【マツダファンフェスタ2018 in OKAYAMA】彼女とは別れても、彼女が選んでくれたコイツとは別れられない!39万km走行のAZ-1

年に1度のビッグイベントとして、全国からマツダ車オーナーとファンが押し寄せるマツダファンフェスタ。今年もそんな会場には数多くのディープなマツダ車オーナーが集い、オーナーズミーティングではさまざまな名車や迷車が顔をそろえていた。そんな中に、ソウルレッドに身を包み、ひときわ強烈な個性を暴走させていたのが“半ちゃん”さん (以下、半ちゃん)所有のAZ-1だ。

AZ-1は1992年に誕生した2ドアクーペ。リアミッドシップレイアウトというスポーツカー仕立ての軽自動車として、ホンダ・ビート、スズキ・カプチーノに並ぶ軽スポーツ御三家と呼ばれる存在だ。しかも特徴的なガルウイングドアを装備し、グラストップと合わせることで他の2台以上の個性を発揮していた。そんなAZ-1のマツダスピードバージョンとしてエアロパーツが装着されているのがこのモデルである。

入手したのは今から遡ること21年前の1997年。当時付き合っていた彼女が半ちゃんの愛車を事故で廃車にしてしまったことがきっかけ。「次は事故っても壊れないクルマを買おう」と話し合ったところ、なぜか彼女が見つけてきたのがこのAZ-1。はじめは軽なんてとバカにしていたものの、乗り始めるとこれが面白い。どんどん深みにハマっていき、気がついたら付き合っていた彼女とは別れているのにAZ-1には乗り続けているという奇妙な状況に陥っていた。

さらに、珍しいクルマに乗っているとオーナー同士のコミュニティにも参加したくなる。というか参加しなければ乗り続けることは年々難しくなっていく。特にパーツ供給が停止してしまっていると、修理にも手間や時間がかかってしまう。そんな時にもコミュニティ内でパーツ情報のやり取りがあれば安心して乗り続けることができるというわけだ。こうして乗り続けていると、ミーティングやイベントで次々と声をかけられるようになる。どんどん外堀を埋められ手放すことができなくなっていることに気づいた頃は時すでに遅し。今ではAZ-1を刺繍したバッグを手に入れたり、ボンネット裏には開発陣のサインをもらうなど愛情もたっぷり。もはや離れられない存在となってしまったのである。

ちなみに、毎日の通勤から休日のドライブまでフルに活用し続けていることもあり現在の走行距離は39万km。
24万kmの時にオーバーヒートで壊してしまうまで特に異常もなく、660ccなのにこんなに丈夫なんだと感心したという。この時にリビルトエンジンに載せ換えを行い、それに合わせてエンジンのコンディションチェック用にとデフィ製の追加メーターを装着。
そこからさらに15万kmを走り続けた現在も、まったく不安なく日々活用し続けているのだ。また、ボディパーツはマツダスピードバージョンのため、もともとのエアロパーツをそのまま使用。唯一交換しているのはフロントウインカーのレンズのみ。こちらはホンダ・シビックシャトル用を流用することで、レンズサイズを若干大きく見せている。その他は基本ノーマルのままボディカラーをソウルレッドにオールペンしているのみのコーディネイトだ。

ボディカラーのソウルレッドは魂動デザインに端を発した現行マツダのアイコン的カラー。キャンディカラーのように深みのあるレッドは、流れるようなボディラインの陰影を際立たせ、マツダ車以外でも指名されるほどのボディカラーだ。
そんなソウルレッドにオールペンするきっかけとなったのが、一昨年の『カープ25年ぶりの優勝』という快挙。実はこのシーズンにカープが優勝したらソウルレッドにオールペンすると公約を掲げていたのだ。
熱心なカープファンでありながら、当の本人は本当に優勝するなんて夢にも思っていなかった。しかしシーズンが進むに連れて大金星を連発。当初の予想に反して見事優勝を勝ち取ったのである。「そんなカープナインの汗と涙の結晶を無駄にはできない!」と背中を押されたわけではなく、すでに周辺からのプレッシャーが強かったことで引くに引けず、晴れて所有20年目の節目も兼ねてオールペンを決行したという逸話が残されている。

シートなどは過去に張り替えたままの状態でコンディションをキープし、さらにダッシュボード周りのパネルなどはオーナーズクラブのメンバーによるアイテムが装着されている。「外装のリフレッシュが完了したので次はインテリアをもう一度やり直してみたいですね」というように、まだまだAZ-1との付き合いは終わらない。地球から月までの距離が38万kmというだけに、半ちゃんとAZ-1の旅はすでに月を超えてしまっている頃。この先どこまで走り続けるのか、気になる存在といえるだろう。

(テキスト:渡辺大輔 / 写真:中村レオ)

[ガズー編集部]

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