【連載全14話】第11話ダイハツ・フェロー・・・2サイクルエンジンのクルマ特集

現在のクルマのパワーユニットは実にさまざま。一方で絶滅危惧種となっている2サイクルエンジンのクルマを今回はピックアップ。日本やドイツで親しまれた小排気量車を中心に、週替わりで紹介します。

ダイハツ・フェロー

軽三輪トラックのミゼットや軽四輪トラックのハイゼットなどにより、軽商用車市場では実績十分だったダイハツが、1966年に遅ればせながら初めてリリースした軽乗用車がフェローである。日本車では初採用となる角形ヘッドライトを備え、“プリズムカット”と称したボクシーな2ドアボディーは、ごく短いながらもノッチのある3ボックススタイルで、軽には珍しく独立したトランクルームを備えていた。

機構的にはオーソドックスで、駆動方式はFR。エンジンはハイゼット用を水冷化した2ストローク2気筒356ccで、当時の軽では最強となる最高出力23PSを発生した。とはいえ性能よりも落ち着いたスタイルや水冷ゆえのヒーターの利きのよさなどがセリングポイントで、翌1967年に高性能をうたったホンダN360やスズキ・フロンテ360などの新世代モデルが登場すると、急激に存在感が薄れてしまった。

1968年にはそれらに対抗して、内外装をスポーティーに仕立てたうえで、ホンダN360を1PS上回り再び軽最強となる32PSにまでエンジンをチューンした、軽初の“SS”グレードを追加。しかし、間もなく新世代の逆襲に遭ってしまった。その経験を踏まえ、1970年に“MAX”のサブネームを加えて登場した2代目は2ボックススタイルとなり、駆動方式もFFに転換。キャラクターも軽市場のメインターゲットとなっていた若年層向けにチェンジしたのだった。

[GAZOO編集部]

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