【連載全13話】第11話 ランチア・テーマ8.32・・・みんなで乗れる高性能車 スーパーセダン特集

いわゆるスポーツカーやスーパーカーとは異なる4ドアボディーを持ちながら、卓越した走りで知られたハイパフォーマンスモデル。今回は、そんな“スーパーセダン”を週替わりで紹介します。

ランチア・テーマ8.32

フィアット、アルファ・ロメオ、サーブとランチアの4ブランドの共同開発であるティーポ4プロジェクトから生まれ、1984年に登場したランチアのフラッグシップサルーンがテーマ。1986年に追加された8.32は、グレード名が表すV型8気筒32バルブユニットを積んだ高級ハイパフォーマンスサルーンである。

頂部に控えめに刻まれた“LANCIA by Ferrari”という文字のとおり、そのエンジンはフェラーリ308GTB/GTSクワトロバルボーレ用の3リッターV8 DOHC 32バルブがベース。スーパースポーツからサルーンに換装するにあたって、クランクシャフトは高出力に適した180度のフラットプレーンから、振動や騒音で有利な一般的な90度のクロスプレーンに変更。吸排気系やカムプロファイルにも手が入れられ、最高出力は308の240PSから215PSまでデチューンされた。それでも5段MTを介してのパフォーマンスは最高速度240km/h、0-100km/h加速7.2秒をうたい、FFサルーンとしては世界最速だった。

専用アルミホイールなどを除けば普通のテーマとあまり変わらないエクステリア、上質なレザーやウッドパネルを使ったインテリアの醸し出す雰囲気は、ランチアの名にふさわしいエレガントな高級サルーンそのもの。だが、いざとなればトランクリッドからリアスポイラーが電動で出現するところなど、ジキルとハイド的な独特の魅力を備えたモデルだった。

[GAZOO編集部]

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