【マツダファンフェスタ2018 in OKAYAMA】好きだから手を抜きたくない!カーショップオーナーが作る濃すぎるNA6ロードスター
マツダファンフェスタ2018のミーティングスペースには、オーナーの愛情がたっぷりと注がれていることが見るだけで伝わってくる愛車たちが並んでいた。
このロードスターもまた、オーナーが愛車を『愛しすぎている』ゆえに乗れない時期を長らく経験し、それを乗り越えて現在に至ったという、こだわりが詰まった1台だ。
マツダのブランド細分化時にユーノスチャンネルからデビューした初代ロードスターは、同じNAシリーズでも2種類の排気量が存在している。初期に投入された1.6Lエンジンを搭載したモデルがNA6CE、その後のマイナーチェンジ時に1.8Lエンジンが搭載されたモデルがNA8Cだ。ユーザーによって好みは分かれるが、スポーツ志向のオーナーには比較的パワーが高い1.8LのNA8Cが人気となっている。
このオーナーさんがロードスターを手に入れたきっかけは「年をとってからでも乗っていてサマになるクルマ」というのが着眼点。決してパフォーマンスを望んでの選択ではなかったこともあり、NA6CEを選択したという。
そんなロードスターを購入したのは3年前のこと。それまでRX-7だけでも3台、ユーノスコスモなどマツダ車の中でもロータリー車を乗り継いでいただけに、オーナー個人としては落ち着いた選択だったと自己評価している。
しかし手に入れたからには自分好みにカスタマイズしたくなるのはクルマ好きの悪い癖。しかもオーナー自らがカーショップを経営しているというだけに、自分で思いを形にすることは得意中の得意。カスタマイズへのハードルは一般よりも数段低いというわけだ。早々にN2レース用のワークスフェンダーを入手して装着、車枠変更で車検を通したという。
当初は乗りながら徐々に手を加えていく予定ではあったが、乗り始めてしばらくすると「すべてが思い通りの状態に仕上がってから気持ち良く走りたい」という感情が目覚めてしまった。
それからというもの、時間を見つけてはエンジンやサスペンションなどのカスタム作業を行っていたが、喜ばしいことに仕事が忙しくて愛車を触る時間がまったく取れない状況が続き、気がついたら車検取得後2年以上の時間が過ぎてしまったという。
「これではいつまでも完成しない」と気合を入れ直し、改めて時間を見つけながら徐々に進めた作業によって、エンジンは戸田レーシング製のピストンやコンロッド、カムシャフトを組み込んで、9000rpmまで気持ち良く回るエンジンを作り上げた。
さらに、よりレスポンスの良さを求めた結果、FCR43キャブレターを使って4連スロットル化も実行。まるでオートバイのようにハイレスポンスなエンジンフィールに仕上がっている。
「自然吸気のまま軽快に走るのがロードスターの理想形です。そういった意味ではこれくらいのエンジンフィーリングは欲しかったんですよ」という言葉は満足感に満ち溢れている。
せっかくエンジンができあがったのだから早く走り出したくなる。そこで今回のマツダファンフェスタに来場することを目標として定め、仕事の合間を見つけながらさらに急ピッチで作業を進めることに。
この車高をキープしつつ、走行パフォーマンスに合わせて姿勢変化を抑えるセッティングのサスペンションは、オリジナルオーダーで仕上げた。ホイールもフェンダーに合わせてフロント9.0J、リア10.0Jのホイールを組み合わせた。
ボディのほうも、色見本で見つけたブラウンメタリックでペイント。ハイスペック化したエンジンの排熱用にと、ひとつひとつ手作業で成型したボンネットのルーバーもこだわりのポイントだ。
エンジンルームも鮮やかな見た目で演出するため、シリコンホースは通常でありがちなブルーやレッドではなく、すべて黄色をオーダーによってセット。高回転まで気持ちよく回るエンジンのフィーリングに合わせて、クロスミッション化も実行した。
こうして3年の遅れを取り戻すかのように超特急で進められた作業によって「これで理想をフルに盛り込んだロードスターが完成!」と断言したかったのだが、実はまだインテリアが手付かずの状態。今回のイベント終了後は改めてインテリアのカスタマイズに着手すべく、またしばらくは乗れない期間に突入する予定なのだとか。
とはいっても、ひさしぶりに乗った愛車のエンジンやシフトのフィーリングはまさに思い描いていたもの。このマツダファンフェスタへの参加がロードスター愛をさらに深め、1秒でも早く乗りたいという気持ちが膨らんでいるだけに、ここからの作業は一気に進むはず!?
(テキスト:渡辺大輔 / 写真:中村レオ)
[ガズー編集部]
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