【連載全14話】第7話 DKW F102・・・2サイクルエンジンのクルマ特集

現在のクルマのパワーユニットは実にさまざま。一方で絶滅危惧種となっている2サイクルエンジンのクルマを今回はピックアップ。日本やドイツで親しまれた小排気量車を中心に、週替わりで紹介します。

DKW F102

戦前から2ストロークエンジン搭載の小型FF車を製造していた、現在のアウディのルーツのひとつであるDKW。このシリーズの第1話でも同社のゾンダークラッセを紹介したが、戦後は東ドイツのトラバントやウォルトブルク、サーブやわが国のスズキなどのクルマづくりに影響を与えた。その、いわば本家であるDKWの最後の2ストロークエンジン搭載車が、1963年にデビューしたF102である。

フロントグリルに血筋を示す“フォーリングス”をあしらった2ドア/4ドアセダンボディーは、日本では三菱ランサーEXを手がけたことでも知られるイタリアのフィッソーレがデザイン。全長×全幅×全高=4280×1618×1459mmというボディーサイズは、日本車で言うならば、当時のコロナやスカイラインなどの1.5リッター級より大きかった。前車軸より前方に縦置きされる伝統の水冷2ストローク直列3気筒エンジンは、同社史上最大の1175cc。最高出力60PSを発生し、4段MTを介して車重860kgのボディーを135km/hまで引っ張るといわれた。

だが、2ストロークエンジンではこれ以上の性能向上は難しく、同時に排出ガスなど環境面でも不利なことから、1965年には基本的に同じシャシー/ボディーに4ストロークの1.7リッター水冷直4 OHVエンジンを積んだモデル(コードナンバーF103)をアウトウニオン・アウディの名で発売。翌1966年に生産台数が5万3000台を超えたところでF102は生産終了。これをもって、2ストロークエンジンとともに歩んだDKWの名も消えた。

[GAZOO編集部]

【連載全14話】2サイクルエンジンのクルマ

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