ラリージャパンをミライの給電で支える

レースは燃料を大量に使い二酸化炭素を多く排出するためエコとは縁遠いと思われているが、昨今はエコな様々な活動や試みがなされており、ラリージャパン2023では合成燃料（e-fuel）を利用したり、全ての電力を100％クリーンエネルギーで賄うなど、環境に配慮する取り組みが行われており、FIA（国際自動車連盟）環境認証プログラムの最高ランクとなる3つ星を獲得している。またカーボンニュートラルへの取り組みとして、一部SSの競技運営や観戦エリアで、「TOYOTA MIRAI CLUB」のオーナーさんが保有するミライで、出店、カメラ、ネットワーク、音響やタイムコントロールなどの機器の電力を賄った。

今回、岡崎SSSのスタート地点を青いミライで給電していた、豊田市に在住の新型ミライのオーナーさんにお話を伺った。


ーーミライを購入する経緯を教えてください
以前は自分が好きなクルマに乗っていたんですけど、クルマを保有しなくても生活に不自由しないのでクルマを保有していませんでした。でも普段使いや通勤用にクルマを買おうと思ったんですよ。最初は新型プリウスがいいなと思っていたんですけど、新型ミライがクルマとしてとても優れているという話を聞き、ミライに興味を持ちました。私の生活圏内に水素ステーションがあるので、水素の充填については心配なかったので、妻にミライの購入を相談したら、「いいと思うよ」と、言ってもらえたんです。
さっそくクルマ探しをしたのですが、新車だと700万円以上するミライが、中古車だとかなりお買い得な価格になっているんですね。しかもミライには私の大好きなブルーもボディー色として設定されているんです。クラウンにもFCEVはあるのですが、ブルーはありません。

ーーご自宅の近くに水素ステーションがあるのはわかりましたが、遠出はしますか？
東は関東、西は大阪ぐらいまでは行きましたが、もっと遠くまで行ってみたいですね。東京や神奈川であれば、水素ステーションは意外に多くあるので充填について心配しなくていいんです。ですから、そのような場所に行く時は、事前に水素ステーションの場所や時間などを調べる必要はないのですが、水素ステーションが不安な地域に行く場合は、充填直前に慌てるのは嫌なので、事前に電話して空いている時間などを確認するようにしたいですね。

ーーTOYOTA MIRAI CLUBというオーナークラブに所属しているんですよね
私はミライ購入前にこのクラブの存在を知りませんでしたが、購入後たまたまネットで見つけたんです。参加者はアメリカやドイツなどの人も参加していて、700人ぐらいが加盟しており、参加者は水素関連のプラント、水素ステーションを運営したり働いている方など、自分がイメージしていた愛車オーナー会とは違う感じがしました。実際参加しみると、カスタマイズやパーツなどの話題もないことはないんですが、特に多いのは水素ステーションについての話題なんです。例えば、開設や閉鎖、臨時休業の話などのシェアです。そのオーナーミーティングで、GAZOO.comにコラムを執筆している、寺田昌弘にお会いしたんです。

ーーとなると、今回給電ボランティアに参加しようとしたきっかけは寺田さんですか？
はい、そうとも言えます。最初はオフィシャルのボランティアと聞いて、自分でなくてもできるなと思い、お断りをしようと思っていたんですが、ミライが必要なボランティアということで興味が湧いてきたんです。事務局さんによると、ミライでSSやギャラリーステージに給電することは、昨年もやりたかったそうですが、申請の都合で実現できなかったということで、今年こそ実現させたい思いを感じ取りました。
周りのミライのオーナーさんも、是非やりたいと手をあげる人が多かったそうです。私が思うに、水蒸気（水）しか排出しないミライのオーナーだから、なにか役に立ちたいという気持ちがあるんだと思います。ちなもに、多くの方に知られていないと思うのでお伝えしておきますが、あと全国共通かもわかりませんが、PHEVやFCEVの補助金は、災害時などに可能な限り支援することを同意して補助金を頂いているんですよ。

ーー岡崎SSSでの給電ボランティアは実際どうですか
担当するSSはどこでもよかったんです。事務局に岡崎SSSを割り振られ現場に来てみると、多くのお客様がいる中で活動ができて、最高の場所で担当できたと思っています。お仕事である給電は、100V 1500Wでおさまる範囲で給電していますが、DC外部給電を利用すると最大DC9kWの大電力が給電可能なんです。この取り組みが始めてなので、ムリはしないことになっているようです。寺田さんは、コンサートで給電をしている体験から、もっといけると言われていましたよ。

ーーミライの実力はこんなもんではないぞということですね、ミライのオーナーさんは、給電ボランティアを体験すると得るものが多そうですね？
はい、そう思います。給電の使い方を知るためにはベストですし、やってみないとどのくらい水素を使うのかわからないんですよ。震災の時にぶっつけ本番で行うのは怖いですからね。訓練という意味でもチャレンジするのは意味があると思います。


数年前と比べると、水素エネルギーを利用する取り組みは増えてきているし、水素ステーションを増やそうという取り組みも進んでいるが、多くの人は燃料電池車を購入するには、近くに水素ステーションがあるとしても、英断は必要だと感じる。一方、多くのクルマ好きが大好きな旧車も、マニアでない限り、部品やメンテナンスに費やすお金や時間を考えると英断は必要。そんな英断ができて、皆と違うエコカーに乗りたい方は、BEVではなくて燃料電池車のほうが満足できるカーライフを過ごすことができるのかもしれないと思った。ちなみに、新型ミライはレクサスLSと共通のプラットフォーム（GA-L）のため、走りは高級車そのものだそうだ。