もっと走りたくなる高速道路の豆知識-後編-
前編では、3つの豆知識をご紹介しましたが、まだまだ高速道路には、地域独自のものや時代の流れによるものまで、おもしろい豆知識が沢山あります。
今回も、高速道路にまつわる豆知識を3つご紹介していきます。
札幌JCTは“途中地点なのに起点”
全国の高速道路で共通して存在するのが、「キロポスト」と「インター番号」です。
「キロポスト」は起点からの距離を表したもので、中央分離帯か路肩に100m間隔で設置されています。路線の全長やインターとインターの距離感覚を調べるのに活用できます。
「インター番号」は、各インターチェンジやジャンクションにつけられている数字で、起点のインターチェンジやジャンクションを1番とし、次が2番、その次が3番と数字が続いていきます。
北海道の高速道路には、このキロポストとインター番号に特徴があります。
まずは北海道のキロポストの特徴から
北海道にある道央自動車道(以下:道央道)では、「札幌JCT」は途中地点なのにもかかわらず、“起点”になっているのです。
通常なら起点⇒終点へキロポストが延びていきますが、道央道では札幌JCTを基準に南北へキロポストが延びていきます。
つまり、札幌JCTから南北方向に離れるにつれて、キロポストの数字は大きくなり、基準の札幌JCTで一旦リセットされ、また1から数字が大きくなっていくということです。
インター番号の数字と頭文字について
インター番号も、かつては札幌JCTを基準に南北に数字が大きくなる方式でしたが、2018年に北の函館方面を1番として、北側に向かって数字が大きくなる方式に変更になりました。
さらに、北海道の高速道路ではキロポストの頭にアルファベット1文字が表記されています。これは、札幌JCTからのおよその方角を表すもので、道央道は札幌JCTより北側が「N」、南側が「S」、小樽方面へ向かう札樽自動車道は「W」、帯広・釧路方面へ向かう道東自動車道は「E」が頭文字としてつけられています。
仕事や旅行で北海道へ行かれた際には、ぜひ高速道路を走行し、キロポストやインター番号などにも注目しながら楽しまれてみてください。
日本初のサービスエリアから無くなったもの
日本で初めて誕生したサービスエリアが、名神高速道路(以下:名神)の「大津SA」(滋賀県大津市)です。
1963年7月に運用開始され、来年で誕生から60周年を迎える歴史あるサービスエリアです。それと同時に、敷地内にフル規格のインターチェンジである「大津IC」も設置されているという、全国的にも珍しいサービスエリアなのです。
運用当初は、駐車場とトイレのみという必要最低限のものが設置された施設でした。その後、名神の交通量・大津SAの利用者の増加などにより、特に、2000年代に上下線で複数回リニューアル工事が行われ、全国的にも充実度の高いサービスエリアとなりました。
しかも、大津SAからは日本一大きな湖である「琵琶湖」や、大津市と京都府京都市にまたがる「比叡山」を眺めることができ、絶景スポットとしても人気です。
下り線のSAには3階に琵琶湖と比叡山、大津の街並をみわたせるデッキフロアが設置され、上り線には、2013年3月に恋人の聖地となるモニュメントが設置されました。
そんな施設も景色も楽しめる大津SAですが、通常のサービスエリアであれば設置されているはずの、車にとって大事なあの施設がないのです。
それはガソリンスタンドです。
かつては設置されていたのですが、上下線ともに2008年2月、名古屋方面に9㎞ほど進んだ場所にある「草津PA」へ移転されました。
移転した経緯には、大津SAと草津PAの所在地が関係しています。
この地域では2000年以降に京滋バイパスや新名神高速道路(以下:新名神)などが開通しました。名神・新名神〜京滋バイパス間を走行するルートだと、大津SAを経由しませんが、草津PAはちょうど名神と新名神の分岐点となっており、上記ルートでも経由できるのです。
そのため、より多くの方が経由する「草津PA」にガソリンスタンドが移転したというわけです。「大津SA」は、みなさんに一度は立ち寄っていただきたいサービスエリアですが、給油を目的にどこかのサービスエリアへ立ち寄りたい場合は、上下線ともにガソリンスタンドがないため、注意が必要です。
中国道の立場
西日本の中心地、大阪より西側から九州の入口までの大部分をしめる中国地方に、山陽地方(中国山地南側)と山陰地方(中国山地北側)のほぼ中間点を縦貫するルート、『中国自動車道』(以下:中国道)が誕生しました。
当初は、関西圏〜中国地方〜九州地方の移動ができる高速道路が中国道だけだったこともあり、それなりに交通量はありました。しかし、中国地方で人口が多い山陽側の岡山県岡山市や広島県広島市などの主要都市から、かなり離れていることもあり、正直不便さがありました。
そんな中、中国地方の山陽側に、新しい縦貫自動車道である『山陽自動車道』(以下:山陽道)が建設され、1990年代に徐々に開通区間を延ばし、1997年に山陽道が全線開通します。
山陽道は、沿道都市の人口の多さや走行しやすい道路形状をしていることから、これまで中国道を利用していた人が、山陽道を利用するというケースが多くなりました。
これにより、中国地方の主要路線は古参の中国道ではなく、後から開通した山陽道が担う形になったのです。それを証明するかのように、2017年に日本の各高速道路に割り当てられた“高速道路ナンバリング”では、山陽道が「E2」、中国道が「E2A」と“中国道は山陽道と並走する高速道路”という位置づけとなっています。
とはいえ、中国道ならではの中国山地ののどかな風景を楽しみながらのドライブや、沿道都市には素敵な観光地がいっぱいあるため、魅力ある路線です。
また山陽道は比較的走りやすい分、渋滞も発生しやすく、渋滞迂回のために中国道を使われる方も多いのです。みなさんもぜひ中国道を走行してみていただければと思います。
高速道路はまだまだ知らないことでいっぱい!
渋滞、SA/PAの充実度、道路形状、周辺景色など、高速道路をとりまく要素は沢山ありますが、すべて含めて高速道路の魅力といえるのではないでしょうか。
全国の高速道路には、まだまだおもしろい特徴や豆知識がたくさんありますので、ぜひまたみなさんにご紹介したいと思います。みなさんも安全運転に気を付けながら、新たな発見をしてみてください。
(写真:AC・のっぴー/テキスト:のっぴー/編集:GAZOO編集部)
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