【連載全20話】第14話 日産バイオレット ハードトップ・・・懐かしい日本の2ドアハードトップ

昔に比べて少なくなった、国産の2ドアクーペ。なかでも過去の車型となってしまった“ピラーレスの2ドアハードトップ”を、週替わりで紹介します。

日産バイオレット ハードトップ

この連載の第9話で紹介した、1971年8月登場のブルーバードU(610)は、従来よりやや上級移行したため、先代510のセダンの一部が継続生産された。その510も1972年8月に生産終了し、空白となっていたポジションを埋めるべく1973年1月にデビューした新車種がバイオレット(710)。サニーとブルーバードUの中間に位置し、トヨタ・カリーナなどに対抗するモデルだった。

スクエアなノッチバックだった510とは打って変わって、当時の日産車のトレンドだった曲線基調のいささかアクの強いセミファストバックのボディーは、2ドア/4ドアセダンとかつての510の2ドアクーペに代わる2ドアハードトップ。構造的には510とほぼ同じだが、リアサスペンションは、自慢のセミトレーリングアーム/コイルの独立懸架が高性能なSSS系のみとなり、ほかは半楕円(だえん)リーフの固定軸となった。パワーユニットも510から受け継いだ1.4リッター/1.6リッター直4 SOHCだが、トップグレードの1600SSS-Eには610にも使われている最高出力115PS(グロス)を発生するEGI(電子制御燃料噴射)仕様が搭載された。

1974年9月にマイナーチェンジを実施、その後ハードトップに関しては排ガス規制適合など公害対策を主とした小変更を数度にわたって受け、1977年5月に2代目(A10)にフルモデルチェンジ。ハードトップは消滅し、代わりにオープンバックと称するテールゲートを備えたサッシュレスドアの3ドアクーペが登場した。一代限りで終わったバイオレットのハードトップは、日産車では最小の2ドアハードトップだった。

[GAZOO編集部]

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