【連載全12話】第2話 リライアント・シミターGTE…スタイリッシュな3ドアのシューティングブレーク/スポーツワゴン
流麗なスタイルでありながら、趣味を楽しむための実用性も兼ね備えるシューティングブレークとスポーツワゴン。今回は、なかでも個性派として知られる3ドアモデルをピックアップし、週替わりで紹介します。
リライアント・シミターGTE
英国のコメディー番組『Mr.ビーン』にしばしば登場し、ビーンの乗るMiniにいじめられる役回りの珍妙な三輪車。戦前からあの種の小型三輪車をつくっていた英国の小メーカーであるリライアントが、1964年に2作目の四輪車として送り出したモデルがシミターGT。ラダーフレームにFRP製の2+2クーペボディーを載せ、英国フォード製のパワートレインを積んでいた。
そのシミターGTのルーフを手直しし、ガラスハッチを持つワゴンにコンバートしたモデルが1968年に登場したGTE(Eはestateの意味)。全長4340mm×全幅1640mm×全高1320mmというサイズのボディーの中身はGTと同じで、パワートレインはフォード製2.5リッターまたは3リッターのV6 OHVエンジン+4段MT(後に3段ATも追加)だった。
1975年には室内が狭いという声に応え、ホイールベースおよび全長を約100mm、全幅を70mm拡大する大がかりな変更を受ける。1986年に生産終了となるが、製造権を買い取った会社によって1988年から1990年までに少数がつくられた。生産台数は約1万3000台だが、オーナーのリストに英国王室のアン王女の名もあったことが、シミターGTEのパブリシティーに大いに役立った。
前回紹介したアストンマーティンDB5シューティングブレークは、スポーツカーの性能と魅力的なスタイリング、そしてワゴンの実用性を併せ持った“スポーツワゴン”という新たなカテゴリーを提唱したモデルだった。だが、それがあまりに高価で特殊な存在だったのに対し、シミターGTEはそれを最初に実用化し、広めたモデルといえる。
[ガズー編集部]