【スバル レヴォーグレイバック 新型試乗】スバルらしさ全開!アウトバックより“55mm幅狭”が強みになるか…九島辰也
「スバル『レヴォーグ』に新しい仲間が加わった」。プレゼンテーションを聞いているとまさにそんな感じだ。新型車ではなくグレードの追加といった印象である。というのも、コンセプトは都会的なレヴォーグを少しだけ背を高くしてアウトドア感を出すといった内容だからだ。
確かにエクステリアでは前後バンパー、前後フェンダー、サイドスカートを変更したくらい。専用ホイールとドアミラーの形状も変わるが、そこはコンセプトと大きく連動してはいないだろう。例えるならメルセデス『Cクラスステーションワゴン』と同『オールテレイン』といった関係だ。
とはいえ、確実にニーズはある。レヴォーグのサイズにこだわるなら『アウトバック』は少々大きいからだ。レイバックの全幅1820mmはレヴォーグより25mm拡幅されるが、アウトバックよりは55mm幅狭になる。それと今日のアウトドアブーム。『ジムニー』や『RAV4』が牽引してきたトレンドはまだまだ続きそうだ。
◆走りはスバルらしさ全開!CVTもよりダイレクトに
なんて前置きはともかく、走らせた印象へ移ろう。試乗車のパワートレインは1.8リットル水平対向直噴ターボ+リニアトロニックで駆動方式はAWDとなる。派生モデル(グレード?)なのでこれのみ。ワングレードでスタートする。
そして走らせるとスバルらしさ全開。パワーは“あり過ぎもせず無さ過ぎもせず”状態。よって常用域+αまで軽いアクセル操作で十分活用できる。「ここでもう少し加速が欲しい」と思ってアクセルを踏み込むとグイッとトルクが出る感じがいい。これまではCVTがそこでワンテンポ遅れていたが、その間隔が短くなった気がした。もしかしたらセンサー類の精度が高まったのかもしれない。
また、最低地上高200mmといってもワインディングでふらつくことはない。ロールセンターが低く設定され、タイトコーナーでもキャビンはフラットに保たれる。ちなみに、「なぜ200mm?」という質問には数値的な根拠は無いようだ。200mmあればちょっとした段差も走破できるという考えらしい。
◆全速度域で国産車トップレベルの乗り心地
驚いたのはオールシーズンタイヤを履いていること。これは『クロストレック』と同じでFALKEN一択となる。それでこの気持ちのいい安定したコーナリングができるのだからよほどマッチングがいいのだろう。お見事。
とはいえ、ゴリゴリのパフォーマンスタイヤではなくとももう少しスタビリティの高いサマータイヤという選択肢があってもいい気がしなくもない。よりハンドリングは楽しくなりそうだ。まぁ、コストまで鑑みればこれがベストチョイスなのは想像できるが。そもそもアウトドアテイストを高めるのが目的なので、そこを追い求める必要はないし。ただ、このくらいワインディングが楽しいといろいろ考えてしまう。
乗り心地は全速度域でグッド。18インチでこれだけ当たりの柔らかい乗り味を提供できれば多くの人が満足してくれるはず。例えるならレヴォーグSTIの“コンフォート”に近い気持ちの良さがある。ダンパーの減衰圧を見直し、バネレートを柔らかくしたというが、このセッティングは高レベル。国産車の中でもトップレベルと言いたい。
といったのがレイバックとのファーストコンタクト。クローズドのワインディングを制限速度を設けて走っただけなので条件は限られるが、この範疇でかなりいい出来であることは体験した。「次回はロングドライブでテストしてみたい」なんて気にさせる仕上がりである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
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