「大人も楽しめるカスタムカーに」。36歳の男性オーナーが選んだのは、2003年式ダイハツ・ムーヴ カスタムR (L150S型)
今回の主人公は、36歳の男性オーナー。愛車は2003年式のダイハツ・ムーヴ カスタムR(L150S型)。
ダイハツ・ムーヴは軽規格のトールタイプワゴンとして根強い人気を誇っており、オーナーの個体は、スポーティモデルの「カスタム」に設定された「R」と呼ばれるグレードだ。2002年から2006年まで生産されたシリーズ3代目にあたる。エンジンは、3気筒エンジン・3気筒ターボエンジン・4気筒ターボエンジンの3タイプがラインアップされ、いずれもパワフルさとレスポンスの良さで高評価を得た。駆動方式もFFと4WDの2タイプが設定された。
ダイハツ・ムーヴ カスタムR(L150S型/以下、ムーヴ)のボディサイズは全長×全幅×全高:3395×1475×1630mm。排気量は659ccで3気筒ターボエンジン「EF-DET」型を搭載。駆動方式はFFだ。
オーナーが、2016年に8万8000キロで手に入れたこの個体のオドメーターは、現在13万7000キロを刻む。エクステリアは、オーナー自らの手によってカーボンシートやデカールで美しくモディファイが施されていた。差し色に使われているレッドが、スタイリッシュな雰囲気をより一層引き立てている。
「クルマ通勤をしていないので、仕事から帰ってからドライブしに行きます。その日イヤな出来事があっても、ムーヴとドライブすると忘れますね。クルマが唯一のストレス解消法かもしれません」
そう語る明朗な口調から、オーナーの人柄が伝わってくるようだ。オーナー像に注目するべく、まずは愛車遍歴から伺った。
「幼馴染のお父さんがカスタムショップを営んでいて、ショップのデモカーを製作しようという話になり『自分のセンスでクルマを選んでみろ』ということでデモカーになるクルマを選ばせてもらったのがきっかけです。ある国産スポーツカーの旧車のショップが手掛けたデモカーが初の愛車となりました。いつかポンティアック・ファイヤーバード・トランザムのようなアメ車に乗りたいと思っていたところ、その国産スポーツカーの雰囲気が似ていたんです。エンジンのフルオーバーホールを手伝い、3年がかりで完成させました。そのデモカーを7年間所有していました」
実は「アメ車好き」のオーナーなのだろうか。クルマ好きの原体験を尋ねてみた。
「ドラマの『ナイトライダー』が好きで、キットと同じポンティアック・ファイヤーバード トランザムが欲しいと思っていました。続編の『ナイトライダーNEXT』に出てきたフォード・マスタング シェルビーGT500も本当にカッコいいです。こういうゴツゴツ感のあるクルマにも惹かれて、いろいろな輸入車にも興味が出てきました」
今、気になっているクルマはあるのだろうか?
「フォルクスワーゲン・パサート ヴァリアントが好きですね。後輩が乗っていたので同乗させてもらったら、文句のつけどころがなかったです。例え購入できても、ムーヴはそのまま残して増車すると思いますが (笑)」
ここで、ムーヴとの馴れ初めを伺うことにした。
「とあるカスタムカーのイベントで、軽自動車のスタイリッシュなカスタムカーを見つけたんです。それがムーヴ カスタムでした。こんなにカッコよくなるんだと衝撃を受けましたね。単なる“アシ”ではなく、本当に満足できるクルマに出逢えた気がしました。どうしても手に入れたいと思い、カーショップを営む先輩に話をしたところ『ちょうど売りモノがある』と言われて、すぐに現車確認へ行きました。店頭には車検対応のダウンサスを装着した個体が置いてあり、ベース車として最高だったこともあって即決してしまいました」
ムーヴを所有して感じた、変化や気づきは?
「前のデモカーに乗っていた頃に比べて、人間関係に悩むことがすっかりなくなりました。当時は若かったこともあり、国産スポーツカーの旧車に乗っていると『生意気だ』といわれることが多かったんです。それに今と比べて『クルマは弄って、速くてナンボ』という傾向が強かったので、どこかピリピリした雰囲気がありましたね」
クルマのおかげで人間関係が広がったという声が多いなか、そうではないオーナーもいるのだ。続いてオーナーの「変化や気づき」を詳しく伺ってみた。
「深く付き合える友人に出逢えたことです。ミニバン好きな友人で、人を惹きつける魅力を持っているので、彼を通じてさらに輪がひろがり、クルマの会話をするのが楽しくなっていきました。同じムーヴ オーナーには私より年上の方も多いのですが、愛車遍歴を聞くと誰もが驚くようなクルマに乗っていることが多く、私も国産スポーツの旧車に乗っていたので、そこから打ち解けたりすることもありますね」
ムーヴをきっかけに、カーライフが充実する。そんなオーナーが心をこめて施したモディファイを詳しく紹介していこう。まずはモディファイのコンセプトから伺った。
「車検対応で、費用をかけなくてもスタイリッシュで、年配の方からは『自由に楽しんでいるな』と思ってもらえるような『大人も楽しめるカスタムカー』を模索しながら手を入れています」
現在の仕様は?
「アーシングキットとタナベ製のダウンサスが納車したときから装着されていました。私が手に入れてからは、フロントとリアにダイハツの純正エアロ『SPORZA』のハーフエアロを取りつけました。LEDテールライトは中古車部品店で購入した車検対応品に換えています。ホイールはフレーダー・マウス製の16インチです」
現時点の「クルマの完成度は60%」と話すオーナー。今後のモディファイ予定は?
「足回りを車高調に交換したいです。車高を落としているので、ロアアームも交換する予定です。20万キロを超えても乗り続ける予定なので、イグニッション、スパークプラグ、ラジエーターも一新したいですね」
普段から気を遣っている点は?
「エンジンオイルの粘度ですね。粘度が高めのものを入れています。こうすることで、エンジンをいたわりながら、アクセルレスポンスも向上するんです」
こだわっている点は?
「どの角度から眺めても、リアが美しく良く見えるようにこだわっています。サイドラインをアクセントに、統一感を持たせているんです。このサイドラインに使っているカーボン素材は、本来『泥除け』でした。薄いと安っぽく見せてしまうと思い、ある程度厚みのある『泥除け』をネットで探してDIYしました。人と被らないところがお気に入りです」
最後に、今後愛車とどう接していきたいかを伺った。
「いろいろな人との絆が詰まっているクルマなので手放したくないですね。これからも苦楽をともにする相棒であり、兄弟であり、もはや私の一部ともいえる存在です。単なる移動の道具と言われるかもしれないですが、愛着をもって接していると応えてくれるのが、クルマというモノだと思っています」
誰かの真似をするわけではないが、決して天邪鬼にならず、自分が理想とするスタイルを追求し続けるオーナー。モディファイから充実したカーライフがにじみ出ているのか、眺めていると心地良さを感じた。
この先、もしオーナーが家庭を持ちライフスタイルが変化したとしても、軽自動車は維持がしやすいので、メリットも大きいだろう。愛車と永く暮らせる幸せも、このムーヴなら叶えられるのだ。どうかこれからも幸せなカーライフをと、言葉にせずにはいられない。
(編集: vehiclenaviMAGAZINE編集部 / 撮影: 古宮こうき)
[ガズー編集部]
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