現車を見ないで即購入!?「クルマのベテラン」が愛でる1971年式アルファロメオ・ジュリアスーパー1300の魅力とは
今回登場するのは、56歳の男性オーナー。18歳から乗り継いできた愛車は40台以上だという、ベテランの域に達したクルマ好きだ。現在は、「とっておきの1台」を含むイタリア車数台とともに暮らしている。
オーナーは三菱・ギャランシグマを皮切りに、日産・スカイライン(ケンメリ)、フィアット・パンダなど、多彩なクルマたちとともに人生を歩んできた。まずは、これまで所有した中で印象深かった1台を伺ってみた。
「フォルクスワーゲンの、初代シロッコですね。1年間乗っていて、そのうち半年くらいは入院と言っていいくらい、とにかくよく故障しました(笑)。納車後に自走して帰っているときだけで、3回立ち往生しましたし」
体験談に「百戦錬磨」を感じずにはいられない、経験豊かなオーナーの「原体験」は何だったのだろうか?
「幼い頃、近所にトヨタ・スポーツ800やダットサン・フェアレディ(SR311型)を所有している家があったんです。置いてあるクルマが年中変わっていたので、いろいろなクルマを知れたことが原体験だったのかもしれません。小学生だった当時は、停まっているスポーツカーを見つけては、メーターを覗き込んで見ていました。当時はメーターの数が多いほどカッコよく見えたんです(笑)。加えて、世代的にもスーパーカーブームは影響しています。特にフェラーリ・512BBが好きでしたね。でも、スーパーカー消しゴムは持っていなかったし、熱心に撮影した記憶もないです。高校生になる頃には、完全に2輪車へと興味が移っていました。ブームをずっと追いかけていたようで、実は、短い時間だったのかもしれません」
そんなオーナーの愛でる1台が、今回登場する1971年式のアルファロメオ・ジュリアスーパー1300(以下、ジュリア)だ。2013年に迎えてから6年が経つ。オドメーターは現在、約8万キロを刻んでいる。
アルファロメオ・ジュリアスーパー1300は、「ジュリア」の派生モデルのひとつだ。「ジュリア」の初代モデルは、「ジュリエッタ」の後継モデルとして1962年に登場。その時点では「ベルリーナ(セダン)」のみだった。「ベルリネッタ(クーペ)」や「スパイダー(オープンモデル)」は、ジュリエッタのマイナーチェンジ版だったからだ。
1963年には限定レーシングモデル「TIスーパー」が登場。車重は約910kg。1.6リッターエンジンは112馬力を発生した。1965年には「TIスーパー」の仕様に近づけた「高性能なジュリア」として「ジュリアスーパー」が誕生した。
ちなみに、アルファロメオ・ジュリアは2016年に復活し、日本市場には2017年より投入された。新生ジュリアは、現行モデルとして今もクルマ好きの熱い視線を浴び続けている。
ここで、オーナーにこのジュリアを選んだ理由を聞いた。
「以前は、フィアット・850ベルリーナに乗っていました。ホイールやメーターなどを取り寄せ、アバルト・OT1000仕様にしようと画策したのですが、仕上げるまでにそれなりの費用が掛かるんです。そこで、たまたま出会ったこのジュリアに乗り換えました」
オーナーのジュリアは、一見武骨に見えるが、クラシカルな濃紺のボディや気品あるインテリアの美しさに見とれてしまう。かなりコンディションの良い個体だと感じるのだが、どうやって出会ったのか。
「1970年代のイタリア車が欲しいと思って探していたところ、インターネットで見つけました。ボディカラーは、自分の中ではアルファ ロメオらしい赤ではなく、白を探していたんですよ。あるとき、この濃紺の個体を見つけたので、現車確認なしで、すぐに陸送してもらいました。実は、この個体の前に別の個体をチェックしていたのですが、いざ買おうとしたら売れてしまっていたので、今度こそチャンスを逃さないようにしようと思ったんです。ですから、初めて乗ったのは納車された後でした。でも、乗ったこともなかったのに、最初のひと踏みで『これだ!』と思い、惚れ込んだんです」
このジュリアでもっとも気に入っている点は?
「やはり『音』ですね。ついついエンジンを回してしまいます。マフラーは前オーナーが交換していたのですが、おそらくワンオフでしょう。ジェントルなサウンドで、アクセルを踏み込むほど良い音色になります。それから、見た目からは想像できないかもしれませんが、気楽に乗れるところも気に入っていますね。こうしたヒストリックカーは、ある種の気構えが必要なクルマが多いと思うんですが、ジュリアは思い立ったらすぐ乗れるんですよ。それと、姿勢がラクなところもいいですね。クーペと違って、ドライビングポジションをクルマに合わせなくてもいいですから」
購入後にモディファイした部分は?
「エアクリーナーの部分をファンネルに変更しました。納車前に、TIスーパーレプリカホイールを履かせ(取材時は純正)、車高を下げ、バンパーレスへと変更し、『TIスーパー仕様』をイメージして納車してもらいました。ホイールは、気分を変えて現在はノーマルに戻してあります」
今まで、トラブルには遭遇したことはあるのだろうか?
「トラブルは、このクルマにしては少ないほうだと思います。今まで立ち往生したのは3回ほどでしょうか。ディストリビューターのコンデンサーが2回パンクしました。残りの1回はバルブクラッシュで、これは結構なダメージでした。イベント会場の駐車場に着いたとたん『ガラガラガラ!』という音がして確認してみると、チェーンテンショナーのボルトが緩んでいたようです。それ以来、エンジンを直して乗っています」
最後に、今後愛車とどう接していきたいかを伺った。
「もし、今あるクルマをほぼ手放してジュリア1台になったら、自分の生まれ年のジュリエッタに買い換えようかと考えたりもするんですが…。結局、無理に買い換えなくてもいいと思い直してしまいます。このジュリアは現車も見ずに買ったので不安だったんですけど『当たり』の個体ですね。もし、このジュリアを手放したとして、同じようなコンディションの個体を探すのは無理だと思うので、これからも大切にしたいです。この年代のジュリアで、特にコンディションの良い個体は気負わず楽しめるので、旧車ビギナーにもすすめたいと思っています」
実は、オーナーが知人にもジュリアをすすめたところ、本当に購入してしまったそうで、まもなく納車を迎えるとのこと。あらゆるクルマを楽しんだ「ベテラン」は、クルマの魅力を発信するチカラが自然と備わるのだろうか。末長くジュリアとの時間を楽しんでほしいと思うのだった。
(編集: vehiclenaviMAGAZINE編集部 / 撮影: 古宮こうき)
[ガズー編集部]
【愛車紹介】イタリア車
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