勝田貴元「ラリー人気の起爆剤になりたい」。日本特有の難コースや豊田スタジアムのコースについて語る
WRC(世界ラリー選手権)の最終戦として迎えたフォーラムエイト・ラリージャパン2023が開幕、デイ1は平日の木曜日にも関わらず多くのファンが愛知県の豊田スタジアムに来場している。
その豊田スタジアムでは、メディア向けの公式インタビュータイム「メディア・ペン」が行われた。これは囲われた柵の中にドライバーが入り、周りのメディアのインタビューに答えていくというものだが、その様子はファンも間近に見ることができる。
そんなメディア・ペンに参加した勝田貴元選手のインタビューの模様をお届けしていこう。
「僕自身もそうですし、持っているポテンシャルも去年とは全く違うと思うので、そこはもちろん楽しみなところです。でもそういった時こそ、落とし穴もあると思ってもいます。
特に金曜日の天気も含めて、 路面のコンディションも去年より汚れてるところもあります。晴れだったら全開で最初から行っちゃうしかないかなと思っていたんですけど、そこはちょっとクレバーに行かないといけないことも出てくると思います。それは頭に入れて、あとは、コンディションによってプッシュできるところは集中していきたなと思います」
金曜日は雨の予報となっていて、デイ2の最初のSS(スペシャルステージ)である伊勢神トンネルSSについてのストラテジーを聞かれた勝田選手。
「ストラテジーというよりは、まずは本当に走ってみないと、自分のペースも含めて、他のチームと比べてもまだ何とも言えない部分があります。このラリージャパンに向けてのマシンのセッティングに関しても、セントラルヨーロッパラリーで使ったセッティングは全く使えないですし、先ほどのシェイクダウンでも全然ダメで、かなり(セッティングを)変えてやっとなんとか走れる状態になりました。
それも含めて、最初は車の状態をしっかり見ながらプッシュして、それで自分がどのぐらいのタイムなのか、それで足りているのか足りてないのかっていうところも、多分そこでようやく分かると思います。そうする前にいきなりプッシュしすぎると、そのせいで速かったのにリタイアするとかいうことになりかねないので、そのあたりは1本目の伊勢神トンネルSSはポイントだと思っています。状態、状況を把握するっていう上で、無理しすぎない方がいいかなとも思っています。
シェイクダウンでフィーリングが悪かったとのことだが、どのような方向性にマシンのセッティングを変えてきたのだろうか。
「日本のコースはツイスティなので、まず車がしっかり曲がるようにデフやダンパーをセットした状態で持ってきたんですけど、あまりにも去年と比べてグリップのレベルが低くて。去年もシェイクダウンのステージに関してはグリップが低かったのですが、それ以上です。
なので、 どちらかというとデフももう少しロック気味の方向にして、ダンパーもクロアチアとかハイスピードなラリーというよりは、グリップを稼ぐ方向のダンパーを使っています。あとは雨が降った時には、よりソフトな方向に振るんじゃないかなと思っています」
「2台で走るステージ構成はものすごく魅力的ですし、初めて見るお客さんも楽しめるステージだと思います。自分も子供の頃すごく楽しみにしていたので、すごくウェルカムですし実現してうれしいです。
コースはジャンプ以外は基本的に大きな問題はないと思っていますが、ジャンプしたらマシンが壊れるジャンプなので、そこの設計とかもうちょっと考えないといけなかったかもしれません。でも、まずやることに意味があるんじゃないかなと思いますし、こういった経験を踏まえて、来年改善していけばいいことだと思います。ステージ自体は本当に楽しめるので、プッシュはしようと思ってるんですけど、ジャンプだけちょっと気を付けないとですね」
昨年も落ち葉やコケ、砂利などで滑りやすい路面であったラリージャパンだが、金曜日のデイ2は雨の予報。その辺りで注意していることについても語ってくれた。
「落ち葉がやはり一番不安です。濡れた落ち葉って路面にへばりついて、走れば走るほどそれがペースト状態になってより滑るようになるんです。レッキ以上に増えると思うので未知数です。予想するしかないですけど、それも限界があるので、自分でステージを走りながらアジャストしていくしかないですね」
最後に、ラリージャパンそして、日本のモータースポーツに向けた意気込みを語ってくれた。
「やはり日本で開催することは僕にとっても、日本のラリーファンの方にとっても、ものすごく意味があることだと思うので、とにかく、ここ日本でいい結果を出したいですね。ラリーっていうもの、モータースポーツ自体が少しでも多くの方に知ってもらえるようにしたいです。
どんなスポーツでもそうですけど、日本人選手が活躍してると、やっぱり大きく取り上げられたり、人気が一気に出たりもするので、そういった起爆剤のような存在にまずなれるように、自分が活躍することが重要だと思っていますし、責任感も感じています。
豊田スタジアムのスーパーSSは、初めて観に来る方も全体が見渡せて、2台同時に走るんで、どっちが速かったか分かるんですよ。それってやっぱり一番観ていて楽しいですし、 走りの違いもより分かりやすいと思います。まだラリーを観たことないよって人もまずここで観ていただいて、迫力だったりとか、車の違いだったりとか感じていただいて、次のステップで本格的な山のステージとかで観てもらえると、ファンとしてのステップも踏んでもらえるんじゃないかなと思います。
今回は芝生を剥がしてコースを造っているので、サッカーチームだったりラリー関係以外のところにも迷惑をかけてしまったこともあると思いますが、その中でもこういったステージができるっていうのは、本当に大きな意味があるんです。走ってもすごく楽しめそうでしたし、僕としてはこれが3回走れるのですごい楽しみですね」
日本特有の路面コンディションに加え雨の予報もあるデイ2、素早くアジャストして上位でのフィニッシュと、翌日のデイ3以降につなげて欲しい。そして豊田スタジアムのファンの前で、この魅力的なコースに負けない素晴らしい走りで魅せてくれることを期待したい!
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