間は、マラソンみたいなものかもしれないですね。誰かと競っているわけじゃないけど「自分と向き合う時間を大事にするもの」という感じで。でも、それがすごく楽しいんですよ。
運転中は、周囲の状況や路面の感触、挙動などを見極めながら、いかに冷静に判断できるかを意識しています。実はジムカーナにも挑戦しているのですが、レーシングドライバーって冷静な判断力が求められるじゃないですか。そういう感覚を養いたいと思っているんです。瞬間ごとに状況を判断しながらも、冷静さを保てるようなドライビングを目指しています。
そのおかげか、S2000に乗るようになってから、瞬発的な判断力と冷静さが少しずつ養われているような気がします。仕事や普段の生活でも、落ち着いて物事を考えられるようになったのを実感しています。
――運転と日常の思考がつながってるんですね
うまく走れているときは、心身整っていると感じられますね。S2000ってハイレスポンスなので、操作に対して本当に正直なんですよ。ちょっと雑になると「今のは違うよ」と返ってくる。だから長距離ドライブのときも、走っているうちに「あ、いま疲れてるな」って操作の違いに気づけるんです。そういうときは、無理せず休憩を入れるようにしています。
S2000の乗り味のどのようなところが好きですか?
VTECに切り替わる瞬間には、ガラッとクルマの気配が変わるのが好きです!例えるなら「外洋性のサメ」みたいな。
まさに、血の匂いを嗅いだ瞬間にスイッチが入って攻撃的になる。そういう生き物としての「覚醒のしかた」が似ていると思います。
――ドライブに行く時間帯はこだわりがありますか?
そうですね。早朝か深夜によく走ってます。事故リスクの軽減や渋滞や信号待ちを避けてクルージングできるからなんですけど、自分だけの時間を濃密に過ごせると感じるのが大きいです。音や振動、伝わってくるクルマの呼吸みたいなものに集中できるのが楽しいです。
――オープンドライブのときはどうですか?
幌を開けて走るときは、完全にオフモードです。生活のあれこれを頭から切り離して、風を浴びながら走る時間を楽しんでます。冬場は、マフラーを巻いて走るのが定番ですね。首元だけしっかり温めれば快適に走れますし、澄んだ空気を感じながら走るのは最高です!
もともと自然や生き物が好きなので、野鳥観察用の望遠鏡をトランクに載せてます。ちょっと停車して、野鳥を見るのも癒されるんですよ。
――yossyさんの愛車、すごく洗練されている印象です。こだわりポイントはありますか?
基本的には純正スタイルを大切にしています。いま装着しているフロントバンパーは、ホンダアクセスが出している「S2000 20thアニバーサリーパーツ」です。2020年の東京オートサロンで発表されたときに、メーカーを応援したいと思って交換しました。
ほかに変更している点は、ジムカーナをしていることから運転席のみ、バケットシートに交換しています。純正シートは、自宅のデスクで椅子として活躍してくれています。
――S2000を通じて、いろいろな出会いもありますか?
はい、一緒にツーリングに行ったり、普段の整備の相談をしたり、クルマを通じたつながりが広がっていったのもS2000のおかげです。同じ車種に限らず、走りやドライブを楽しむ気持ちでつながれるのがうれしいです。
前に勤務していた職場で上司とS2000の話になったことをきっかけに、上司が出ていたTGRラリーチャレンジでお手伝いをさせてもらったことがあるんです。それをきっかけにモータースポーツを現地観戦するようになり、今ではF1のパブリックビューイングやスーパーフォーミュラにも足を運ぶようになりました。
ホンダのウエルカムプラザ青山で開かれたModuloのトークイベントに参加したときには、前オーナーから引き継いだキーホルダーに、土屋圭市さんがサインをくださったんです。本当にうれしかったです!SNSでもたまに投稿に反応してくださっていて、それも日々の励みになっています。
――これから、愛車とどう付き合っていきたいですか?
S2000のことをもっと深く知っていきたいという意味で、モータースポーツの場にももっと関わっていけたらいいですね。長く付き合っていく中で、ドライバーとしての成長を感じていけたらと思います。
自分のカーライフは「綺麗に、美しく、速く」を意識しています。「クルマと調和した走り」をしていたいという目標です。
――その“魅せる走り”が、S2000の未来にもつながっていくような
S2000みたいなクルマって、もう二度と世に出ないと思うんです。魅力を言葉で伝えるのも大事ですが、やっぱり楽しそうに乗っている姿から「S2000っていいな」って思ってもらえたら、オーナーとしてうれしいです。
部品の供給に不安があったり、レストア体制が整っていたりするわけではないです。それでもこのクルマには、守られる価値があると思っています。ホンダスピリットや走りの楽しさを伝えていきたいという思いもあります。
将来的にはフルレストアして、モンテカルロブルーパールに塗り替えたいです。ブルーは自分のパーソナルカラーでもありますし、自分らしさを詰め込んだ1台として、大切にしていけたらいいですね。
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撮影:Kazu Photo
愛車を通して、クルマとの調和や自分のスタイルを大切にしているyossyさん。
S2000を未来へつなぎたいという気持ちは、きっと多くのオーナーが共感しているはずです。筆者も同じ気持ちでハンドルを握るひとりとして、エールを送ります。
【Instagram】
Yossiensisさん
【X】
よっしーさん
(文:野鶴美和 写真:yossyさん提供)
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