【連載全14話】第4話 スバル360・・・2サイクルエンジンのクルマ特集

現在のクルマのパワーユニットは実にさまざま。一方で絶滅危惧種となっている2サイクルエンジンのクルマを今回はピックアップ。日本やドイツで親しまれた小排気量車を中心に、週替わりで紹介します。

スバル360

1958年に誕生した、スバル初の市販四輪車となる軽乗用車。1955年に通商産業省(現・経済産業省)が提唱した「国民車構想」にも通じる、大人4人を乗せて実用に耐え得る小型車というコンセプトを、全長3m、全幅1.3m、排気量360ccという当時の軽規格のなかで実現。好評を博して軽乗用車市場を確立した。

前身が航空機メーカーだった経験を生かした、軽量ながら剛性の高い卵形のモノコックボディーのリアに、最高出力16PSを発生する空冷2ストローク並列2気筒356ccエンジンを搭載。3段MTを介して、車重385kgという車体を最高速度83km/hまで引っ張った。全体的なレイアウトには欧州製小型車の影響が感じられるが、スペース効率の高さと動力性能はそれらと比べて遜色ない。また「スバルクッション」の異名をとったトーションバーによる4輪独立懸架がもたらすソフトな乗り心地は、他に類のないものだった。

スバルの処女作にして、近代的な国産乗用車の第1期生でありながら、オリジナリティーと完成度の高さでは国際水準を超えていた部分もあったスバル360。その姿から「てんとう虫」の愛称で親しまれ、改良を重ねながら12年にわたってつくり続けられるロングセラーとなり、モータリゼーションの推進に貢献した。

[GAZOO編集部]

【連載全14話】2サイクルエンジンのクルマ

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