【NISMO FESTIVAL 2018】来年は購入25周年を記念したレストアも予定中!あと25年乗り続けることを目指すNISMO270R
『ニスモフェスティバル2018』のニスモカーパレードラン参加車エリアでは、同型車がズラリと並ぶ列があるいっぽうで、少数派のモデルも存在した。なかでも、モデル別では唯一の参加車となっていたのが、松田さんが乗る1994年式『NISMO270R』だ。
その生産台数は30台と、もともとの数が少なく、発売から24年が経過している現在では、街中はもちろんニスモフェスティバルでも希少な存在となっている。
S14シルビアは、2.0LのSR20DETエンジンを搭載し、標準車にも220psターボグレードがラインナップされたため、当時の若者の間ではスポーツカーのエントリーマシンとして人気を集めたモデルだ。
『NISMO270R』は、そんなシルビアを専用エアロパーツでカスタマイズし、NISMO専用チューンを施したSR20DETを搭載。最高出力は車名にも表す通り270psまで引き上げ、それに合わせてサスペンションや各部のチューニングが施されたコンプリートマシンとして仕立てている。ニスモ設立15周年を記念したモデルとして抽選で30台のみが市販されたため、現存数はかなり限られているだろう。
ちなみに当時の車体価格は450万円と、標準車とは比較にならないほどの高額。そのためオーナーの松田さんも、BNR32が買える金額でS14を購入したと周囲から変わり者扱いされていたという。
免許を取得してすぐには、もらい物のマツダ・カペラで峠ドライブを楽しんでいたという松田さん。パワー不足に悩まされていたため前期型のS13シルビアに乗り換えるも、お兄さんに貸したところアクシデントで廃車になってしまい、すぐに後期型のS13に変更。その後、S14がリリースされたと同時に乗り換えたという。
そんなシルビア好きなだけに、標準車のS14でも十分に満足していたが、このNISMO270Rのリリース情報を知ったため「とりあえず」という軽い気持ちで応募してみたという。
「とにかく当選した時はまさか?と舞い上がっちゃいましたね。納車されても実感が薄かったです。でも、乗り始めて最初のニスモフェスティバルに招待してもらって、クリスタルルームに専用の部屋を用意してもらう高待遇を受けたんです。この時ばかりは本当にNISMO270Rを手に入れたんだな~って実感しましたね。その後10年くらいは招待を受けていたので、販売された30台のほとんどが集まってきていましたが、気がついたら1台減り、2台減りという状況で。僕も参加できるタイミングなら必ず参加しようと思っているものの、スケジュールが合わないこともありました」
価値あるコンプリートカーとはいっても、オーナーが変われば扱われ方も変わってくる。NISMO270Rであっても、通常のS14と同様、自分らしくカスタマイズを楽しむという考え方もあるだろう。また、事故や故障などで姿を消している車両もあるだろう。
その点ではワンオーナーで乗り続けられた松田さんのNISMO270Rは、オリジナルをキープする貴重な存在であることは間違いない。
ちなみに松田さんもGTウイングを装着していたことがある。しかしニスモのスタッフに「それは止めてほしい」とお願いされたことをきっかけに、フルオリジナルで乗ることを決意したという。ただし、消耗品でもあるダンパーは、もともとの装着品からニスモの街乗り用アイテムに変更している。リペアパーツがないものに関してはニスモ製品で賄っているというわけだ。
納車からしばらくして峠ドライブからは遠のいたものの、基本的にはコレクションではなく実用車として扱っていた1台。今では年間約1万km程度しか走行していないものの、通常使用で起こる各部の劣化は時間とともに増えていっている。
そこで、これからも長く乗り続けるために、納車25周年となる来年には、ボディの凹みやペイントを直し、ホイールもすべてリペアを行うなどのフルリフレッシュを考えているという。
四半世紀のあいだに溜まった疲れを一新し、また新たな気持ちでNISMO270Rと過ごす時間を楽しみたい。30台という限られた枠に当選してNISMO270Rを愛車として手に入れた松田さんだからこそできる、NISMO270Rとの新しい愛車ライフはまだまだ続く。
(テキスト:渡辺大輔 / 写真:平野 陽)
[ガズー編集部]
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