“デートカー”として人気を博した「ホンダ・プレリュード」を解説・・・懐かしの名車をプレイバック
一世を風靡(ふうび)したあのクルマ、日本車の歴史を切り開いていったあのエポックメイキングなクルマを令和のいま振り返ってみれば、そこには懐かしさだけではない何か新しい発見があるかもしれない。バブル期に“デートカー”なる言葉を生み出したとされるパーソナルクーペ「ホンダ・プレリュード」の歴代モデルを紹介する。
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初代 ホンダ・プレリュード(1978年~1982年)
1978年に登場したスペシャルティーカー「プレリュード」は、「シビック」「アコード」に続く第3のモデルであると同時に、同年にスタートしたホンダの新販売店チャンネル「ベルノ」の専売モデルであった。発表にあたってホンダは「プレリュードは、前席を重視した4人乗りの室内、国産車で初めての電動式サンルーフを標準装備(「Eタイプ」除く)、見やすく配慮した世界でもまれな、集中ターゲットメーターなど、数多くの新しい技術を採用。パーソナルライフを楽しむための2ドアフィックストクーペである。」と紹介した。ボディーはロングノーズ・ショートデッキの3ボックスで、このスタイルは最終型となった5代目モデルにまで受け継がれた。デビュー時に搭載されたエンジンは1.8リッター直4のCVCC(複合渦流調整燃焼方式)で、最高出力90PS(ホンダマチック車は85PS)を発生。全車FFで、ストラット方式の4輪独立懸架サスペンションとワイドトレッド、前後輪のスタビライザー、軽い踏力で安定して作動するブレーキなどを採用したシャシーによる爽快な走行がうたわれていた。
2代目 ホンダ・プレリュード(1982年~1987年)
2代目「ホンダ・プレリュード」は、“ホンダ独自の新技術を数多く導入したFFスペシャルティーカー”として1982年11月に発表された。低ボンネットやリトラクタブルヘッドライト、なめらかなボディー形状などで優れた空力特性を実現したというエクステリアデザインは斬新のひとことだった。インテリアは、低位置にレイアウトされたインストゥルメントパネルやホールド性を考慮したフルバケットシートで独自の世界観を構築。小径で太いグリップのステアリングホイールや、カラーフィルター式液晶デジタルメーター(「XX」グレードに4万円の有償オプションとして設定)などでスポーティーなイメージが強調されている。エンジンは1.8リッターの直4 SOHC 12バルブ。サイドドラフト可変ベンチュリー型キャブレターを2連装し、最高出力125PS、最大トルク153N・mを発生する(グロス値)。ダブルウイッシュボーン式のフロントサスペンションやホンダの独自開発による日本初の4輪アンチロックブレーキ、ホンダマチックと呼ばれる高効率をうたうロックアップ機構付き4段ATなど、新技術の惜しみない投入も話題となった。
3代目 ホンダ・プレリュード(1987年~1991年)
3代目となる「ホンダ・プレリュード」は1987年4月に発売された。「人とクルマのよりよい一体感を創り上げる」というコンセプトのもとに、ホンダの先進テクノロジーを結集して開発。優れた基本性能をベースに、「ドライバーの意志により素直に応える高次元の感覚性能の実現をめざした」という。プレリュードを象徴するロー&ワイドフォルムは、低く抑えた1295mmの全高はそのままに、全長を4460mm(従来車比+85mm)、全幅を1695mm(同5mm)に拡大した超偏平エアロスタイルに進化。エンジンの徹底したコンパクト化と後傾レイアウトの採用により、FF車とは思えない超低ボンネット(ボンネット中央部で従来車比30mm低下)を実現している。大型センターコンソール付きのラップラウンド形状インストゥルメントパネルや、機能的なメーターレイアウトを採用するなど、コックピット全体がスポーティーなイメージでトータルデザインされた。エンジンは最高出力145PS(ネット値)を発生する2リッター直4 DOHC 16バルブと、同110PS(同)の2リッター直4 SOHC 12バルブをラインナップ。サスペンションは4輪ダブルウイッシュボーン式で、4WSシステムは世界初の舵角反応式に進化している。
4代目 ホンダ・プレリュード(1991年~1996年)
1991年9月に登場した4代目「プレリュード」。ホンダはスペシャルティーカーとは何かを原点から考え、よりワイド&ショートで個性的な3ナンバーサイズ専用のスタイリングと、前席優先と割り切った2シーター感覚のインテリアを採用。ドライバーの意のままに応える鮮やかな走りが追求されたほか、運転席&助手席SRSエアバッグシステム、TCS、ABS、LSDといった安全装備を盛り込むことでこれからの時代をリードするクルマを目指したという。特に、個性的なツインリフレクターヘッドランプや大型で三角形状のテールランプ、強く絞り込んだリアビュー、新発想のバイザーレスグラフィックメーターパネルなどは従来型と一線を画す、新しいプレリュードのアイデンティティーとなった。エンジンは新開発の2.2リッター直4で、最高出力200PSを誇るVTECと160PSのDOHC 16バルブの2タイプが設定された。新設計の4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションや、ハンドリング性能の向上と自然なフィーリングを両立させるという操舵角速度制御機構が組み込まれたハイパー4WSなど、メカニズム面の進化も注目された。
5代目 ホンダ・プレリュード(1996年~2001年)
5代目「プレリュード」は、1996年11月に発表された。開発のテーマは「洗練された大人の感性をも魅了するクーペ」。マニュアルシフト感覚の操作が行える新オートマチックトランスミッション「Sマチック(シーケンシャルスポーツシフト)」や、剛性感あるブレーキフィーリングと旋回制動性能を向上させる新ABS、クラストップレベルの冷却性能を実現する高熱線吸収UVカットガラス&新型エアコンディショナーなど、当時最新の技術や装備が盛り込まれた。光源を高い位置に置き、広く遠くまで光を到達させる大光量フリーフォームリフレクターヘッドライトが組み込まれた個性的なフロントマスクや、ボディーやピラーデザイン、着座位置等の見直しにより2ドアクーペとして十分な居住空間が確保されたパッケージデザインが特徴だ。トップモデルの「タイプS」には、専用チューニングが施された最高出力220PS/7200rpm、最大トルク221N・m/6500rpmを発生する2.2リッター直4 DOHC VTECエンジンを搭載。1リッターあたり100PSを超える高出力ユニットとして注目を集めた。
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