【TOYOTA GAZOO Racing FESTIVAL 2018 愛車紹介】免許取得から39年間乗り続ける元祖スプリンタートレノTE27
「若いころは毎週のように峠へ通っていましてね。最初は先輩の助手席でしたが、免許をとって選んだのが当時、峠で最速だったTE27トレノでした。73年式のワンオーナー車を79年に110万円で購入しましたが、本当はオレンジのレビンが欲しかったのですよね……」と、取材を快諾して素敵な笑顔で購入の経緯を説明してくれたオーナー。現在62才で、仕事を退職して大好きなクルマを楽しむ日々を満喫中。最近はこのTE27トレノでのイベント参加がメインだが、気が向けば峠へ向かうこともあるのだそうだ。
若い世代のクルマ好きが“トレノ”と聞いてまず頭に浮かぶのは、おそらく頭文字Dの主人公が駆るAE86だろう。このTE27型スプリンタートレノはそのルーツとなる初代モデルだ。
もともとはカローラのクーペバージョンとして1968年に誕生したのがスプリンター(正式車名はカローラスプリンター)で、1970年のE20系から独立車種化。そのE20系スプリンタークーペのホットバージョンとして開発されたのがTE27型スプリンタートレノだった。
コンパクトなボディにセリカ用の1.6L直列4気筒DOHCエンジン2T-G型を搭載し、当時としては画期的なパワーウエイトレシオ7.43kg/psを実現。カタログ値では最高速190km/h、ゼロヨン加速16.3秒という快速を誇った。
また、前後フェンダーに装備されたオーバーフェンダーは、トヨタ市販車では初となる装備で、こちらも話題を呼んだポイントのひとつだ。
姉妹車のレビントレノとの相違点はエンブレムのほかフロントマスクとリヤコンビネーションランプで、トレノのほうが全長15mm長かった。
遠目に見ればノーマル風だが、実際は隅々にまでしっかりと手が入れられているというスタイルは、当時の走り屋の間でもっとも“シブい”とされていた。
このトレノは、走りのポテンシャルアップを追求してファインチューンを施している生粋の走り屋仕様といえるもの。
インテリアはまさに走りのためのデザインとなっていて、メーターパネルには大型のタコメーターと速度計、中央に水温/燃料計を配置。センターコンソールには油温、油圧、電圧の3連メーターを装備していた。
インテリアでの変更点は、運転席のホールド性が高いバケットシートと、やや小ぶりのモモギブリ3ステアリング程度となっている。
オーナーがもっともこだわっているのが足まわりだ。ストラット形式のフロントサスペンションは、TRDのレース用ダンパーにトヨシマ強化スプリングという組み合わせ。リーフリジッド方式のリヤは、ダンパーをカヤバSRスペシャルに変更している。
圧巻なのはブレーキで、なんとフロントホイールの隙間からのぞくのはブレンボの対向2POTキャリパーだ。
「足まわりだけは最新にしたいので、ショップで作ってもらいました。ブレンボキャリパーはZ33フェアレディZ純正装着のリヤ用で、2ピースローターとリヤドラムはワンオフ品です」とのこと。
旧車用にデザインされた深リムタイプのレイズTE37Vホイールには、195/60R14のハイグリップタイヤ、ポテンザRE-11が組み合わされていた。
現在ボンネットの下に収まっているエンジンは完全ノーマルの2T-G。ソレックス40φキャブレターも標準装備のものだが、エアクリーナーを廃止してファンネルタイプに変更。通称タコ足と呼ばれるエキゾーストマニホールドとマフラーは、当時もののフジツボ製。点火系はマルチスパーク方式の永井電子M.D.I.を装着する。
興味深かったのはオイルクーラーの配管に装着されている電動ポンプだが、その理由を伺ってみると「当時のラリー車のテクらしいのですが、オイル潤滑が安定するということで多くのチューニングショップでやっていたものです」とのこと。
ドライブトレインにもしっかりと手が入れられていて、ミッションはルート6製クロスギヤを組んだAE86用5速マニュアルに変更し、デフはTRDの機械式LSDを装着している。
TE27トレノとともに過ごしてきた約40年のなかで様々な経験があったが、なかでも最大の危機だったのが事故からの修復。フロントからのダメージはルーフ部にまで及ぶものだったというが、フレーム修正や鈑金によりなんとか復活を果たした。
「ここまできたら乗れる限りは維持し続けたいと思っていますが、ゆくゆくはクルマ好きの若者に譲りたいですね。その前にぜひやっておきたいのがエンジンのチューニング。以前は2L仕様にしていましたが、今度は最新パーツをフルに投入したイナゴマル(1750cc仕様)をゼロから作ってみたいです」と語るオーナー。生涯現役を貫き、これからも長くトレノで走り続けていただきたい。
(テキスト:川崎英俊 / 写真:平野 陽)
[ガズー編集部]
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