【連載全13話】第4話 メルセデス・ベンツ300SEL 6.3・・・みんなで乗れる高性能車 スーパーセダン特集

いわゆるスポーツカーやスーパーカーとは異なる4ドアボディーを持ちながら、卓越した走りで知られたハイパフォーマンスモデル。今回は、そんな“スーパーセダン”を週替わりで紹介します。

メルセデス・ベンツ300SEL 6.3

後のSクラスに相当するフルサイズ・メルセデスの最上級モデルだった300SEL(W109型)のシャシー/ボディーに、別格的存在のフラッグシップだった600(W100型)用の6.3リッターV型8気筒SOHCエンジンを移植した“スーパーメルセデス”。1968年にデビューした。

ベースとなった300SELは全長5m、全幅1.8mという堂々たるボディーを持つ高級サルーンだったが、パワーユニットは2.8リッター直列6気筒SOHCという控えめなものだった。そのエンジンルームに滑り込ませた、オリジナルの2倍以上の排気量となる6.3リッターのV8ユニットは最高出力250PS、最大トルク51.0kgf・mを発生。4段ATを介して車重1780kgの車体を最高速度220km/hまで引っ張り、0-100km/h 加速はフェラーリやランボルギーニなどのスーパースポーツに匹敵する6.5秒という弩(ど)級のパフォーマンスを発揮。“ドラッグスター”の異名をとった。

足まわりは300SELと同様の車高自動調整機能付きエアサスペンションだが、ブレーキは全輪ベンチレーテッドディスク、リアアクスルにはLSDを標準装備とシャシーも強化され、操縦性もスポーツカー並みと評された。1972年までに6526台がつくられたが、標準の300SELとさほど変わらぬ姿に似合わずレースでも活躍した。1967年に設立され、今ではメルセデスのハイパフォーマンス部門となっているAMGが、1971年の欧州ツーリングカー選手権(ETC)に高度にチューンしたマシンを投入。第5戦スパ・フランコルシャン24時間で総合2位に入賞するなど激走する巨体は強いインパクトを与え、AMGの名を一躍高めたのだった。

[GAZOO編集部]

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