【連載全13話】第3話 イソ・リヴォルタ フィディア・・・みんなで乗れる高性能車 スーパーセダン特集

いわゆるスポーツカーやスーパーカーとは異なる4ドアボディーを持ちながら、卓越した走りで知られたハイパフォーマンスモデル。今回は、そんな“スーパーセダン”を週替わりで紹介します。

イソ・リヴォルタ フィディア

冷蔵庫やヒーターのメーカーだったが、第2次大戦後に製造を始めたスクーターやバイク、そしてBMWでライセンス生産されたバブルカーのイセッタによって自動車メーカーとしての基盤を築いたイタリアのイソ。フェラーリ出身のジオット・ビッザリーニが設計したシャシーにベルトーネに在籍していたジウジアーロの手によるボディーをかぶせ、シボレー・コルベットのV8エンジンを搭載した2ドアクーペのリヴォルタによって、1962年に高級グランツーリスモ市場に進出した。

それから5年後の1967年にデビューしたイソ初の4ドアサルーンがリヴォルタ フィディア。リヴォルタのホイールベースを150mm延ばして2850mmとしたシャシーに、全長5m近いジウジアーロデザインのモダンなサルーンボディーを架装。パワーユニットはリヴォルタと同じコルベット用のV型8気筒OHV 5.4リッターで、チューンは最高出力300PSと同350PSの2種類。トランスミッションは5段MTだが、300PS版には3段ATも用意された。最高速度は350PS版で230km/hとうたわれ、マセラティ・クアトロポルテのライバルとして名乗りを上げた。

1970年にはエンジンが5.7リッターに拡大されたがパワーは不変。1973年にはヘッドライトが角型4灯から丸型4灯に変更され、エンジンはアメリカンV8ながらフォード製の5.8リッター(330PS)に換装されたが、同年に勃発(ぼっぱつ)した第1次石油危機に起因する販売不振によってイソは1975年に操業を停止した。リヴォルタ フィディアの生産台数は192台といわれ、オーナーのひとりがジョン・レノンだったことが知られている。

[GAZOO編集部]

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