ショーファードリブンが家族の一員に!一生モノの日産・グロリア ロイヤルリムジン(Y31型)を愛するオーナー
1980年代後半のバブル最盛期、国産メーカーからさまざまなショーファードリブン(リムジン)が誕生した。トヨタ・センチュリーや、日産・プレジデントはよく知られていると思う。そして、今回登場する日産・グロリア ロイヤルリムジン(以下、グロリア)もそんな1台だ。このクルマと奇跡的に出会い、10年間乗り続けているオーナーを紹介したい。
リムジンのベースとなっているのは、シリーズ8代目のグロリア(Y31型)。1987年から1991年まで生産されたモデルである。手掛けたのは、日産の特装車を手掛けることでも知られているオーテックだ。ボディサイズは全長×全幅×全高:5460×1720×1440mm。排気量2960cc、「VG30ET型」のV型6気筒SOHCターボエンジンを搭載する。オーナーの個体は1988年式で、運転席との間にパーテーション(仕切り)のない「セレクション1」と呼ばれるグレードである。
「この個体は、とある結婚式場で使われていたそうです。それを払い下げで前オーナーが買い取り、買い換えのためネットオークションへ出品。それを私が偶然見つけ、購入に至りました」。
そう語る45歳のオーナーは一見、厳ついこのクルマの持ち主とは思えないほど、物腰の柔らかい男性だ。
購入の決め手となった理由は?
「この個体が『セレクション1』というグレードだったからです。パーテーションがあるとシートのリクライニング機能が使えないんです。運転姿勢の調整ができないのが嫌だったので、このグレードを10年間探し続けてきました。ここは最もこだわったポイントです。とはいえ、トータルで百十数台しか生産されていないクルマです。つまり各グレード単位だと数十台しか生産されていないことになりますから、売り物を見つけたときは今を逃すともう二度と会えないと思い、即決しました。ちなみに、手に入れた後もセレクション1を探していますが、まったく出てきていません。私自身が確認できているのは6台ですが、どこかに眠っている個体もあるでしょうね」。
リムジンのようなロングボディが好きだというオーナー。今までの愛車遍歴もロングボディが多く、日産・ローレル セダン(C32型)、スバル・レガシィツーリングワゴンGT-B、日産・セドリック ブロアムL(ロング) VIP、日産・グロリア 430セダン、日産・グロリア ブロアムL(ロング) VIP、トヨタ・コロナ スーパールーミー、日産・キャラバン ホーミーロイヤル、ホンダ・ステップワゴンなどを乗り継いできた。
「昔から長いクルマが好きでした。スタイリングもそうですが、後部座席に座ると、足元が広いところに魅力を感じます。Y31型(セドリックとグロリア)ロイヤルリムジンに出会ったときのことは忘れてしまいましたが、おそらく自動車誌で見たのでしょう。当時は学生だったので、1000万・1500万という価格のクルマは手が届く存在ではありませんでした。実際に手に入れてみて『変化した』とあえて言うならば、今までは1年に1回の頻度で乗り換えていたのに、もう10年間も乗り続けていることでしょうか。さらに、セダンやリムジン好きの仲間も増えたおかげで、一生乗り続けたいと思うようになったことです。まったくと言っていいほど飽きないですよね」。
オーナーの惚れ込みがグッと伝わってくる。実は、3児の父親でもあるオーナー、子どもたちも、生まれたときから家にあったグロリアが大変気に入っているそうだ。「友達に見せたいので、学校や部活の送迎はこのクルマで」とリクエストされることもあるそうだ。さらに、海やスノボなどのレジャーにも出かけるし、毎年約700kmの移動もトラブルなく快調だという。もしも、このグロリアに意思があったなら、こうしてレジャーや旅行へ出かけるファミリーカーとして活躍するなんて想像もしなかっただろう。
家族の一員となっているグロリア。オーナーによるモディファイは施されているのだろうか。
「実は前のオーナーさんが、足回りや内装をかなりモディファイしていたので、フルノーマルに戻しました。今日のホイールはイベント用の社外品ですが、普段はホイールまで完全オリジナルです。部品はY31型の流用、リビルド品でなんとかなりました。エンジンは、知人のショップで腰上のみオーバーホールを行っています。フロアマットは、普段用とイベント用で使い分けていますね」。
旧車だとどうしても気になってしまう、部品の供給状況はどうなのだろうか。
「Y31型を流用できるので、外装やエアサス、エンジンまで結構充実しています。エアコンコンプレッサーもリビルド品があります。ただ、内装のパネルは出てこないですね。グロリアのリアボードのエアコン吹き出し口を探していたのですが、これは入手できまして、現在は装着済みです。現在、運転席側のドア下のスカッフプレート(1枚) を探しています。実はこの取材後、エンジンを掛けて暖まった段階で白煙が出てしまいまして…。あたりが真っ白になり、周囲にいた方も心配して集まってくるほどでした。そのまま主治医のところに入庫して調べてもらった結果、タービンが壊れてしまったそうです。そこでリビルト品を探してもらったのですが、在庫がなく…。しかし、新品が1個だけ残っていたので、こちらを入手。交換したところ見事に復活しました。現在は快調で、真夏の暑さの中、600キロの移動も難なくこなしています。今は、物置を買って部品をストックしているんですよ。妻の反応は冷ややかなときもありますが、一生買い換えないと頼み込んでいるので、ある程度は理解してくれていると思っています(笑)」。
最後に、グロリアとこの先、どんなふうに接していきたいかを「決意表明」として伺った。
「これからも造られたままの姿を大切にしたいです。いつか私が旅立つときが来たら、グロリアと一緒に火葬して貰える場所を探しています(笑)。そのくらい一生モノだと考えているクルマですね。もし子どもたちが譲ってほしいと言っても、譲りません。『自分のカーライフは、自分で楽しめ』と言い聞かせていますから。もちろん、仲間との交流も大切にしていきたいです。希少性の高いクルマなので、マニアックな部品の調達は仲間同士のネットワークがあってこそですから。前のオーナーさんとも連絡を取りあっていますし、みんなでより良い維持の方法を情報共有していけたらと思っています」。
今回のオーナーも、現存台数が極めて少ない中、理想の個体が目の前に現れたというエピソードを伺うと、やはり「クルマがオーナーを選んでいる説」はあると確信せざるを得ない。そんなクルマとオーナーのストーリーを1話でも多く紡いでいかなくてはと、気持ちを新たにした取材だった。
(編集: vehiclenaviMAGAZINE編集部 / 撮影: 古宮こうき)
ビークルナビ / vehiclenavi(http://vehiclenavi.com/)
[ガズー編集部]
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