【ハチマルミーティング2018 愛車紹介】小学生時代から憧れた西部警察“マシンX”を約14年かけてDIY製作した原寸大レプリカ

ブラック×ゴールドの(スカイライン)ジャパンからショットガンを携えて現れたのは、トレンチコートにサングラスでキメた西部警察の大門団長。
11月4日に富士スピードウェイで開催された『ハチマルミーティング2018』の目玉コンテンツのひとつとして開催された“なりきりマシン”にエントリーするために、秋田県から会場の富士スピードウェイまで700kmもの遠路を自走でやってきたという。

「小学校から中学校のときに夢中になっていた西部警察。そこに登場するマシンXに憧れて、原寸大のレプリカマシンを作りあげました」とオーナーの佐々木聡さん(49才)は説明してくれた。

『西部警察』は1979年から1984年までテレビ朝日系列で放送されていた、石原プロモーション制作の刑事ドラマシリーズ。大門圭介部長刑事(渡哲也)が率いる“大門軍団”と呼ばれる西部警察署捜査課の刑事たちが凶悪犯罪と立ち向かう物語で、毎回盛り込まれるド派手な銃撃戦やカーチェイス、爆破シーンが話題となった。

そんな西部警察を見る少年たちが憧れたのが、大門軍団が巨悪に立ち向かうために最新テクノロジーを満載した特殊車両の数々。そのなかでもトップクラスの人気を誇るのが、HGC211型スカイラインGTターボをベースに日産自動車のフルバックアップにより製作された“マシンX”だ。

助手席に設置されたマイクロコンピュータのほか、車載モニターや特殊無線機、リモコン式カメラ、レーダースピード感知器、特殊発進ペイント発射銃、自動車電話、サーチライトなどを装備していた。

マシンXのベースになっているのは“ジャパン”の愛称で知られるC210系スカイラインで、通称ケンメリと呼ばれるC110系の後継モデルとして1977年にデビュー。C230系ローレルと共通のプラットフォームで2ドアハードトップのほかに4ドアセダンとバンの3タイプのボディをラインアップしていた。
排ガス規制の影響もあり当初設定のエンジンは1.6L(L16S)と1.8L(L18S/E)の直列4気筒と直列6気筒OHCのL20(キャブ仕様/インジェクション仕様)を合わせた5種類。

その後、1978年には4気筒エンジンをZ16/18に変更。1980年にはL20ETターボエンジン搭載モデルが追加となり、クラストップとなる最高出力145ps、最大トルク21.0kgmを誇っていた。

佐々木さんは16年前にこの1981年式スカイラインGT-ESターボを購入し、マシンX化計画を開始。専門誌などの情報を頼りにまずは外装からはじめていき、内装も含めた現在の姿になったのは2年前だったという。

「外装だけのレプリカはたくさんあるのですが、室内の装備まで再現している人は少なかったのでチャレンジしました。プロの手は借りずにすべてを手作りしているので、完成までかなりの年月を要しました」とのこと。

ちなみに劇中車はGT-EXグレードがベースだが、佐々木さんが選んだのはGT-ES。リヤがディスクブレーキになっているほか、ヘッドライトウオッシャー、リヤワイパーなどを装備した高級グレードなのだそうだ。

いちばんの自慢パーツは、ゴールドカラーのカンパニョーロ製ホイール。これは“NISSAN”の打刻が入ったレアな純正品で、かなり苦労してようやく手に入れたものだ。またボディサイドのゴールドストライプは、新車当時からのオリジナルものというのも自慢のポイント。

さらに助手席の無線機は、劇中車と同機種のトリオTS-120を装着。このへんは長距離トラックのドライバーという職業ならではのこだわりかもしれない。
そのほかブラック×オレンジのレカロ製シートやナルディ製ステアリングも実車と同仕様のものを装着。サスペンションはダウンサスにより程よく車高ダウンが図られている。

エンジンルームを拝見してみると、L20ETエンジンはプラグコードが変更されているくらいでほぼノーマル。ニスモ製のストラットタワーバーが追加されているほか、フロントバンパーの前には大型のオイルクーラーが装着されているが、レーシーさを狙ってあえて劇中車よりもやや下方にオフセットしている。

驚いたのはこのマシンXレプリカをイベント専用ではなく、雪のある冬期以外は通勤にも使用しているという点。年間の平均走行距離は3000kmほどで、現在までの総走行距離は18万km。走行頻度に比例してトラブルのリスクも高まるもので、昨年は追突事故を受けてリヤまわりを修理したそうだ。

幸いにも新品のリヤバンパーが入手できたのでよかったが、絶版車はとくに外装系のパーツ入手が難しいもの。「内外装ともようやく仕上がったので、今後はこの状態をいかに維持していくかがテーマです」というから、今後も各地のイベントなどに登場してくれることだろう。

(テキスト:川崎英俊 / 写真:和田清志)

[ガズー編集部]

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