【連載全13話】第7話 モニカ560・・・みんなで乗れる高性能車 スーパーセダン特集

いわゆるスポーツカーやスーパーカーとは異なる4ドアボディーを持ちながら、卓越した走りで知られたハイパフォーマンスモデル。今回は、そんな“スーパーセダン”を週替わりで紹介します。

モニカ560

現存するフランスの鉄道車両メーカーの社長にしてエンジニアでもあったジャン・タステヴァンが、理想のクルマづくりを目指してプロジェクトをスタートさせたのは1960年代後半。かつてのファセル・ヴェガと同様、戦前のブガッティや、ドラージュ、ドライエのような存在となるべく生まれたフランス製の大型高級車がモニカである。

1973年のパリサロンで披露されたモデルは、セパレートのチューブラーフレームに前ダブルウイッシュボーン、後ろド・ディオンのサスペンションを備えたシャシーに全長5m近い4ドアサルーンボディーを架装。サルーンとしては異例のリトラクタブルライトを備えたスタイリングは著名なデザイナーの作ではないが、プロポーションは良好。レザー、モケット、ウッドなど高級な素材を使ったインテリアもうまくまとめられていた。

当初のパワーユニットはオリジナルの3.5リッターV型8気筒DOHCだったが、これが使いものにならず、すぐに当時多くの少量生産高級車に使われていた米国クライスラー製の5.6リッターV8 OHVに換装された。5段MTまたは3段ATを介しての最高速度は240km/hをうたい、マセラティ・クアトロポルテに代表されるエキゾチックな大型高性能サルーン市場に名乗りを上げた。しかし、デビューと前後して勃発(ぼっぱつ)した第1次石油危機の渦中にあって、ロールス・ロイス並みの高価格とあってはセールスは伸びず、わずか20台をつくったところで生産終了となった。

[GAZOO編集部]

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