目指したのは大人のパーソナルクーペ 初代 ホンダ・プレリュード・・・懐かしの名車をプレイバック
ホンダ初のスペシャルティーカーとして1978年にデビューした「プレリュード」。大人な雰囲気を漂わせるロングノーズ・ショートデッキのフォルムと、日本車初を掲げた技術や装備の採用からは、ニューモデルにかけるホンダの意気込みが伝わってきた。
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クーペが憧れだった時代
1978年に“スポーティータイプの2ドアフィックストクーペ”として誕生したホンダ・プレリュード。2001年に生産が終了されるまでに、計5世代のモデルが世に送り出された。
1982年に登場した2代目が大ヒットを飛ばし、それを受けて世代交代を行った3代目のスタイリングが明確にキープコンセプト戦略をとった一例を除けば、フルモデルチェンジが行われるたびに先代の面影を残さないほど、そのルックスを大きく変更。変わり身の早い、いかにもホンダらしい進化の歴史もプレリュードを語るうえで欠かせないエピソードである。
こうしたスタイリングの振れ幅は大きかったなかで、初代から一貫して変わることがなかったのは、独立したトランクルームを備える2ドアクーペというボディー形状だ。
それは、SUV全盛で世界を見回してもクーペなど数えるほどという現在の状況からは、まさに隔世の感を抱かされる。1970年代から1980年代の当時は、日本発のモデルだけに限ってもクーペの種類は十指には収まりきらないほどで、モデル選びに迷う目移り必至の人気カテゴリーだった。かつて“4ドアセダン派”であったのになぜか年齢が上がるにつれて“クーペ派”になってしまった自分などにとっては、何ともうらやましい時代であったことになる。
シックな大人のクーペ
そんな歴史のなかから、ここでは記念すべき初代モデルにスポットライトを当てる。後に“デートカー”という新語を生み出し、バブル景気時代を背景とした日本の自動車史において忘れることのできない存在へと成長したプレリュードの端緒である。
振り返ると初代プレリュードには、後の歴代モデルがいかにも若い人に好まれそうな流麗でスタイリッシュなルックスを特徴としていたのに対して、クーペでありながらもどこか落ち着いた、ある種の“重厚さ”すら感じられるたたずまいや独特な世界観が魅力であった。
日本では一般的にクーペというと、スポーツカーとも一部のキャラクターがオーバーラップするような、どちらかというとホットでダイナミックなイメージが強い存在である。しかし、初代プレリュードの立ち位置はそんな既存のモデルとは一線を画した、むしろ派手さや活発な雰囲気を抑えめにした、言い換えれば子供っぽさを排除した「シックな大人のクーペ」と紹介したくなるものであった。
鮮明に思い出せる静かな走り
とはいえ、そうした見た目の雰囲気は2代目以降に大きく趣を変えることになったのだから、社内的にもそれは必ずしも「成功」とは評価されなかったのだろう。それでも今振り返ると「初代プレリュードに類似したデザインは、その後も1台も現れなかった」とちゅうちょなく紹介できるのだから、それもまたオリジナリティーに富んだホンダらしい作品だったことの裏づけではないだろうか。
そんな初代プレリュードを運よく借り出して、ドライブをした経験がある。
実は、当時はまだ学生の身分で当然他車の運転経験にも乏しく……というか、印象を比較することができたのは、自身が普段乗りをしていたFRレイアウトの最終型「トヨタ・スターレット(KP61)」くらいであった。
そんな乏しい経験値のなかでドライブした際の第一印象として鮮明に記憶されるのは、「なんて静かなクルマなんだろう」ということだった。
日本車初の装備や技術で差異化
初代プレリュードは、インテリアも個性的だった。アナログ式の大径スピードメーターの内周に同軸でタコメーターをレイアウトしたユニークな「集中ターゲットメーター」や、ロータリー式AM/FMマルチラジオといった装備類、日本で初めて電動式サンルーフが標準装備(「E」グレードを除く)されたというトピックも印象に残っている。
加えて(当時としては)上質なインテリアのつくりもあって、「いつか自分にも、こんな大人のクルマが似合うときがくるのかな……」と感じたことも覚えている。
気づけばあと数年で、そんな初代プレリュードが世に生まれてから半世紀になろうというタイミングである。今の時代に、激減してしまった2ドアパーソナルクーペに代表されるような夢や憧れを抱ける存在が、再び支持されることなど果たして考えられるのだろうか。長い時を経てクルマを取り巻く環境が大きく変わってしまったことを、痛感するのである。
(文=河村康彦)
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